2024年1月1日月曜日

1MORE penta driver p50(ワンモア ペンタドライバーヘッドフォン ピー50)レビューを忘れてましたが、7mmφダイナミックドライバーx1、平面駆動ユニットx4とかなりの変態イヤホンです。レビュー評価してみます。

 

1MORE penta driver p50

【はじめに】
実はとても大事な変態イヤホンのレビューを忘れていました。
1MORE penta driver p50「7mmφダイナミックドライバーx1、平面駆動ユニットx4のハイブリッド」というドライバ構成の有線イヤホンです。購入したのは少し前ですが、簡単にレビューしてみます。「ダイナミックドライバーx1、バランスドアーマチュアx4」と言うドライバ構成は今や普通中の普通ですが、「ダイナミックドライバーx1、平面駆動ユニットx4」というのは中々見当たりません。
ハイレゾ音源に対応した5ドライバー・ハイブリッド・アコースティック方式を採用し、DLCダイナミックドライバーと4つの専用平面ユニットを内蔵することで、すべての周波数帯域をカバーし、豊かでコクのあるサウンドを再現します。

モデル:EH904
ドライバー:7mmφダイナミックドライバーx1、平面駆動ユニットx4
周波数範囲:20Hz~40kHz
インピーダンス:32Ω
感度:105dB
定格出力:5mW
※詳細はメーカーホームページをご覧ください



【開封】
箱は少し大きめ、3.3㎜シングルエンドのケーブルが付いていますが使用しません。さすが1MOREの製品、可もなく不可もなくシンプルで良好です。内箱がベージュ色でセンスを感じます。実はこの製品Amazonの訳あり商品です。多分箱潰れのアウトレットでしょう。当時、もう商品が全然なくて速攻で買いました。中身が問題なければ良いのです。



普通に買った商品が傷物の場合は絶対に許しませんが、
今回は傷物と分かって買うので中身が問題なければすべてOKです

ベージュの配色がお洒落です
構造の説明等もお洒落です
非常にシンプルで小さいです。筐体はプラスチックでしょうが質感は良いです。
これで本当に平面駆動ドライバーが4つも入っているのでしょうか?
フィルターもシッカリしており目が細かいです。高級感もあります。
コネクタはMMCX
RN T2 Pro  MMCX ケーブルに交換します
 16芯OFC銀メッキ線 イヤモニ バランスケーブル
AZLA SednaEarfit MAX [ Lサイズ2ペア] に交換
p50はノズルが少し短いので私の耳には(L)サイズがベストマッチ

エージング後、低音が膨らみ過ぎる様になったので(ML)サイズに変更
(ML)サイズにすると若干遮音性は多少下がりますが、耳への圧迫も減り、抜け感・低音の切れ・高音域伸びがアップします。penta driver p50は重低音は出ませんので、今回は低音~超高音までのバランスを重視します。
完成です




【エージングする】

※最近はレビュー評価に際して、事前に少し聴いています。
全体的に輪郭がボケて見通しが悪く、左右への音場は適度ですが、奥行きはあまりありません。低音域~中音域は出ていますが少しボアついています。高音域は硬めですが耳に刺さる事はありません。
ダイナミック型ドライバーと平面駆動ドライバーとのバランスですが、上手くまとまっていると感じます。多分ですが、ダイナミック型ドライバーと平面駆動ドライバーでキッチリと再生周波数帯域を分けてはいないのではないでしょうか?ダイナミック型ドライバーは、ほぼフルレンジで低音~高音まで対応し、平面駆動ドライバーは中音域~超高音域までを受け持っているのではないでしょうか?そんな風に感じました。

特に平面駆動ドライバーはエージングに時間を要します。
少なくとも100時間のエージングを行います。個人的には200時間あたりが理想です。


エージングには、ミニPC「ミニpc N97 mini pc2023」とDACはUSB接続スティックタイプの「Astell&Kern AK HC2」を使用します。この組合せで100時間ほどボリュームを少し落として鳴らしっぱなしにします。
※実は「Astell&Kern AK HC2(Cirrus Logic社製DAC、CS43198[アンプ内蔵])」との相性も抜群でした。もう少し低音が欲しい所ですが切れも良く十分です。音場もあり特に中高音域の美しいこと!ファーっと広がる余韻も美しく、本当にシルキーで惚れ惚れします。




【評価の環境】

最近は個人的スタイルとして、専用のDAPを使いません、基本「完全ワイヤレスイヤホン」を接続する時と同じ環境にします。音楽もストリーミングもYouTubeも見る事のできる「スマートフォン」+「Bluetooth対応モバイルDACアンプ」+「有線イヤホン」の環境です。また、基本コーデックは「aptX Adaptive」としています。
※現状LDACは音切れが多いので不可


■プレイヤー:motorola razr 40 ULTRA

対応コーデック
コーデック サンプリング  ビットレート
SBC 48kHz/16bit         192kbps
AAC 48kHz/16bit         非公開
aptX 48kHz/16bit         384kbps
aptX HD 48kHz/24bit     576kbps
aptX Adaptive 48kHz/24bit     280kbps~420kbps可変
aptX Adaptive 96kHz/24bit     260kbps~640kbps可変
LDAC         96kHz/24bit     990kbps/660kbps/330kbps
aptX Lossless           44.1kHz/16bit     最大1200kbpsでビットレート可変
LC3 48kHz/32bit         16kbps – 320kbps
LC3(plus) 96kHz/24bit         16kbps – 320kbps


■オーディオアプリ:Neutron Music Player
設定等が複雑ですが、機能が多く音質が良いです。(WindowosPCでも使用)
※ノーマライゼーション(OFF)・イコライザー(OFF)に設定




■評価に使う楽曲
評価にはいつものようにYouTubeの「お洒落なミュージック」に掲載しているような楽曲を使います。音源データのサンプリングレートは(44.1kHz)(48kHz)(96kHz)(192kHz)のハイレゾがメインです。ファイル形式はFLAC又はAACです。





■DAC&アンプ①:FiiO(フィーオ) BTR7
DAC:ES9219C x2、アンプ:THX AAA-28
対応コーデック:LDAC:96kHz/24bi、aptX Adaptive:48kHz/24bit




■DAC&アンプ②:iFi Audio(アイファイオーディオ) xDSD Gryphon
DAC:バーブラウン製、アンプ:1000mW @ 32Ω
対応コーデック:LDAC:96kHz/24bi、aptX Adaptive:48kHz/24bit






【聴いてみる】

①FiiO(フィーオ) BTR7による評価

FiiO BTR7はスッキリとしたバランスの取れた音を出します。低音~高音域まで比較的フラットで力強い音質です。音場はさほど広くありません、奥行きも深くなくどちらかというと目の前で演奏が展開されます。イヤホンの個性をシッカリ生かしてくれるDCAアンプです。コンパクトで持ち運びにも優れてます。


それでは聴いてみます
良い意味で普通に良い音です。比較的音場の狭いFiiO BTR7ですが、広くなります。低音~高音域までも繋がりが良いので全体気にスッキリとした音質です。解像度は高く見通しも良いです。高音域はシルキーで空気感や余韻も出てきています。しかし、エージングでまだ変わる予感があります。低音と高音が前に出てくるので中音域が弱く感じます。いわゆるドンシャリに近い鳴り方です。

1MORE penta driver p50は平面駆動ドライバーx1と「とても癖のある音質」と身構えていたのですが、平面駆動ドライバー特有の癖は無く少し拍子抜けでした。ハイブリッド型にありがちな音域の段差は感じません、よく聴くと低音と高音の”音の質”の違いがあるくらいですが、気にはなりません。個人的にはもう少し低音が欲しいです。

高音:シルキーなスッキリとした高音。BA型の様なシャリシャリ感はありません。
中音:中音域の解像度は非常に高いです。女性ボーカルが特に美しいです。
低音:あまり深くなく比較的アッサリとした低音です。輪郭もマイルド。
音場:左右への余韻の伸びはありますが、適度な広さです。
奥行:比較的中間域に音がいます。あまり深さを感じませんが聴きやすいです。
音圧:シッカリとした音圧があります。ダイナミック型ドライバーを感じます。
抜け感:非常にクリアな抜け感です。
解像度:エージング後かなり良くなります。

「FiiO BTR7」は比較的スッキリアッサリした音なので、リスニングとしてはある意味面白味に欠ける所もあるのですが、「1MORE penta driver p50」は良い意味で、そのアッサリ間を底上げします。相性は良いです。

【相性評価】 ★★★★☆ 4.5



②iFi Audio(アイファイオーディオ) xDSD Gryphonによる評価

xDSD Gryphonはとにかく官能的な音を出します。「性能の良いDACと上質はPowerのあるアンプだとこんなに音が良くなるんだ」と肌で感じる事の出来る商品です。しかも音源はBluetooth接続で・・・。


それでは聴いてみます
毎回言ってますが、xDSD Gryphonの音はやっぱり凄いです。おおよその音質の感想は上記の「①FiiO(フィーオ) BTR7による評価」をベースとしていただいて良いです。
BTR7からアップする部分のみ記載します。

xDSD Gryphonにすると
●そこ時からのある音圧、低音・中音・高音が濃厚に立体的な音質になります。
●低音が奥から全体を包み、中高音は中央から広がります。
●低音が持ち上がります。特にダイナミックドライバーの低音量がアップします。
●中音が持ち上がります。よりボーカルが際立ちます。
●中音域がアップ!ダイナミックと平面駆動ドライバーのバランスが良いです。
●高音が良い意味でサポートに回ります。シルキーで美しい余韻を残します。
●切れのある濃厚なバスドラ、透き通るようなシンバルが心に響きます。
●音場は上下が少し広がります。特に高音が左右にファーっと音場が広がります。
●解像度が更に高くなった感じがします。濃厚ですが見通しは良くなります。
●楽曲によってはFiiO BTR7の時に見せたスッキリ感が暴力的に感じます。イイ!

【相性評価】 ★★★★★ 5.0



【やっぱりBluetoothだけではもったいないので】
良い音だという事は分かっているのですが、やはり確認してみます。
未だ現役で使っている「SHANLING(シャンリン) M6 Ver.21」「HiBy(ハイビー) R8SS」で聴いてみました。

SHANLING(シャンリン) M6 Ver.21による評価
「ESSのDACチップ:ES9038Q2M+オペアンプ:OPA2211」は、濃厚で繊細で乾いた切れの良い美しい音を出します。音圧もあって、解像度も高くて、とても見通しの良い音質は素晴らしいです。各楽器の細やかな演奏やクッキリとしたボーカルにはいつまでも耳を傾けていたくなります。音の粒が見えるようで「繊細なのに濃厚」そんな美しい音質が特徴です。

それでは聴いてみます
うわ~イイ!音場は広く、切れのある低音がシッカリと出ており、中音域も膨らみ、シルキーな高音域は更にシルキーになります。全ての音が立体的に美しく繊細にガンガン来ます。ボーカルの位置は大体目の前より一歩下がったあたりです。感覚的には「xDSD Gryphonの音」を少しアッサリ目にして、更に解像度を上げた感じです。この辺りはやはり無線のビットレートの壁が無い事を実感します。あんまり「SHANLING M6 Ver.21」の音を聴いていると、FiiO BTR7に戻れなくなりそうで怖いです。相性は抜群です。

【相性評価】 ★★★★★ 5.0



HiBy(ハイビー) R8SS
「旭化成エレクトロニクス製DAC:AKM AK4497 x 2、オペアンプ:OP02」アコースティックな楽曲からPC打ち込みの楽曲まで、オールラウンドに鳴ります。左右上下前後に広がり過ぎない適度な音場を造り、高音域が繊細に微かに拡散して行く様はステンレススティール筐体ならではと感じました。音圧もシッカリあり、特に切れの良い深い低音域、煌めくような高音域が美しいの一言です。スピード感も切れもありますが粗削りではなく洗練されています。

それでは聴いてみます
全体的に金属的な共鳴を得意とするR8SSです。音場は広く奥行きがあります。全体的に少し後ろの方で全ての音が鳴ります。サーと伸びて行く共鳴が美しいです。ただ、何でしょう、全体的に非常に美しい音なのですが、比較的フラットな鳴り方をします。低音もあまりなくpenta driver p50の特徴でもあるシルキーな高音域もサラリと流れます。
決して音が悪い訳では無くとても良いんですが、penta driver p50の特徴がパッとしません、ひょっとしたらR8SS自体が全体的にキラキラ&シルキーな音を出すので、あまりにも馴染み過ぎているのかもしれません。
逆に言うと長時間聴いても疲れない美しさがあります。相性は良いんですが、ドンシャリ好きの人には向かないかもしれません。個人的には想像と違う結果でした。もっとガンガン来るかと思ったのですが。

【相性評価】 ★★★★☆ 4.0






総括】
ハイブリッド型(ダイナミック型+BA型)にありがちな音の段差もなく、いたって癖のない音質です。一般的に平面駆動ドライバーは音に歪みが無いので、低音~高音までフラットな音を出します。個人的には「面白みに欠ける音」だと思っているのですが、本製品は全くそんな感じを受けません。
ダイナミック型ドライバーが良い仕事をしていると思います。多分ですがこのダイナミック型ドライバーは重低音・低音寄りのチューニングではなく、低音~中音(高音寄り)域までをカバーしているのではと感じます。4つの平面駆動ドライバーは中音域から超高音域までを細分化しダイナミック型ドライバーの上でバランスよく融合するように鳴っているように感じます。ひょっとするとネットワーク回路を持たず、音の帯域の割り振りをドライバーの周波数特性のみに預けているのかもしれません。本当に段付きのない自然な鳴り方です。これは変態イヤホンではなくナチュラルなイヤホンと呼べるでしょう!アコースティック~EDM・PC打込の楽曲まで、オールラウンドに鳴らせるイヤホンです。

約200時間のエージング後更に全体的に見通しが良くなりました。更に解像度が高くなった感じです。低音は更にズシッと重くなり切れも良くなってます。また、エージングを重ねていくとスピード感もありながら、音質は非常に柔らかくなり聴き心地が良いのです。個人的に「平面駆動ドライバーの音質は少し硬め」と言うイメージがあったのですが、少し驚きました。高音域の音質はバランスドアーマチュア(BA)に似ていますが、雑味が無く非常にクッキリそしてシルキーです。

(最後に)
完全ワイヤレスイヤホンですが、現在同じ「ダイナミックドライバー+平面駆動ドライバー」の構成を持つAVIOT(アビオット)TE-Z1PNKを所有しています。チューニングが全然違うので一概には言えないのですが、ダイナミックドライバーと平面駆動ドライバーの組み合わせは非常に優秀と感じます。また、Kiwi Ears Quintet(キーウィ イアーズ クインテット)を見ると平面駆動ドライバーとBA型ドライバーの共存というのも「今後普通になるのかな?」と感じました。「それぞれの担当パートをどうするか」とか、諸々チューニングが難しいと思いますが・・今後の楽しみでもあります。

※ウレタン系とシリコン系のイヤーピースの違いだけでも音質はガラリと変わってしまいます。内容はあくまでも個人的な環境下での考えですのでご了承ください。参考程度にお読みいただければ幸いです。