2024年12月30日月曜日

HIDIZS(ヒディス)MP145 最近の平面駆動型ドライバー搭載のイヤホンには魔物が住んでいる。簡単にレビュー評価してみます。

HIDIZS(ヒディス)MP145
 【初めに】

2024年10月に「LETSHUOER S08(平面駆動型ドライバー)」を購入しました。「S08」は、今まで平面駆動型ドライバーに対して悪いイメージしか無かった私に、驚 きと感動を与えてくれた素晴らしいイヤホンでした。
「S08」は、LETSHUOERの第四世代13mm平面駆動型ドライバーを搭載しており『二つの磁石で両面コイル振動板駆動』させ、更に『PTR弾性フィルムを素材にするエッジを追加』し低音を増強させています。新しい技術をふんだんに盛り込んたその音質は美しくあり刺激的で低音も素晴らしいものでした。

そこで疑問が・・平面駆動型ドライバーは「何時からこんなに刺激的で美しくリスニングに適した音」になったのでしょう?少し調べてみたくなりました。色々物色を行いました。選定条件としては「一年以上前の商品、技術的に低音増強などのギミックのないプレーンな技術、ハイレゾ対応」と、しました。

本来であれば、同じLETSHUOERの「S12 Pro」に行くべきなのですが、目についたは「HIDIZS(ヒディス)MP145」でした。HIDIZSはお気に入りのDAP「 AP80 Pro CP/Rose Gold/Titanium Alloy Limited Edition 」で音質については非常に信頼感を持っているブランドです。

平面磁気ドライバーインイヤーモニター
HIDIZS MP145 は、高感度、低歪み、幅広い周波数応答により、インイヤーモニター (IEM) の世界で際立っています。104dB の感度と 30Ω のインピーダンスにより、携帯電話やドングル DAC など、さまざまなデバイスから簡単に駆動できます。平面ドライバーは、超低歪み (<0.05%) と 20Hz ~ 40kHz の幅広い有効周波数範囲を実現し、オーディオマニアや音楽愛好家にとって最高の選択肢となっています。

完全対称磁気回路
完全に対称的な磁気回路は、金型組み立て時に 7+7 個の N52H 磁石を正確に配置します。この設計により、高調波歪みが低減し、磁気回路の効率が向上し、磁気ギャップで最大磁束が 1 テスラ近くまで上がります。その結果、比類のない輝きを持つ非常にクリアな音質が実現します。

音の至福をカスタマイズ: 3 つの空気圧式サウンド チューニング フィルター
HIDIZS の革新的な 3 つの空気圧サウンドチューニングフィルター交換技術により、MP145 はボーカル、バランス、ベース用に細心の注意を払って作られたイヤーチップによって完璧に補完された 9 つの異なるサウンドスタイルを提供します。この最先端技術により、MP145 は 9 つのサウンドスタイルの多様な選択肢を提供し、幅広い音楽ジャンルと個人の好みに対応します。リアルな音楽シーンに浸り、サウンドの真正性を体験してください。高周波、バランス、低周波モードを簡単に切り替えて、個人の好みや聴いている音楽ジャンルに合わせます。繊細なメロディー、力強いベース、バランスのとれたブレンドなど、オーディオ体験をカスタマイズし、カスタマイズ可能な音の至福の世界に浸ってください。




仕様
■製品:HIDIZS MP145
■カラー:ブルー
■ドライバー:14.5mm超大型平面磁気ドライバー×1
■インピーダンス: 30Ω
■感度:104dB@1kHz
■周波数応答範囲: 20Hz-40kHz
■本体素材:アルミ合金
■ケーブル:4x30x0.05mm単結晶同銀メッキ線材

■HIDIZS 空気圧式サウンドチューニングフィルター
■完全対称磁気回路
■隠されたバイオニック呼吸孔

■標準2pin 0.78mmピンコネクター
■付属ケーブル:99.9999% の高純度単結晶無酸素銅銀ケーブル(4.4mm)
※詳細はメーカーホームページをご覧ください


【開封】

箱は「材質・サイズ・デザイン」はいたってシンプル。







【TRN T2 Pro ケーブルに交換】
製品には「単結晶銅銀メッキケーブル(3.5mm/4.4mm交換可能プラグ)」が付属していますが、はやりここは「TRN T2 Pro ケーブル」し他のイヤホンとの整合性をとります。銅と銀で構成されており低音も高音も走る癖のない良いケーブルだと思います。





【イヤーチップ交換】

ノズルの太さや長さは一般的でしたので「AZLA(アズラ) SednaEarfit MAX」にしましたサイズは(ML)サイズ・(L)サイズ。両方試しましたが、装着の安定性と低音の出方が(ML)では弱いので(L)サイズとしました。
ノズルが太いです。少し手こずりましたが入りました。


通常、耳垢フィルターがハッキリと認識できるのですが、
伸びて広がって確認できません(笑




【聴いてみる】

■評価に使う楽曲
評価にはいつものようにYouTubeの「お洒落なミュージック」に掲載しているような楽曲を使います。音源データのサンプリングレートは(44.1kHz)(48kHz)(96kHz)(192kHz)のハイレゾおよび(44.1kHz/16bit)のロスレスFLACファイルがメインです。


プレイヤーは「Neutron Music Player」を使用します。

設定等が複雑ですが、機能が多く音質が良いです。WindowosPC版も存在しており、私の手持ちの全ての端末で統一できます。
※ノーマライゼーション(OFF)・イコライザー(OFF)に設定




■利用プレイヤー スマートフォン

プレイヤーには、SONY Xperia 1 VIを使用します

Bluetooth接続時 対応コーデック

コーデック サンプリング  ビットレート
SBC 48kHz/16bit         192kbps
AAC 48kHz/16bit         非公開
aptX 48kHz/16bit         384kbps
aptX HD 48kHz/24bit     576kbps
aptX Adaptive 48kHz/24bit     280kbps~420kbps可変
aptX Adaptive 96kHz/24bit     260kbps~640kbps可変
LDAC         96kHz/24bit     990kbps/660kbps/330kbps
aptX Lossless           44.1kHz/16bit     最大1200kbpsでビットレート可変
LC3 48kHz/32bit     16kbps – 320kbps
LC3(plus) 96kHz/24bit         16kbps – 320kbps


■利用Bluetoothレシーバー

FiiO(フィーオ) FIIO BTR17に4.4㎜コネクタで有線接続します。
DAC:ES9069Q×2、アンプ:THX AAA 78+、Bluetoothチップ:QCC5181

・QCC5181搭載による最新鋭のワイヤレス性能でロスレスオーディオにも対応
・詳細な音質調整を可能にする10バンドの高精細ロスレスPEQを搭載
・デュアル「ES9069Q」DACによる高品位な音質再現
・「THX AAA 78+」アンプによる強力な出力と優れた音質
・4.4mmバランス出力:650mW (32Ω、THD+N<1%)
・周波数特性:20Hz~80kHz(<3dB)
・高音質かつクリーンにこだわった精密な電源設計
・業界最新のBluetooth5.4に対応
・主要な高音質コーデックを網羅
 aptX Lossless:1200 kbps
 LDAC:990 kbps
 aptX HD:576 kbps
 aptX Adaptive:420 kbps
 AAC:328 kbps

BTR17はaptX Lossless対応です。どういう事かと言うと、CD音源を、Bluetooth無線において有線接続と遜色ない音が出ることを意味しています。BTR17は「圧倒的な解像度の高さ、濃厚な太い重低音、どこまでも抜けてゆく高音域、存在感のある中音域、圧倒的な音の厚み・深み、洗練された音質」と飛びぬけて良い音を出します。接続したイヤホンの性能を100%引き出せる能力があります。



まずはエージングの準備

エージングは(パソコン+FIIO KA15+MP145)の組み合わせで、音量を絞り音楽を流しっぱなしで行います。長時間エージングにおいても良い音を流してあげたいと思います。

DAC:Cirrus Logic CS43198×2 (Dual-DAC)、オペアンプ:SGM8262 ×2
FIIO KA15 FIO-KA15-L [4.4mmバランス出力:560mWの高出力、最大768kHz/32bitおよびDSD256のサンプリングレートに対応、ポータブルUSB-DAC]

パソコン+FIIO KA15で少し聴いてみました。
エージング0時間のファーストインプレッションです!
「低音~高音域までフラットでモニタライクな出方」「見通しが悪く抜けが良くない」「低音に迫力がない」「音がこもっている」「音場が狭い」「音は少し奥に聴こえる」「全体的に音が薄ぺらい」「高音域の抜けも広がりもない」「解像度も低い」でした。しかも、無線ではなく有線接続です。100%圧縮の無いデータが流れての音質です。「このまま音が良くならなかったらどうしよう」と若干不安になりました。
いずれにしても、平面駆動ドライバーはエージングに時間を要するので、引き続きエージングを行います。100時間は必要かと思います。



それでは聴いてみます

エージング50時間越え(MP145+FIIO BTR17+Xperia 1 VI接続)

うわぁ~MP145の音がガラッと変わりました!FIIO KA15では、低音、中音、高音の出方が比較的フラットで「モニター的な音だなぁ~」と感じていたのですが・・・・。音場は広がり、低音は持ち上がり、中音域のメリハリとレスポンスが半端なく、高音の伸びと余韻が素晴らしくなり、一音一音の存在感、空気感がアップしました。帯域の広さと解像度の高さを感じることができます。ただ、「もう少し抜け感と見通しが良くなるかなぁ~」といった感じです。MP145の素質の良さも然ることながら、やっぱりBTR17の性能は凄いと再認識です!

メリハリが凄い・・音場の広がり、中高音域の見通しは素晴らしく、平面駆動ドライバーらしい立ち上がりのよさと、余韻の伸びがあります。また、音の揺らぎも全く感じず、非常に安定したレスポンスを感じます。全ての音が、的確・正確に音が出ている、そして力強い。

高音:美しい煌めき、繊細でクリア、どこまでも伸びてゆく共鳴がまた素晴らしい
中音:ドラムスの切れ、ギターの弦の音、微かなトライアングルの音も聞こえます。
   楽器は一歩奥で、ボーカルがそこから半歩前に位置する感じです。
   男性・女性ボーカル問わず素晴らしいですが、特に女性ボーカルが美しい。
   シンプルなギターのストロークもとに力強く美しい。
低音:バスドラはかなりいいです。ベースは迫力や切れが今一歩。輪郭が若干緩い。
音場:広いけれども抜けすぎません。ヘッドフォンに近い音場に思えます。
奥行:目の前より一歩奥に音場が広がります。ヘッドフォンに近い奥行に思えます。
音圧:若干ボリュームが取りにくいですが。決まればズシっと来ます。
抜け感:全体的な抜け感がもう少しかなと思います。
解像度:解像度は高いですが、低音域の解像度はもう少し上がっても良いと感じました。

MP145の平面駆動型ドライバー自体には、特に凝ったギミックはなく、非常に基本的な技術をブラッシュアップした正統派のドライバーだと思っています。大きな「ドライバー」「1テスラに近い磁石」「筐体自体のサイズや構造」で音場を調整し力強い音圧と低音をしっかり出す工夫をしていると感じました。

MP145の音を聴くと間違いなくどこかの段階で、平面駆動型ドライバーの基本音質は飛躍的に良くなっていたと感じます。



エージング100時間越え(MP145+FIIO BTR17+Xperia 1 VI接続)

50時間からの変化
「低音量がアップ」「低音域の解像度がアップ」「低音の切れレスポンスアップ」「中音域の厚みがアップ」「中音域の見通しがアップ」「高音域の解像度がアップ」「高音域の伸びがアップ」「一瞬音が途切れた時の音の共鳴、余韻が更に美しく」「全体な解像度・見通し・レスポンスがアップ」しました!楽曲によってはベースの弦が唸ります。決して重低音が「ズシリ」と来るわけでわありませんが、低音フェチの私も十分満足なのです。
あと、何度も言いますが、これって無線です!この凄さはBTR17の要因が大きい所なのですが、BTR17の要求にキッチリと答えるMP145も凄いのです。しかも、MP145は、例えばもっと上位のDAC・アンプの環境下であったとしても、更に良い音がでる余裕を持っています。

秘密のベント?
このスリットの部分の穴が「バイオニック呼吸孔」だと思います。振動板の動きに応じて起きる空気の圧や流れを調整するベントと同じ役目をしていると思われます。このベントにより豊かな低音と音場の空間の広さが出ているのではないでしょうか?




【バランス接続 高出力650mW D.Modeで聴いてみる】

4.4mmバランス出力において、650mWの高出力を出すには「POWER IN端子からのUSB給電+(D.Mode)をON」の状態にする必要があります。

(D.Mode)ON

それで聴いてみます。
注意事項:「USB給電なし+(D.Mode)をOFF」で聴いていたボリュームのままで650mwモードにすると危険です!まずは、ボリュームを20くらいま
で下げておいてください。

グッと音量・音圧が上がります。音質の深み・高級感がアップします。もっとインピータンスの高いヘッドフォンの場合などの時には良いのですが、MP145に関しては「USB給電なし+(D.Mode)OFF」で十分と感じます。



【MP145のライバルと比較する】

MP145のライバルとなると「LETSHUOER(レットシュオワー) S08(エスゼロエイト)」でしょう。S08はMP145よりも後に発売され、最新技術が惜しみなく投入され、平面駆動型ドライバーの音の良さを再認識させられた素晴しいイヤホンです。



使用するプレイヤーはもちろん「SONY Xperia 1 VI + Fiio BTR17」です



それでは比較してみます

性能比較 MP145 S08
デザイン 可も不可もなく・・ただ・・
デザイン的には、良くも悪くも普通だと感じました。ただ、大きく、装着時に耳掛けに苦労します。ほとんどイヤーチップで留まっている感じです。
可も不可もなく・・ただ・・
Sの字をモチーフにしていると思われます。が、こちらも普通に感じます。ただ、耳への収まりは良く耳掛けも良好です。
ドライバ14.5mm平面駆動型×1 13mm平面駆動型×1
インピーダンス 30Ω 26Ω
感度
104 dB/mW
105 dB/mW
周波数応答範囲
5Hz-40,000Hz
5Hz-40,000Hz
ベント
バイオニック呼吸孔
なし
本体素材 アルミ合金 アルミ合金
コネクター 標準2pin 標準2pin
フィット感ケーブル:TRN T2 Pro リケーブル(ブラック)
悪い
コネクターの位置の問題でほとんど耳に引っかかっていない
ケーブル:TRN T2 Pro リケーブル(シルバー)
良い
コネクターの位置は問題なく耳にしっかりとケーブルが掛かる
イヤーチップ ★AmazonAZLA SednaEarfit MAX(L) ★AmazonAZLA SednaEarfit MAX(L)
メーカー通販価格
あくまでも参考価格
価格27,999円前後
★AmazonHIDIZS MP145
価格13,960円前後
★AmazonLETSHUOER S08
発売日 2023/10/30 2024/6/14
音質比較
音場
★★★★★5.0
楽曲によっては160度程度の広がりを感じます。ただ、これは高音域の横への共鳴を感じるからで中音域を中心に低音・高音域はシッカリと目の前少し奥の中央に感じます。非常に聴きやすく広さも存在感もしっかり感じる音場です。
★★★★☆4.5
適度な音場があります。感覚的には目の前に100度くらいの感じです。ボーカルを中心に左右に各楽器が広がります。上下はそう広くありません。ボーカルと各楽器が同一に広がる感じです。
音圧 ★★★★★5.0
安定した力強い音圧があります。多少ボリュームを絞っていても的確な圧を感じます。平面駆動型ドライバーなのでボリュームを上げると更によくなります。自分に合ったポジションが決まれば更に存在感のある音圧を味わえます。
★★★★★4.8
適度です。比較的軟かな音質なので音圧はあってもドン来る感じではありません。平面駆動型ドライバーなのでボリュームを上げると更によくなります。自分に合ったポジションを探してください。
解像度 ★★★★★5.0
非常に高いです。平面駆動型ドライバーらしく歪みの無い高い解像度を感じます。表現されるの帯域幅が本当に広くて、もうハイブリットイヤホンは不要と感じます。
★★★★☆4.5
若干中音域の解像度がもう少し欲しいと思うことがありますが、ハイブリッド型のイヤホンは必要ないと感じるくらい段付きも無く高い解像度です。
高音 ★★★★★5.0
透き通り美しい繊細な高音を出します。共鳴も美しく細部にわたるまで、とにかく美しく延びてゆきます。高音の質ですが、どちらかというと硬質な部類かもしれません。どちらかと言うと筐体アルミの固さも影響にも感じます。
★★★★★5.0
シッカリとした柔らかくシルキーな高音です。あまり過度の伸びはありませんが美しく疲れない高音です。シャリシャリ・キラキラと言う感じではなく、繊細で心地よいのです。
中音 ★★★★★5.0
中音域は若干高音寄りです。解像度も高く、レスポンスの良い濃厚な中音域です。ギターやバイオリン、ピアノなど弦楽器の繊細・美しさ・力強さを兼ね備えています。
★★★★☆4.5
中音域は非常に抜けも良くボーカルが映えます。ギターやバイオリン、ピアノなど弦楽器の繊細さと美しさが素晴らしいです。ただ、ドラムスなどのレスポンスは若干穏やかです。
低音 ★★★★★5.0
広がりのある低音とスピード感があり切れのいい低音が存在しています。しかも段付きもなく一体的に聴こえます。なんのギミックもなしにシッカリとした低音を表現しています。
★★★★★5.0
平面駆動型ドライバーとは思えない深くゆとりのある低音を出します。ダイナミック型ドライバーと比べてもそん色はありません。ただ、若干輪郭はマイルドでもあります。
打楽器 ★★★★★5.0
バスドラ、ドラムス、シンバル、木琴、大太鼓色々聞いてみましたが、アタック感・スピード感が素晴らしく小さな打音も逃しません。
★★★★☆4.5
シッカリとしたバスドラ、ドラムス、シンバル、木琴、大太鼓がしっかりと表現されます。ただ、全体的に柔らかくマイルドでキレキレと言う感じではありません
ボーカル ★★★★★5.0
男女ボーカルもシッカリと美しいです。切れが良く濃厚、透明感のある存在感のあるボーカルです。何時までも聴いていたい。
★★★★★5.0
男女ボーカルもシッカリと美しいです。しかも濃厚、全体的に柔らかで心地の良いボーカルです。何時までも聴いていたい。
相性の良い
楽曲ジャンル
EDM、ロック、ポップス、フュージョン、ジャズ、クラシック色々聴いてみましたがどれも素晴らしいです。アコースティック~電子楽器までオールラウンドです EDM、ロック、ポップス、フュージョン、ジャズ、クラシック色々聴いてみましたがどれも素晴らしいです。アコースティック~電子楽器までオールラウンドです
一押しポイント 低音・中音・高音全てが主張
全再生周波数帯域がバランスよく全てが主張し喧嘩もしない、シングルとは思えません!
平面駆動型ドライバーx1期のみでなんの特殊ギミックも無しに存在感のある低音~音域まで表現できるとは素晴しいです。また、平面駆動型ドライバーにありがちな癖も全く感じません。繊細・力強さ・美しさがバランスしており完成度の高い逸品だと感じました。
中音&高音を包み込む低音
中音域がを中心に高音域が走り低音が包み込む。そんな世界観が魅力!

はやり平面駆動型ドライバーらしからぬ低音表現でしょう。個人的に平面駆動型ドライバーのイメージを180度変えてしまったイヤホンです。また、非常に柔らかい音質は心地よく長時間のリスニングに貢献しています。手放せない逸品です。コストパフォーマンスも高い。
デメリットと感じる所 やはり耳掛けの部分でしょう。眼鏡をかけますし、良くマスクもするので不便です。 パッとしないデザイン。ただ、悪いわけではない好みの問題だと思います。
総合評価 ★★★★★5.0 ★★★★☆4.8
比較の結論
「平面駆動型ドライバーの素晴らしさを教えてくれた」という意味では「S08」に感謝です!「MP145」は「S08」の音質を更に「切れアップ・解像度アップ・音圧アップ」した感じです!

切れの良いスピード感のある低音が好きな方、そして全体的に質感が高くクリアで深みのある音をお好みの方は「MP145」、豊かに包み込むような低音と繊細で柔らかい音質が好きな方は「S08」と言った感でしょうか。コストパフォーマンス的にはS08でしょうか。ただ、今「MP145」は比較的安いです。いずれのイヤホンを買っても平面駆動型ドライバーの良さを味わえます。

「MP145」「S08」の両方に言えることですが、いずれも100時間以上のエージングで化けます。平面駆動型ドライバーのエージングは念入りに行って吉です。



【再度ケーブルを交換してみる】

どうにも、耳掛け部分が浮いてしまって落ち着きが悪いので、2PINコネクタ部分に角度のある物を探して、再度リケーブルしてみます。どうせなので音質の違いも楽しむために2本のケーブルを試してみました。
TRN T2 Pro ケーブルの場合


■QDC SUPERIOR Cable ケーブル
このケーブルは「高純度無酸素銅4芯ケーブル」のみを使用したケーブルで銀メッキを使用していません。大抵、無酸素銅のみの場合は、低音・中音の太さが増し、高音域のキラキラ感は減ります。

★Amazonキューディーシー(qdc) SUPERIOR Cable 4.4-IEM2pin



TRN T2 Pro ケーブルよりは耳にかかりますが、
耳の上に乗っかってしまい私のイメージとは少し違いました。

TRN T2 Pro ケーブルと音質を比べると
予想通り、TRN T2 Proよりも若干ですが、低音域のアップと切れが良くなり、中音域は厚みが増しました。高音域はキラキラ感は少し穏やかになりクリアな高音が良く出ます。中低音がしっかりするので非常に落ち着いた音質です。高音域につて、元々MP145は出過ぎる感じもありますので、適度なキラキラ感もあり丁度いい感じかもしれません。
また、このケーブルをS08に装着してみましたが、低音域が引き締まり、中音域もアップしました。高音域は大人しくなりますが、囁くような色気があり、中々良い感じでした。
残念ながらイメージと違ったの他のイヤホンで利用します(タッチノイズは、ほぼ無し)



■3APLUS PIN44 ケーブル
このケーブルは「銀メッキ高純度単結晶銅」です。銅と銀で構成されており低音も高音も走るケーブルだと思います。TRN T2 Proと同じ構成なので音質も似ていると思われます。



TRN T2 Pro ケーブルよりは耳にかかりますが、
耳の上に乗っかってしまい私のイメージとは少し違いました。

TRN T2 Pro ケーブルと音質を比べると
これは、予想を裏切る音です。TRN T2 Pro ケーブルとほぼ同じ傾向の音質なのですが、より高音が出ます。耳に刺さるギリギリの感じです。低中音域は切れがありますが、厚みが少し減ります。TRN T2 Pro ケーブルに比べると「銅が少なめ、銀が多め」みたいな感じかもしれません。このケーブルはMP145よりもS08に会う気がしました。
残念ながらイメージと違ったの他のイヤホンで利用します(タッチノイズは、ほぼ無し)




■【KBEAR 4989】4芯6N単結晶銅ケーブル
KBEAR 4989は超高純度の無酸素銅で、純度は99.9999%です。
※特殊な鋳造方式により結晶粒界(結晶同士の隙間)をなくした導電性に優れる素材です
純度は「N(Nine=9)」の数で表記され、現在「8N」までみられ、限りなく100%に近づいてゆきます。





TRN T2 Pro ケーブルと音質を比べると
・予想通り銀メッキが無い分高音域のソリッド感は無くなります。
・全体的に解像度が上がった感じです。
・音場も少し広がりより深く澄んだ空間が広がります。共鳴の伸びもさらに美しい。
・低音域のレスポンスと切れが良くなりました。シッカリとした圧も感じます。
・全体の音の出方そのまま、音圧が持ち上がりました。より聴きやすくなりました。
・高音域はより繊細で空気感を感じます。ソリッド感は無いですが、より美しいです。
・ドッシリトした音圧です。少しゲインが上がったように感じます。
・存在感は更に増します。疲れはなく、いつまでも聴いていられます。

今の所MP145との相性が最もいいと感じます。また、タッチノイズのほぼありませんが、イヤホンのスライダーリングの留まりが悪く、すぐ下がってしまいあまり意味を成しません。





【総括】

今回の検証において「HIDIZS MP145の発売日が2023/10/30」「LETSHUOER S08の発売日が2024/6/14」と言うことで、「約1年前から平面駆動型ドライバーのイヤホンは音質が良い!」そして「今後出てくる平面駆動型ドライバーのイヤホンは更に高音質になって行くだろう」と言う結論に至りました。また、「HIDIZS MP145」も「LETSHUOER S08」も購入して損のない商品だと思います。平面駆動型ドライバー搭載のイヤホンをお探しの方は、検討の一つに入れては如何でしょうか?


平面磁気ドライバー の未来への妄想

今後も、平面駆動型ドライバーの技術革新が続いていくと思いますが、今激しく妄想している事があります。「トリプル平面駆動型ドライバー」です。これは、「現実的に可能なのか?」もしくは「音質的に意味がないのか?」未だ世の中に正式に現存してはいないと思うのですが、色々考えてしまいます。

(例えば)下記のような組み合わせのハイブリット
■重低音用:    14.5mm平面磁気ドライバー×1 周波数応答範囲:    5Hz-15kHz
■中~高音用: 10.5mm平面磁気ドライバー×1 周波数応答範囲: 15kHz-35kHz
■超高音用:      4.5mm平面磁気ドライバー×1 周波数応答範囲: 35kHz-45kHz
※出来ればネットワーク回路で帯域を区切るのではなく、ハードウェア自体で
 精密に対応帯域を設定されたドライバーで構築する。
※配置はもちろん重ねて設置、鏡餅のようになります(笑



平面磁気ドライバー のミステリー

最近いつも不思議に思っていることがあります。
ダイナミック型ドライバーの場合振動板の素材(金属素材・炭素繊維素材・ポリプロピレン素材など)が音質の話題に上ります。が、平面駆動型ドライバーの振動板の素材については聞いたこともないし、イヤホンの説明書きで目にすることもありません。

平面駆動型ドライバーの基本構造は「コイルが振動版全体の面に張り付いている」と言うことです。つまり、コイル自体も振動板の一部として音を出していると言うことです。
なので音質に大きく影響するはずで、平面駆動型ドライバーの音質を語るときは「振動板とコイル」を含んだ物を「振動板」として音質を語る必要があります。個人的には「コイル自身も振動しているのに!振動版に薄い部分や素材の違う部分もあるのに、バランスも悪いだろうに、なんでちゃんとした音が出るわけ??」といつも思っています。

現在の平面駆動型ドライバーのコイル技術は「振動板にプリントする」のがほとんどだと思います。振動板は「プリントしやすい素材」「振動板の厚みとプリントコイルの厚みのバランス」「コイルと相性のいい振動板」「プリントコイルが剝がれないような素材」などを考慮し造られているのだと思います。

多分、世の名だたる平面駆動型ドライバーの開発メーカーは日夜技術革新に余念がないと思います。個人的には何時か、ナノテクノロジーとかで「平面駆動型ドライバーの振動板自体に予めコイルを練り込んだような素材」が生まれるのかなぁ~?
そうなると平面振動板の素材も形も自由自在になります。一枚の大きな平面駆動型ドライバーの振動板素材を、好きな形に裁断できます。そうなると「球全体の面から音を出す、星形のスピーカー、ブラインド自体がスピーカー、音の出るヘルメット」みたいなのも出てくるのかしら?・・・などと想像しながら音楽を聴いている2025年の始まりでした。

・・最後に一言「最近の平面駆動型ドライバーには魔物が住んでます」もう、虜です。


※ケーブル交換、ウレタン系とシリコン系のイヤーピースの違いだけでも音質はガラリと変わってしまいます。内容はあくまでも個人的な環境下での考えですのでご了承ください。参考程度にお読みいただければ幸いです。