2020年7月9日木曜日

Fiio(フィーオ) FiiO FH7 ハイブリッド型イヤホン FIO-FH7-Bをレビュー評価してみる

FiiO FH7  ハイレゾ対応 ハイブリッド型カナルイヤホン FIO-FH7-B
前回、デジタルオーディオプレイヤー「Fiio M15」を購入してから少しFiio製品が気になっています。イヤホンも出している様なので一度試しに買ってみました。Fiio FA9と言う最新のモデルもあるのですが、こちらはBA型ドライバーが6基と言う商品です。しかし、個人的にBA型Onlyのイヤホンは好きではないので、今回はハイブリッド型のFiio FH7を迷わず購入です。また、ベリリウムコーティングのダイナミックドライバーを搭載と言うことで興味津々です。


■FIO-FH7-B
4BA(バランスド・アーマチュア)+1DD(ダイナミック・ドライバー)によるハイブリッド・ドライバー構成を採用したハイレゾ対応ユニバーサルタイプ・インイヤーモニター

【仕様】
製品名:FH7
品番:FIO-FH7-B
ドライバー構成:4BA+1DD
再生周波数帯域:5Hz ~ 40kHz
能率:111 dB/mW
インピーダンス:16Ω
付属ケーブルの長さ:1.2 m
重量:8.15 g (ケーブル含まず)
本体色:ブラック
ケーブル着脱:対応 (standard MMCX connector)
ケーブル:高純度単結晶銅リッツ・ワイヤー
プラグ:L字型プラグ


【主な特長】
■Knowles製DFK+SWFKを採用した 4BA/1DDのハイブリッド・ドライバー構成
■13.6mm ベリリウムコーティング・ダイナミックドライバーを採用
■音導管を帯域別に分割・最適化する「S.TURBOテクノロジー v2.0」
■鼓膜へのダンピング特性を最適化する新設計ベントポート
■ドライバーの真価を発揮させるクロスオーバー・ネットワーク搭載
■高い剛性を実現する自社開発リジッド・ドライバー・マウント構造
■交換可能な音響フィルター構造
■MMCXコネクター採用のケーブル着脱方式により、バランス駆動にも対応
■高純度単結晶銅リッツ・ワイヤー 採用の専用イヤホンケーブル付属
詳しくは Fiio FH7 ホームページ をご覧ください



■開封
箱はシッカリしており、Fiioらしいシンプルさで好感がもてます。イヤホン本体の見た目ですが、兎に角大きいです。高級感がある気もしますが、どこか有機的なデザインで、個人的には少し苦手です。縁取りはシンプルに黒にしてほしかったです。ただ、慣れれば気にならないと思います。





交換可能な音響フィルターは標準(黒)






■評価環境

(PDA:オーディオプレイヤー
勿論「Fiio M15」同メーカーなので相性も良いはずです。非常にいいPDAです。

(バランスケーブル)
「HiF4834リケーブルMMCX 4.4mm」を合わせました。取り回しも良く、癖のない良い音を出します。このケーブルは7N単結晶銅なので特に低音域が良く出ます。
※SONYやAKGなどのケーブルは装着できなかったり、ノイズが入ったりと相性が悪かったです。ケーブル選びは要注意かもです。最終的にケーブルは「onso 04」に落ち着きます。

(イヤーチップ)
Comply(コンプライ) Tsx-400を合わせました。私の定番イヤーチップです。これが無いと低音がしまりません。耳垢フィルターで気持ち高音域はマイルドに。



■比較イヤホン
現在所有しているお気に入りのイヤホンにAKG N5005があります。スペックがよく似ているので比較として利用しました。
製品名 Fiio FH7 AKG N5005
タイプ 4BA+1DDハイブリッド型(カナル) 4ウェイ5ドライバーハイブリッド型(カナル)
カラー ブラック ブラック
ユニット (中域・高域・超高域)Knowles製BAドライバー×4
(低域)13.6mm ベリリウムコーティング・ダイナミックドライバー×1
(中高域用)バランスド・アーマチュア・ドライバー×4
(低域用)9.2mm径ダイナミック・ドライバー×1
周波数特性 5Hz ~ 40kHz 10Hz ~ 40kHz
感度 111dB/mW 99dB/mW
インピーダンス 16Ω 18Ω
重量
(ケーブル含まず)
8.15g 11.4g
メーカー通販価格
あくまでも参考価格
¥66,444(税抜) ¥99,880(税抜)
おすすめ
バランスケーブル
Yinyoo イヤホンケーブル MMCX 2.5mm
  KBX4904 mmcx 2.5mm 4極 純銀 ケーブル 4芯 99.99%純度 バランスケーブル
AKG CN120-2.5
イヤホンケーブル 1.2m /Φ2.5mmバランス/4極/高純度6N-OFC導体

NICEHCK BLOCC イヤホンケーブル MMCX 2.5mm
 銀メッキ単結晶銅 UPOCC 5N純度99.999% MMCX 2.5mm 4極1.2mバランスリケーブル


onso iect_04_bl4m 4.4mmバランス(5極)⇔MMCX 
導体:純度99.9999%以上の6N銅と、銀メッキされた銅純度99.99%以上のPCUHD、HiFC、OFCの3種の4N銅





■聴いてみる
現在所有しているお気に入りのイヤホンにAKG N5005があります。スペックがよく似ているので比較として利用しました。こうやって比べるとN5005の小型でシンプルなデザインが際立ちます。FH7は大きいです。慣れるまで時間がかかりそうです。

注意
レビュー・評価において、純正のケーブル、イヤーチップは使っておりません。




主な評価曲
お洒落なミュージック」に集めているような曲を主に聴いて評価しました。下記はその一部です。


Black Pumas - Colors
Black Pumasはアメリカのソウルバンド。
ブラック・ピューマズは、シンガーのエリックバートンとギタリストのエイドリアンケサダが率いるアメリカのソウルバンド。いきなりエッジの効いたカッコいいアコースティックギターソロから始まる。そして切なくもハートにグッとくるボーカル。FH7で聴けばBlack Pumasの魅力にガブリと捕まる。




The Weeknd ft. Daft Punk - I Feel It Coming
ザ・ウィークエンドはカナダ出身のR&Bシンガー
 I Feel It Comingが収録されたアルバムにはダフトパンクが参加しており兎に角カッコいい!少し音のこもった感じからフェードインしてゆき、スーッと霧が晴れた様にキレキレもサウンドになっていく。演奏も声も素晴らしいです。特にベースランニングがカッコよく再生できるかどうかがポイントです。




Ariana Grande ft. The Weeknd - Love Me Harder
アリアナ・グランデはアメリカ出身のポップス・R&Bシンガー
こちらはアリアナ・グランデの作品にザ・ウィークエンドが参加した曲です。個人的にアリアナ・グランデの楽曲の中では最も好きな歌です。二人とも歌唱力が凄いので何度聴いてもカッコいいです。終盤にアリアナがハイトーンでハモリ、一か所アリアナが「イェイ」叫ぶところがあるのですが、この辺りがカッコよく聴きとれるかどうかがポイントです。




London Grammar - Non Believer
ロンドン・グラマーはイギリスのインディーポップバンド
9小節目あたりから低音のベースが走る。切れの良いドラムスと低音のベースがきちんと聴こえるかがポイント。ボーカルは良い声をしている。




AURORA - Exist For Love
オーロラはノルウェー出身の歌手
静かなバラード、演奏もシンプル。ボーカルがきちんと聴き取れ、音楽に没頭でき感動できるかどうかがポイント。自分で曲も作る個性的なアーティスト。




iri -「Sparkle」
イリは日本のシンガーソングライター
色々なジャンルをうまく絡めた音楽だと思う。ポップで切れの良いサウンドはカッコいい。SONYとコラボした良い曲。




Crowded House - Don't Dream It's Over
クラウデッド・ハウスはオーストラリアのロックバンド
Don't Dream It's Overは1993年の古い楽曲。大好きな楽曲なので良い音で聴きたい。当時の演奏の音がどこまで聴こえるかがポイント。この曲は色々なアーティストにカバーもされている。

 


Sixpence None The Richer - Don’t Dream It’s Over
シックスペンス・ノン・ザ・リッチャーはアメリカのロックバンド
クラウデッド・ハウスのDon't Dream It's Overをシックスペンス・ノン・ザ・リッチャーがカバーしている。ボーカルが変わるとかなり癒される。










<エージング 0 時間(黒フィルター)>

音響フィルター
Fiio FH7はAKG N5005と同じく交換可能な音響フィルタータイプになっています。評価にはデフォルトで装着されていたバランスの(黒)を使用します。

 — ダイナミック感重視・低音強調
 — バランス重視
 — 解像度重視・高音強調



聴いてびっくりです。ガツンと音圧のあるトンガリ気味の音が押し寄せてきます。最初どの音を拾おうか迷うほどです。ボリュームを上げると中高音が耳に刺さることがあります。なんと、山下達郎の裏声や若き井上陽水の声が刺さった時には驚きました。(笑
音場は広くなく、音の聴こえ方に今まで体験したことのない不思議な感覚になりました。上の方から、低音や中音や高音がバラバラにドサッと落ちてくる感じです。これが「S.TURBOテクノロジー v2.0」と言う奴の効果でしょうか。ちなみに、N5005は多ドライバーのネットワークはアコースティックで、いたって自然な鳴り方をします。

当初ドライバー構成がよく似ているのでN5005と同じような音が出ると思っていたのですが・・・。「深く広い音場、カマボコ状で音が見つけやすく、適度な低音と繊細な中音域、どこまでも伸びて行く煌めく高音域、少々ボリュームを上げても耳に刺さることのないN5005」と比べると真逆です。ドーンと音が溢れてきます。音の出方のインパクトとしては、平面駆動(平面磁気ドライバー)のRHA CL2 Planarに近いものがあります。

高音:キラキラしてない。見通しが悪く耳に刺さる時があります。伸びも悪い。
中音:良く出ています。ドラムスやパーカッションなどのキレが良いです。。
低音:パンチのある低音が出ていますがまだボワッとしています。輪郭が甘い。
音圧:音圧はかなりあります。ボリュームを上げるのが怖いくらい。
音場:あまり広くありません。各楽器の位置も曖昧です。
ボーカル:きちんと中央に位置していますが、ボーカルにあまり感動がない。


【エージング 0 時間の評価】
第一印象は、解像度は高く、多少ドンシャリ気味の普通、色々な音がゴチャゴチャしている感覚で落ち着きません。時々「ウルサイ!」っと思うこともあります。N5005はとても正確で美しい音をだします。しかし、低音の出方はN5005に比べて圧倒的で、JVC HA-FW1500に匹敵します。FH7は嫌いな音では無いのですが、全体的に今一つ感動がありません。また、楽曲との相性があります。良い感じと思える楽曲とパッとしない楽曲があります。各音の輪郭も甘く、音の見通しが良くないので、相当エージングが必要と感じました。200時間くらいは覚悟しないと!

実は期待と不安が入り乱れています。しかし、第一印象が荒れているイヤホンは良い音に化けた時の喜びは大きいのです。喜びポイントは「重・低音域の切れと深みがどこまで出るか!」と「高音域の刺さりがどこまで無くなるか!」にかかっていると思います。
主に低音域用「ベリリウムコーティング・ダイナミックドライバー」のエージングにかかっています。







<エージング 30 時間(緑フィルター)>

エージングも30時間ほど経ちました。全体的に音がまとまってきましたが、中高音域の時折の刺さりと、低音のボワッとした感じはまだ残っています。気分転換に音響フィルターを交換してみます。

音響フィルター

 — ダイナミック感重視・低音強調
 — バランス重視
 — 解像度重視・高音強調

黒のフィルターを外します
フィルターケース

赤と緑があります
今回は緑にします

緑を装着

AKG N5005も同じコンセプトでフィルター(4種類:HIGH BOOST、MID-HIGH BOOST、REFERENCE、BASS BOOST)を交換できます。「高音向けフィルターにすると低音が出ないし、低音向けフィルターにすると高音がパッとしない」そんな感じでした。なので、FH7でも同じことにならないか考えましたが、今のバランス(黒)がパッとしないのでフィルター交換にチャレンジします。FH7は重・低音域が十分出ているので今回は、緑(解像度重視・高音強調)に交換しました。

何ということでしょう!パーッと風景が明るくなりました。銅のケーブルとコンプライのおかげで低音もそのまま、むしろ深く切れがいい感じです。また、不思議なことにボーカルの刺さりが少し軽減された気がします。もっとエージング状況を待たないといけませんが(FH7 + 緑フィルター + 銅ケーブル + コンプライ)の組み合わせがマストかもしれません。

高音:明るく伸びの良い高音です。見通しも少し良く刺さりも減った感じです。
中音:見通しが良く爽やかになりました。逆に少し迫力が減った気もします。
低音:切れのある低音が出ています。ボアつきも取れてきました。
音圧:バランスに比べると音圧が大人しくなった気もします。でも十分。
音場:音場は気持ち広がった気がします。以前より各楽器の位置もハッキリしてます。
ボーカル:位置も少し前に、出て来て耳刺さりも減ってきました。


【エージング 30 時間の評価】
フィルター交換で雰囲気がガラリと変わりました。しかし、依然としてエージング途中の感じです。色々な曲をズーット聴いていたいと思うのですが、ビックリするくらい、感動的ではありません。現段階でAKG N5005と比べた場合「FH7の方が迫力がある」と言う評価です。まだまた、エージングが必要です。また、当面は緑のフィルターで行きます!








<エージング 50 時間(黒フィルター)>

エージングも50時間ほど経ちました。大分良くなってきました。あと一歩と言う感じです。もう少しケーブルのチューニングをしてみます。なのでもう一度フィルターを(黒)に戻します。そしてケーブルを「onso イヤホン・ヘッドホン用リケーブル iect_03_bl4mバランス」に変更します。


onso イヤホン・ヘッドホン用リケーブル iect_03_bl4m
低域から高域までのバランスを追求しています。導体は、純度99.9999%以上の6N銅と、PCUHD、HiFC、OFCの3種の4N銅を撚り合わせた贅沢なハイブリッド仕様です。
4.4mmバランス(5極)や2.5mmバランス(4極)種類も豊富でLコネも嬉しい!ケーブルはmade in JAPANで嬉しくなります。
-------------------------------------------------------------
OFC :銅の純度99.99%以上の無酸素銅(4N)
PCUHD :古河電気工業が開発した高純度無酸素銅線。純度99.99%以上の4N銅
HiFC :日立金属が生産する高機能純銅。純度99.99%以上の4N銅
6N-OFC :純度99.9999%以上の高純度無酸素銅
-------------------------------------------------------------


エンジ色のケーブルは珍しいのでカッコいいです

良いです。全体的に音が締り、少し濃厚に、耳への刺さりも減り、低音の締りも出てきました。音場も少し広がりました。深みも出て、このケーブルは良いです。タッチノイズもありません。軽くしなやかなので耳掛けも良い感じです。銅なのに高音域の伸びや抜けも出てきました。

高音:シットリトよく伸びます。余韻も綺麗です。
中音:見通しが良く力ず良くフラットに。ドラムスやシンバルも綺麗です。
低音:切れのある低音が出ています。バスドラが最高です。
音圧:尖った音ではなくなってきたので、穏やかで力強いです。
音場:音場は少し広がり各楽器のパートも良く分かります。奥行きも少し出ました。
ボーカル:女性ボーカルが美しくなってきました。コーラスも良く聴こえます。


【エージング 50 時間の評価】
ケーブル交換のおかげもありますが、かなり良くなりました。!バランスにフィルターに戻しても高音が綺麗になりました。ただ、ボリュムを上げるとたまに耳に刺さるのでもう少しエージングが必要です。
しかし、このonsoのケーブルはとても細いのに、低音域も高音域も良くなり、程よい締りと程よい音場の広がりがとても心地よいです。久々にお気に入りのケーブルが出来ました。こんどは上位ケーブルのiect_04を買ってみようと思います。銅と銀メッキのケーブルで更に高音が綺麗になるでしょう!








<エージング 80 時間(黒フィルター)>

新しいケーブルに交換します。



onso イヤホン・ヘッドホン用リケーブル iect_04_bl4m
豊かさと繊細さを兼ね備えており、音抜けも良く、音楽のジャンルを問いません。導体は、純度99.9999%以上の6N銅と、銀メッキされた銅純度99.99%以上のPCUHD、HiFC、OFCの3種の4N銅を撚り合わせた贅沢なハイブリッド仕様です。
4.4mmバランス(5極)や2.5mmバランス(4極)種類も豊富でLコネも嬉しい!
ケーブルはmade in JAPANで嬉しくなります。
-------------------------------------------------------------
OFC :銅の純度99.99%以上の無酸素銅(4N)
PCUHD :古河電気工業が開発した高純度無酸素銅線。純度99.99%以上の4N銅
HiFC :日立金属が生産する高機能純銅。純度99.99%以上の4N銅
6N-OFC :純度99.9999%以上の高純度無酸素銅
-------------------------------------------------------------

エージングも80時間ほど経ちました。音の方向性がある程度決ったようにかんじます。

高音:チェンバロやハープシコードなどの囁くような高音まで漏れなく聴こえます。
中音:金管楽器・木管楽器・打楽器などもとても綺麗です。
低音:ピアノやコントラバスの低音、電子楽器やPC打込の低音もシッカリでます。
音圧:13.6㎜ダイナミックや筐体の大きさの影響もあり音圧はピカイチ!
音場:左右でなる音の位置がはっきりしました。高音域がファーっと広がります。
ボーカル:ボーカルは半歩前に出てきました。


【エージング 80 時間の評価】
エージングにより音質が安定しました。今回のエージングポイントは「13.6㎜と言う大きなベリリウムコーティングのダイナミックドライバーのエージングがどこまできちんと出来るか!」と言うところに尽きるのだと思います。一般的にダイナミックは振動板が馴染むまでは本領を発揮しません。エージング0時間で「低音のボア付き、締りのなさ、中高音の耳への刺さり」多分これは全てベリリウムコーティングのダイナミックドライバーの影響だったと思います。

現在リケーブルも行い、濃厚でクリアな音質になりました。当面はこの組み合わせにしようと思います。Fiio FH7 + onso 04 + コンプライTsx-400








<エージング 100 時間(黒フィルター)>

構成:Fiio FH7 + onso 04 + コンプライTsx-400

100時間を超えました。ケーブルも馴染み、イヤホン自体のエージングも終わり、音質も安定したようです。13.6㎜の大きなベリリウムコーティングダイナミックドライバーが豊かな低音で全体を整え、Knowles製BAドライバー「SWFK-31736」「30017」が中音域~高音域まで表現します。スピード感のあるレスポンスの良い、切れのあるクリアで深い伸びのある音を表現しています。とても良い音です。








<エージング 200 時間越え(黒フィルター)>

構成:Fiio FH7 + onso 04 + コンプライTsx-400

ベリリウムコーティングダイナミックドライバーもかかなりエージングがすすみ、迫力と切れはそのままに、とがった部分は滑らかになり、音の余韻も心地よくなりました。音場も気持ち広がり、ボーカルも気持ち前に、より聴き取りやすくなりました。低音~高音域まで曇りのないクリア感は他のイヤホンでは表現できない美しさです。今まで低音域と高音域に押され気味だった中音域ですが、ここにきてシッカリしてきました。繊細な中音域も美しく表現します。もう、これは完璧じゃぁないですか!
特に、50年代や60年代の古い洋楽も邦楽も繊細に音圧アップ!更に解像度も高くクリアに美しく鳴ります。ケーブル効果も多分にありますが、正直クリア感ではAKG N5005の上を行きます。FH7はどんなDAPでも良い音をだします。正直この価格でこの音を出すFH7は凄いと思いました。








■他のプレイヤーで聴いて見る
さて、程よくエージングが済んだところで他のプレイヤーで聴いてみたいと思います。公平を期すためケーブルは全て「HiF4834リケーブル」を使用し、フィルターはバランス(黒)を使用します。


<HIDIZS(ハイディズ)AP80ProCP(純銅ボディー)>
音圧・音質(低音・高音)のバランスがとてもよい。こじんまりとした音場ですが、銅による深みがある豊かな音質でコストパフォーマンスが高いDAPです。

【聴いてみた】
これは凄い!
音質をそのままワンランクアップした感じです。「よくも、このイヤホンをここまで鳴らせたな!」と言う感じです。もう3万円のDAPの音では無いです。



<HiBy(ハイビー)R6Pro (316Lステンレスボディー)>
316Lステンレススチール筐体のR6Proは力強い低音と全体的に硬質でソッリドな美しい音色を出します。

【聴いてみた】
はぁ~良い音だ!
最初は、「ソリッドのR6Pro x キレキレのFH7 とでは喧嘩するかも?」と思っていたのですが、意外にも、音場に広がりと深みが出て、力強くソリッドでクリア、低音~高音まで、キレキレなのに優しい何とも言えない美しい音です。耳に音が刺さることは全くありません!HiBy R6pro x Fiio FH7はNo1の組み合わせかもしれません!




<SONY(ソニー)WALKMAN NW-WM1Z 純銅ボディー)>
繊細で深く、音に空気感や粒感や色気まで表現するその音質にはいつも魅了されます。ユッタリの流れる音に癒されます。

【聴いてみた】
なんだこの音は!
WM1Zの個性的な音質をそのまま音圧アップした感じです。WM1Zでこんなに迫力良く鳴るんだと感心しました。本来、WM1Zは銅ボディーで柔らかい繊細な音の流れですが、そこに少しの硬さと少しスピード感が加わり、とても良い感じです。
しかし、最新のFiio M15は特にアンプ性能が凄いので、SONY のS-Master HXでFiiO FH7を鳴らす時には、アンプのPower不足を残念ながら感じてしまいます。

Fiio FH7はインピータンス16Ωです。出力(W)はかなりの差があります。
■WM1Z(S-Master HX):DACとデジタルアンプが一体化
 バランス接続時 250mW(16Ω)

■M15(DAC + オペアンプ):DACとオペアンプアンプは別で自由度が高い
 バランス接続時 420mW(16Ω) 635mW(32Ω) 120mW(300Ω)

ここ最近、S-Master は進化していません。SONYのウォークマンもエントリーマシンなら良いですが、ハイスペックマシンとなると、①「S-Masterを大幅見直しPowerもアップグレードする」、②「S-Masterをデジタルアンプを捨てオペアンプ及びDACの分離に向きを変える」①か②への変革の時期に来ているのではないでしょうか?
例えば
①バッテリーが大きくなっても良いのでデジタルアンプ出力を今の倍以上に。
②アナログアンプに変更し、音処理でいかにSONYらしさを出すかが腕の見せ所。
個人的には、ハイスペックモデルには①を切望です。
S-Master HX MarkⅡ か S-Master HX MAX とかの名前はどうでしょうか(笑







■ケース
FiiO FH7は大きいので今まで持っていた外出用のケースに入りませんでした。なので別途買うことにしました。「ポイントは硬くて軽いはハードケース」です。色々探して良さそうなのをゲットしました。

Smatree イヤホン ケース 小物収納ケース SoundPEATS/BeatsX.Powerbeats2/Powerbeats3/Apple Magic Mouse2など収納ハードキャリングケースA20


少し大きいですが、これくらいのサイズがないと FH7が安心して入れ入れません。
ケースには磨き布も付いているので、ケース内で左右のイヤホンが干渉しないように間に軽く添える事も出来ます。軽くて丈夫なジャストなケースでした。






■最後にもう一度ケーブルを交換する
前回交換した「onso イヤホン・ヘッドホン用リケーブル iect_04_bl4m」ですが、音質は非常によく低音域から高音域までクリアに伸びのある音を出してくれます。しかし、耳にケーブルを引っかける部分の座りが非常に悪く、すぐケーブルがペロンと外れます。FiiO FH7はサイズが大きいのでもっとしっかり耳掛け出来るケーブルを探すことにしました。見つけたのは「NICEHCK製の純銅、銀メッキ ケーブル」です。

NICEHCK BLOCC 5N銀メッキUPOCC メタルコネクタ 着脱式 アップグレードケーブル
【仕様】
■材質:5N銀メッキ単結晶銅 UPOCC メタルコネクタ(純度99.999%)
■プラグ種類:3.5mm/2.5mm/4.4mmストレートプラグ オプションから選択
■コネクタ種類:MMCX、0.78 2Pinとqdc 2Pinオプションから選択

質感の良いケーブルは太く良いと音を予感させます。また、大きくがっちりとした耳掛けガイドが付いています。これでかなり耳掛けが安定しました。

ケーブルのタッチノイズは全く気になりません。音質ですが、非常にプレーンな印象です。 FiiO FH7の持つ本来の音質をそのまま底上げした感じです。楽曲の要求に応じて、豊かな低音から高音域まで、繊細な解像度の高い音をサラリと鳴らしてくれます。癖のない良いケーブルだと感じました。また、 FiiO FH7との組み合わせとしては最も良いと感じました。音楽に没頭できます。

ケーブルが太いので取り回しが悪く感じますが、そんなことはありません。個人的にはこの太さに安心感もあります。先日かったハードケースにもジャストインです。



■最後の最後にもう一度ケーブルを交換する
前回の黒い「NICEHCK製の純銅、銀メッキ ケーブル」リケーブルからしばらく経ちました。FH7-Bのベリリウムコーティング・ダイナミックドライバーのエージングも更に進み硬さも取れてきました。純銅・銀メッキケーブルの出す音は、低音から高音域まで濃厚に野太く鳴ります。しかし、長時間聴いていると、少し疲れたり、中高音がたまに耳に刺さり気味になることもあります。そこで、もう一度リケーブルで実験をしてみようと思いました。純銀ケーブルへの交換です。

(純銅ケーブル)は太く力強い音を出します。低音が良く出て、高音はスッキリとした音になります。(純銀ケーブル)は繊細で広がりのある音をだします。低音域は控えめに、高音域はキラキラと美しくなります。なので、基本的に低音好きの私は純銅ケーブルしか持っていません。

「暴力的な音圧で全音域を鳴らすFH7-Bに純銀ケーブルをぶつけるとどうなるのか?」これはもう、実験するしかないでしょう!失敗しても良いようにリーズナブルな純銀ケーブルを探し「KBX4904 mmcx 2.5mm 4極 純銀 ケーブル 4芯 99.99%純度 バランスケーブル」と言うケーブルを購入しました。


まずは、FH7以外の手持ちのイヤホン「AKG N5005」「AKG N40」など色々に接続して聴いてみました。一様に明確に変わるのは、繊細な音空間と煌めく高音域、音質は少し優しくなり、やはり低音域の迫力が無くなりました。悪くはないけれどやっぱり切れのある、圧のある低音が欲しいと思いました。「AKG N5005」「AKG N40」などには(純銅+銀メッキ)ケーブルの相性が良いと感じました。

さて、純銀ケーブルの特性を味わったところでFH7に接続します。
美しいWhiteケーブルです。4芯なので少し頼りないです。今後もっと太い純銀ケーブルを探そう!

耳掛け部分がRになっており、装着感も期待できそうです。

聴いてみました。
これは・・・・素晴らしいです。低音・中音・高音、FH7の迫力の音質はそのままに、音空間がクリアで繊細に、キラキラと微かに広がる高音域、それは美しく聴き入ってしまいます。特にボーカルやコーラスの美しさは絶品です。アコースティックギターなどの弦楽器やパーカッション、ドラムスなども更に切れ良く美しくなりました。
純銀ケーブルとの相乗効果は凄いです。FH7の特性を全くスポイルせず、聴きやすさと美しさをプラスしてくれました。聴き疲れも全くなく、高音域が耳に刺さることもありません。いま、古い曲を再度聴き直していますが、どの曲を聴いてもドキドキします。また、MMCXコネクタの長さも短くFH7との相性もバッチリで耳掛けも良好です。ケーブルのタッチノイズもほぼありません。私の持っているリケーブルの中では最安のケーブルですが、3000円そこそこの金額でこのパフォーマンスは凄いです!(こう言う所でも中国パワーを感じます。)FH7には純銀ケーブルが絶対おすすめです!


純度99.99%純銀 ケーブル 4芯 ➡ 8芯 に変更する
FH7と純銀ケーブルとの相性は素晴らしいのですが、やはり4芯は心もとない。と言うことで8芯に変更しました。(まず、購入後10時間ほどエージングしました)
KBX4904 mmcx 2.5mm 4極
純銀 ケーブル 4芯 99.99%純度 バランスケーブル

KBX4913 mmcx 2.5mm 4極
純銀 ケーブル 8芯 99.99%純度 バランスケーブル
KBX4904   KBX4913
8芯は物理的にも太くなり、とても丈夫です。断線もしにくいように感じました。見た目の安心感は高いです。音質の向上にも期待が膨らみます。

さて、肝心の音質ですが、ちょっと想像と違っていました。4芯時の音質が全体的に更に引き上げられる感じを想像していたのですが、実際は、4芯時の解像度や音質を持ったまま全体的に重厚になりました。今までの明るい音質が、少し濃厚に落ち着きのある音になりました。とても良い感じです。純銅のケーブルも太くなると、音も図太くなりますが、純銀でも同じでした。お値段は4芯の倍近くになりますが、それでもコスパは高いです。
また、スッキリあっさりした音が良ければ4芯の方が良いかもしれません、




■イヤーピース(イヤーチップ)の変更
素晴らしい遮音性と吠える低音、長年にわたって利用してきたコンプライのイヤピースですが、近年耳にかゆみを覚えるようになり変更することにしました。刺激の少ないシリコンを使った「スピンフィットCP100+」と言う商品です。音質についても中々のものです。







【総括】
エージングは兎に角シッカリした方が良いと思いました。最低でも100時間以上!FH7は13.6㎜と言う大きなベリリウムコーティングのダイナミックドライバーが全体の音の基盤になっていると思うので、特にエージングによる影響が大きいと感じました。

ベリリウムコーティングダイナミックドライバーの特性を簡単に調べてみました。
・チタンなどの金属に比べて、音伝導性や硬さが約2.5倍、比重も軽いという特性。
・音の伝播速度が速く振動板全体が一体となって音を再現できる。
・高い周波数の再現性に優れ、振動時に変形しない硬さを持つため、音の濁りが少ない。
・軽いので振動板を速く動かせ、レスポンスが向上。
 他のパーツとも共鳴しにくくクリアな音がでる。

この特性を考えながら音楽を聴くと、なるほど低音~中音域のベースやバスドラのスピード感やレスポンスが普通のダイナミック型とは思えないほど良いのです。これがベリリウムコーティングダイナミックの威力でしょうか!?また、この迫力のベリリウムコーティングダイナミックドライバーの音質に一歩も引かないBA型ドライバー群も聴きどころです。兎に角お互いに負けていない、お互いに主張しあいます。エージング0時間の頃はみんな好き勝手にバランバランに色んな所で鳴っている感じがあり「大失敗したかも!」と思いましたが、エージング後は上手くバランスして一体化しています。Fiio はFH7本体のチューニングを素晴らしい次元で完成させていると感じました。

正直言って、再生周波数帯域:5Hz ~ 40kHzで、キッチリと音を出すイヤホンはN5005以来初めてです。低音域に関しては再生周波数帯域:6Hz ~ 52kHzのHA-FW1500に肉薄します。Fiio FH7イヤホンの特徴としては「若干苦手な帯域があるようにも感じますが、クリアな音質で、音圧があり、スピード感があり、解像度が高く、低音域~高音域まで段付きも無くレスポンスよく的確に表現できる」そんな感じです。また、この特徴は古い楽曲を聴くときであっても同じで、少し眠くなるような古い音も生き生きと聴かせてくれます。そう言った特徴が好みの方であればFiio FH7はお勧めだと思いました。ただ、Fiio FH7の購入を検討中の方は必ず一度お聞きになった方が良いと思います。その時はご自分のプレイヤーで!



Fiio FH7の音が好きか?
最後に「Fiio FH7の音が好きかどうか?」と言う事になります。個人的には好きです。しかし、人によっては「イマイチ」と思われるかもしれません。正直、音響フィルターの出来はあまり良くないと感じています。どのフィルターにしても一長一短でヘタをするとチューニングがグタグタになりかねません。交換フィルターはやめてしっかりチューニングした、固定フィルターにすべきだと思いました。

私の場合は、比較的お気に入りのチューニングが出来たと思っているのでFiio FH7の評価は高いです。また、EDM・ロック・ポップス・ジャズなどをメインで聴くので、クリアで切れのいいFH7の音は好みです。しかし、クラシックなどを温和な音で静かにマッタリ聴きたい方には、音の切れが良すぎてあまり向かないかもしれません。

AKG N5005とFiio FH7
AKG N5005はカマボコ状で、原音を大切に、全ての音が美しく繊細に表現されます。音場も広く、音の余韻の伸びが最後まで聴こえるようです。低音域は比較的マイルドで、中音域は繊細にシッカリと、高音域はキラキラしています。また、音の抜けも良く、鼓膜にかかる圧が優しい感じがします。聴き疲れしにくいと思います。

Fiio FH7は低音域と高音域のレスポンスが強いのでどちらかと言うと逆カマボコ状か、又は、「音全体が一気に立ちあがる感覚の平面駆動イヤホンRHA CL2 Planar」に近い鳴り方かもしれません。また、インピータンスの違いだけとも思いませんがプレイヤーのボリュームレベルが全然違います。N5005(18Ω)と同じレベルでFH7(16Ω)を聴くと爆音になります。音の圧がドーンと吹き出てくる感じです。N5005に比べると長時間大音量で音楽を聴くと疲れるかもしれません。

個人的な意見としては、どちらが良いとか悪いとかではなく「N5005とFH7のフィーリングが逆」だと感じました。または、「優しいN5005と激しいFH7」と言う表現もありかなと思いました。ただ、激しいと言っても闇雲に音をブーストアップして激しい音にするわけではありません。低音や高音を主張していない演奏のを聴く場合に、むやみに特定の楽器や低音や高音を強調するわけではありません。そう言った楽曲は、それなりに演奏を壊さないように、全体の解像度や音圧が底上げされクリアに聴こえます。ある意味モニター的な正確さもあると感じました。

N5005とFH7、ドライバー構成やスペックが比較的似ているので「音質も似ているかも?」と思ったのですが、実際各メーカーの目指した音は「似て非なるもの」でした。実は「音質は似ていたらどうしよう!無駄な買い物かな!」と思っていたので、この音質の違いはラッキーでした。

最後にFH7はリケーブル選びがポイントだと感じました。最後の最後で、今まで避けていた「純銀ケーブル」に交換したところ、最高に美しい音質になりました。





※ウレタン系とシリコン系のイヤーピースの違いだけでも音質はガラリと変わってしまいます。内容はあくまでも個人的な環境下での考えですのでご了承ください。参考程度にお読みいただければ幸いです。