2021年2月1日月曜日

RHA T20 Wireless 独自テクノロジーDualCoil(デュアルコイル)ドライバー搭載を搭載したT20 をレビュー評価する


RHA T20 Wireless

現在、私はRHAの変態駆動ドライバー平面駆動ドライバーイヤホン「RHA CL2 Planar」を所有しています。そして、今回は少し前の機種になりますが、独特なDualCoil(デュアルコイル)ドライバーを搭載したイヤホン「RHA T20 Wireless」を購入しました。RHAは常に斜め上を行くメーカーです(笑。

イヤホンと言えば「ダイナミック型」「バランスド・アーマチェア(BA型)」「ハイブリッド型(ダイナミック+BA)」が主流です。個人的には良いとこどりのハイブリッド型が好きです。今回の「DualCoil(デュアルコイル)ドライバー」とはどんな物なのでしょうか?少し考えてみました。

簡単に言うとダイナミック型ドライバーの変形型と言えると思います。一般的にダイナミック型ドライバーは(図1)の様に、ダイヤフラム(振動板)+ボイスコイルが電気信号を受け永久磁石に吸い寄せられたり離れたりすることにより振動し音を出します。

(図1)

通常、振動板は円形になっており、一個のボイスコイルで振動します。振動板は円の外側に行くほど低音が、中心に行くほど高音になる特性があります。なので、振動板の直径が大きいほど低音が出ます。小さいほど高音が出ます。また、細かい話ですが、ボイスコイルの位置から振動が始まるので、端に行くほど振動が減衰し音が弱くなったりすると思われます。個人的には、これは悪いばかりではなく音の”余韻”として感じる事もあり、それぞれのイヤホンの個性にもなっていると思っています。なので各メーカーは、永久磁石の大きさ、振動板の大きさや材質、ボイスコイルの配分や位置などを研究し、独自の良い音が出るように工夫をしているのだと思います。多分・・・。

さて、「DualCoil(デュアルコイル)ドライバー」はこのボイスコイルが2個あります。通常ボイスコイルは永久磁石の外側にありますが、「DualCoil(デュアルコイル)ドライバー」は内側にもあります。RHAの狙いとしては、外側の方(低音域)と内側の方(高音域)を共に的確にムラなく振動させ低音域~高音域までを高音質にすることだと思われます。

よく考えると、平面駆動ドライバーイヤホン「RHA CL2 Planar」に関しても同じ狙いだと思うので、方式は違えど目指すところは一緒だったのではないでしょうか?

※注意!上記のうんちくは全て個人的な見解なので鵜呑みにしないでください(笑

余談ですが、今回「T20 Wireless」が手元に来るまでかなりの時間がかかりました。Amazonに2020年12月12日に注文して、届いたのは2021年1月29日でした。やっぱり、コロナ禍によるロックダウンの影響でイギリスからの輸入に時間がかかったのでしょうか?そんな事を考えながら到着を楽しみに待ちました。



■RHA T20 Wireless
DualCoil(デュアルコイル)ドライバーが比類なきパワフルなサウンドを提供、低音または高音をブーストする可変フィルター機構搭載。MMCX端子で着脱可能なステンレススチール製ハウジング。

・ドライバー:DualCoilダイナミック
・筐体:ステンレススティール
・周波数特性:16 Hz – 40,000 Hz (有線)、 20 Hz – 20,000 Hz (ワイヤレス)
・インピーダンス:16Ω
・バッテリー: 約12時間(リチウムイオン)
・感度: 90dB
・重量: 49g (ワイヤレス)、39g(有線)
・Bluetooth: バージョン4.1, 10mの接続範囲(障害物がない場合)、aptX対応
・保証: 国際的な3年保証
(付属品)
・MMCX着脱式3.5mm端子OFCケーブル ・MMCX着脱式Bluetoothネックバンド(aptX™対応) ・チューニングフィルター(ベース/トレブル/リファレンス)、ホルダー ・デュアルデンシティイヤーチップ7ペア:S, Lサイズ各2ペア, Mサイズ3ペア ・USB-C 充電ケーブル ・ダブルフランジイヤーチップ2ペア:S, Lサイズ各1ペア ・Comply™ Foamイヤーチップ2ペア (Tsx400) ・衣服用クリップ ・スポーツクリップ ・キャリーポーチ

※詳しくはメーカーホームページをご覧ください

■開封
箱は「RHA CL2 Planar」に比べるとシンプルです。今回は有線バランスケーブルによる使用が基本になりますので、使用するのはイヤホン本体のみです。イヤホン筐体はステンレススティールで見かけより重く感じます。また、ひんやりと冷たいです。面白いのはイヤホンは磁石になっており引っ付きます。また、イヤホンの表に小さな●がありますが、これは何なんでしょうか?ネジ?エアダンパーの穴?模様?








■聴いてみる①
すべてのレビュー評価は有線接続で行います
レビュー評価環境は、プレイヤーはFiio M15、バランスケーブルにonso 05、イヤーチップにコンプライTsx-400 を使用します。チューニングフィルター(リファレンス)を使用。

Fiio M15:アルミニウム筐体の質・DACとアンプの性能・これらのバランスがとても良く、とても良い音を出します。あらゆるイヤホンの性能を評価するのにうってつけです。
onso 05:onso04/05/06を所有しており、今回は(PCOCC+銀メッキ4N-OFC)のonso05を選択しました。音に奥行きが出て、低音・高音がアップします。
Tsx-400:遮音性アップ、低音域のアップ、高音域は少し抑える。私の定番です!Tsx-400はT20に標準添付されていますが、開封した余りが有るのでそちらを使います。










<音源は>
評価に使う音源は「お洒落なミュージック(YouTube)」に登録している、こんな感じの楽曲がメインで、CDから取り込んだデータおよびハイレゾダウンロードです。ファイル形式は全てFLACです。MediaGOでM15に転送しています。




エージング10時間(ファーストインプレッション)
10時間ほどプレイヤーに接続し、ブッ通しで鳴らし続けました。聴きたい衝動を抑えグッと我慢の10時間でした。その間、音の想像をしてみました。多分、スピード感があり「硬質」で「ソリッド」な音。

それでは、初めて聴いてみます。
ん?これは!低音域から高音域までがフラットに”バン”と立ち上がる感じです。平面駆動ドライバーの「RHA CL2 Planar」までとは言いませんが同じような感覚です。予想通り全体的に「硬質」で「切れ」の良い「スピード感」のある音です。ただ、想像したほどソリッドを感じません。
また、全体の見通しが良くありませんが解像度は高いです。特に高音域のキラキラした伸びはステンレススティールの筐体の効果もあると感じました。さらにonso05のケーブル特性により高音域が更にキンキンする感じです。低音域は深い低音と言うより、歯切れのいい引き締まった低音です(ボ~~ンではなくボンと言う感じ)。また、シンバルやドラムスの切れが凄く耳に刺さりそうです。ボーカルは各楽器と同じ位置で非常によく聴こえます。

高音:高音域の煌めき感が半端なく、楽曲によっては少し耳に刺さります。
中音:女性・男性問わずボーカルはシッカリ聞こえる。少し見通しが悪い。
低音:よく出ています。締りが良すぎて音の伸びや余韻をあまり感じません。
重低:周波数特性:16 Hz –なのでもう少し欲しい感じです。
音場:あまり広くありませんが、onso 05により少し広く、深くなっています。
音圧:音圧はしっかり出ています。現状、少しボリュームの取り方が難しいです。あまり上げると、高音が耳に刺さります。

現状エージング時間が短いので、「少し音が硬すぎ」「高音域の刺さり」「中音域の見通しが悪い」「低音域がもう少し欲しい」と感じました。しかし、この金額でこの音質は素晴らしいです。コストパフォーマンスは相当高いです。更なるエージングによる変化が楽しみです。ダイヤフラム(振動板)が馴染んでくると音が変わるはずです。


■急遽ケーブル交代
T20自体は硬質で高音域が良く出るイヤホンです。そこに銅と銀素材のonso 05を合わせたものですから、高音域に刺さりが出てきます。しばらく経っても高音域の刺さりが収まらず、聴き疲れするのでケーブルの見直しを行いました。


低音フェチとしては、美しい重低音もシッカリ欲しいので、バランスケーブルを(高純度無酸素銅)のonso 06に変更します。onso 06は音圧のある野太い深みのある音を出し、少し低音寄りのチューニングになります。T20との相性に期待が膨らみます。



エージング30時間(ケーブル変更後ファーストインプレッション)
onso 06(高純度無酸素銅)に交換すると、まず音圧が少し上がり濃厚で深い音になりました。高音域は耳に刺さることなく美しく鳴っています。onso 05の時に不足していた重低音も「ドーォン」と別物のイヤホンの様にかなり出ます。T20にはonso 06の方が合うと感じました。ドラムスのシンバルの刺さりは無くなりました。バスドラの迫力もアップしました。

高音:ステンレススティール筐体に響く繊細な高音域が美しい。キンキンしない。
中音:中音域の見通しも良くなってきました。
低音:余韻のある、締りの良い低音が良く出ます。バスドラも素晴らしいです。
重低:周波数特性:16 Hz –の本領発揮です。楽曲によって重低音が唸ります。
音場:程よく広いです。音は目の前から下の方にある感じです。onso 06により深みと艶もプラスされた感じです。
音圧:音圧は少しアップしました。また、ボリュームを上げても高音域が耳に刺さることはなくなりました。

ケーブル交換によりonso 05の時の「高音域の刺さり」「低音域がもう少し欲しい」はかなり改善されました。「硬質」「音のキレ味」「スピード感」はonso 06でも健在でこの辺りはT20の基本個性だと感じています。まだ、全体的に音に膜が一枚ある感じです。更にエージングです。



エージング50時間
M15でボリュームレベル50くらいで聴いていたのですが、エージング40時間あたりで急にレベル45~48で十分な音圧と音質になりました。「一皮むけたかな」と感じました。今までは「硬質な音」と言う感じでしたが、それが「硬質ではあるけれども、クリアで豊かな音」と言う感じに変わりました。
音の出方として、下の方に低音があってその上に高音が乗っかている様な感じです。そして、低音も高音もシッカリと主張があります。ボーカルは埋もれることなくシッカリと聴こえます。中音域は出ているのですが、ハッキリとした線引きがしにくいです。

高音:繊細な高音域が更に美しい。全体的にクリア。
中音:ボーカルのブレス音も聴こえます。十分な帯域が出ていると思います。
低音:ボワッと感が消え、安定した十分な低音が出ています。
重低:切れ、伸び、豊かな美しい重低音です。
音場:音場は変わりませんが深みやクリア感が増してきました。
音圧:音圧は少しアップし安定しました。

深みやクリア感が出てきました。Fiio M15の性能を十分に表現されています。T20の音の方向性が決まった気がします。100時間~200時間までは音の変化が期待できます。




エージング100時間
M15でボリュームレベル46でほぼ固定十分な音圧と音質になりました。エージングが進みダイヤフラム(振動板)がかなり馴染んできた感じがします。慣れもありますが「硬質な音」と言うイメージは薄れ、「レスポンスが良い」「良く伸びる切れのある低音」「クールで煌めく高音」「深くでクリア」そんな音です。
また、重低音~低音域も文句なしです。深くてクリアで切れのある音です。アコースティックのクラシックやジャズを聴くなら、重低音が特徴のWoodイヤホン「VC HA-FW1500」がゆったりして良いですが、それ以外のジャンルはT20が良いです。今後T20の出番は相当多いいです。



エージング200時間
エージングが進み、更にダイヤフラム(振動板)が馴染んできました。音場も少し広がりました。低音~中音~高音域まで、広い帯域が余裕で鳴ります。「硬質」「高レスポンス」「クリア」と言う基本性能はそのままに、少し角の取れたマイルドな音も感じます。楽曲によっては「時に激しく」「時に優しく」そんな表現もプラスされた気がします。エージングは終了です。
また、ボーカルの位置ですが、エージングが終わってもほとんど変わりませんでした。各楽器とほぼ同じ位置です。個人的には、もう少し前に出ていても良いかなと感じました。





■聴いてみる②
評価プレイヤーをHiBy R8SSに変更してみます。

HiBy R8SS:重厚なステンレススティール筐体と高性能DAC及びアンプにより、濃厚で深く、繊細で煌めきある音がでます。
onso 06:選び抜かれた(高純度無酸素銅)のみケーブルです。音圧のある野太い深みのある音を出します。濃厚な低音~透き通るような高音域まで表現します。
Tsx-400:遮音性アップ、低音域のアップ、高音域は少し抑える。私の定番です!

M15に比較して、音圧が少し上がります。音の輪郭がでて少しソリッドになります。低音がアップし切れが良くなります。音場・奥行や横への広がりは少しアップします。高音域は音場の外に向かってキラキラと余韻を残しながら拡散してゆきます。また、共にステンレススティール筐体ですから、音の一体感を感じます。段付きのない、どこまでも広がる繊細な音に包まれます。T20はR8SSの煌めく世界観をシッカリと表現します。いい感じです。

さて、個人的に「T20がM15とR8SSのどちらと相性が一番いいか?」を考えた場合ですが、答えは「どちらも一番」です。(笑

また、個人的にM15とR8SSを最も美しく聴くことの出来る手持ちのイヤホンは?「Fiio(フィーオ) FiiO FH7 ハイブリッド型イヤホン」及び「AKG(アーカーゲー)N5005 ハイブリッド型イヤホン」の両イヤホンを挙げます。





■聴いてみる③
評価プレイヤーをHIDIZSのAP80Proシリーズに変更してみます。
HIDIZS(ヒディス)AP80ProSS Rose Gold:316Lステンレス鋼ボディー
HIDIZS(ヒディス)AP80ProCP Limited Edition:純銅ボディー

onso 06:選び抜かれた(高純度無酸素銅)のみケーブルです。音圧のある野太い深みのある音を出します。濃厚な低音~透き通るような高音域まで表現します。
Woodhifi Lin08:単結晶同のバランス接続用 変換 2.5mm 4極(オス)→ 4.4mm 5極(メス)8芯 の変換ケーブル。数本変換ケーブルを持っていますが、個人的にはこれが一番いい音が出ます。
Tsx-400:遮音性アップ、低音域のアップ、高音域は少し抑える。私の定番です!



HIDIZSのAP80Proはコンパクトで低価格なのにバランス接続が可能で音質も素晴らしいDAPなのです。お出かけのお供には欠かせません。音圧もありアンプ性能に不満はありません。解像度は非常に高く、比較的あっさりとはしますが、低音~高音域まで美しく迫力のある音を出します。音場は横へ少し広く深さはあまりありません。どちらかと言うと音が目の前に展開されます。しかし、ボーカルや各楽器が埋もれることもなくシッカリと聴き取れます。このサイズ、この価格でこの音は驚きです。

そしてそこに、AP80ProSS Rose Gold(316Lステンレス鋼ボディー)又はAP80ProCP Limited Edition(純銅ボディー)のエッセンスが加わります。銅は深みとクリア感がホンノリ加わります。ステンレスボディーはソリッドで煌めく余韻がホンノリ加わります。また、T20との相性は抜群で、AP80Proの音がワンランクアップした感じがします。AP80ProとT20の組み合わせは相当にコストパフォーマンスが高いです。



■聴いてみる④
評価プレイヤーをHIDIZSのAP80Proシリーズに変更してみます。
HIDIZS(ヒディス)AP80ProSS:アルミニュウムボディー
HIDIZS(ヒディス)AP80 Pro Titanium Alloy:チタン合金ボディー

onso 06:選び抜かれた(高純度無酸素銅)のみケーブルです。音圧のある野太い深みのある音を出します。濃厚な低音~透き通るような高音域まで表現します。
Woodhifi Lin08:単結晶同のバランス接続用 変換 2.5mm 4極(オス)→ 4.4mm 5極(メス)8芯 の変換ケーブル。数本変換ケーブルを持っていますが、個人的にはこれが一番いい音が出ます。
Tsx-400:遮音性アップ、低音域のアップ、高音域は少し抑える。私の定番です!


HIDIZSのAP80Proシリーズのベースマシンであるアルミニュウム筐体を持つAP80Proと、多分、最終限定商品であろう、チタン合金筐体のAP80 Pro Titanium Alloy(タイタニウム アロイ)で聴いてみました。上記のAP80ProのCP及びローズゴールドと同じで素晴らしい組み合わせです。全体的にAP80Proシリーズとの相性は素晴らしいと思いました。


特に、AP80 Pro Titanium Alloyとの組み合わせにおいては、「豊かな音圧」「繊細な音の切れ」「音場の広さ」「音の深み」「低音」「高音」「共鳴の美しさ」「見通しの良さ」「ボーカルの美しさ」「クリア感」「空気感」など、個人的には120点の出来栄えです。古い楽曲~最近のものまでオールジャンル対応で心に響きます。よくもここまで1つのダイナミック型ドライバーで低音と高音域がきっちと共存できるものだと感心します。T20 Wirelessに比べると、上位機種である平面駆動のRHA CL2 Planarがとてもお上品に思えてきます。





■比べてみる①
標準的なダイナミック型ドライバーを搭載したJVC HA-FW1500と比較をしてみます。プレイヤーにはFiio M15を使用します。


製品名 RHA T20 Wireless JVC HA-FW1500
タイプ DualCoilダイナミック ダイナミック型
カラー ブラック(ステンレススティール) ブラック(Wood)
ユニット DualCoil(デュアルコイル)×1
ダイヤグラム(振動板)のサイズや素材など詳細はよくわからないRHAは謎が多い
口径11mm ウッドドームドライバーユニット×1
周波数特性 16 Hz – 40,000 Hz (有線)
 20 Hz – 20,000 Hz (ワイヤレス)
6Hz ~ 52,000Hz
感度 90dB/mW 103dB/1mW
インピーダンス 16Ω 16Ω
重量
(ケーブル含まず)
39g 15.0g
メーカー通販価格
あくまでも参考価格
¥32,978 ¥65,780
おすすめ
バランスケーブル

onso 06 4.4(5極)-MMCX(L/R)
バランス接続用イヤホンケーブル 1.2m、コネクタ:4.4(5極)-MMCX(L/R)
導体:高純度無酸素銅、ジャケット:tpu

onso 05 4.4(5極)-MMCX(L/R)
バランス接続用イヤホンケーブル 1.2m、コネクタ:4.4(5極)-MMCX(L/R)
導体:PCOCC+銀メッキ4N-OFCハイブリッド、ジャケット:PVC
評価
(解像度)
非常に高い
(高音)
繊細にそしてクッキリと伸びも良くクリア
(中音)
低音と高音でも中音は埋もれません。ボーカルは各楽器とほぼ同位置
(低音)
硬質で切れが良くパンチがある
(音場)
適度な広さ。奥行きもある。
(音圧)
感度はHA-FW1500よりもかなり低くインピータンスは一緒です。でもHA-FW1500並に音量が出ます。シッカリとした音圧があるボリュームは45~48
(解像度)
非常に高い
(高音)
シッカリと出ている。T20に比べると少しマイルド
(中音)
低音域の中に埋もれ気味だがボーカルはシッカリ出ている
(低音)
ウオーム感ある優しい低音
(音場)
少し狭い。
(音圧)
T20に比べると感度は高い。ボリュームを不用意に上げると爆音になります。シッカリとした音圧があるボリュームは43~46
総括 T20とHA‐FW1500は対極にあるダイナミック型ドライバーだと思う。
T20はステンレス筐体とDualCoilによる「硬質」「スピード感」「クリア感」、HA‐FW1500はWood筐体とWoodドライバーによる「濃厚」「ウオーム感」「重厚感」と言った所でしょうか。HA-FW1500をしばらく聴いてから、T20に変更すると、半端ないクリア感とソリッド感が襲ってきます。のんびりとクラシックやジャズ、アコースティックな楽曲を聴くならHA-FW1500。EDMやロック・ポップスなどを気持ちよく聞くならT20と言った所でしょうか。T20はこの価格帯でこの音質、コストパフォーマンスは相当高いです。

【T20のチューニング】低音の不足解消と高音域の刺さりを軽減する
(バランスケーブル)高音域を抑え低音域を持ち上げる為に高純度無酸素銅のonso 06を使用。(イヤーチップ)遮音性アップと低音域の引き締めアップ高音域の刺さりを気持ち抑えるためコンプライ(耳垢フィルター付き)を使用。

【HA‐FW1500のチューニング】重低音の引き締めと高音域のクリア化
(バランスケーブル)低音を引き締め高音域をアップさせる為にPCOCC+銀メッキのonso 05を使用。(イヤーチップ)遮音性アップと低音域の引き締めアップ高音域の刺さりを気持ち抑えるためコンプライ(耳垢フィルター付き)を使用。

面白いのは、T20とHA‐FW1500は意外と真逆の性能と言えます。なのでチューニングも真逆です。試しにケーブルのonso 05 と onso 06 を逆にすると私の耳には辛いことになります。

※あくまでも、onsoのケーブル、コンプライのイヤーチップとの組み合わせにおいての感想です。組み合わせやチューニングの違いによって全く音は異なります。






■比べてみる②
同じRHAの平面駆動(平面磁気ドライバー)を搭載したRHA CL2 Planarと比較をしてみます。プレイヤーにはFiio M15を使用します。


製品名RHA T20 WirelessRHA CL2 Planar
タイプDualCoilダイナミック平面駆動
カラーブラック(ステンレススティール)ブラック(ジルコニア)
ユニットDualCoil(デュアルコイル)×1
ダイヤグラム(振動板)のサイズや素材など詳細はよくわからないRHAは謎が多い
平面駆動(10mm平面磁気ドライバー)×1
※平面駆動の素材や仕組みなどはよくわからない謎
周波数特性16 Hz – 40,000 Hz (有線接続時)16 - 45,000Hz(有線接続時)
感度90dB/mW89dB/1mW
インピーダンス16Ω15Ω
重量
(ケーブル含まず)
39g9g
メーカー通販価格
あくまでも参考価格
¥32,978¥62,700
おすすめ
バランスケーブル
onso 06 4.4(5極)-MMCX(L/R)
バランス接続用イヤホンケーブル 1.2m、コネクタ:4.4(5極)-MMCX(L/R)
導体:高純度無酸素銅、ジャケット:tpu
onso 05 4.4(5極)-MMCX(L/R)
バランス接続用イヤホンケーブル 1.2m、コネクタ:4.4(5極)-MMCX(L/R)
導体:PCOCC+銀メッキ4N-OFCハイブリッド、ジャケット:PVC
評価
(解像度)
非常に高いが中音域辺りの見通しが現状もう少し欲しい感じ
(高音)
繊細にそしてクッキリと伸びも良くクリア
(中音)
低音と高音でも中音は埋もれません。ボーカルは各楽器とほぼ同位置
(低音)
硬質で切れが良くパンチがある
(音場)
適度な広さ。奥行きもある
(音圧)
シッカリとした音圧があるボリュームは45~48
(解像度)
サラリと全音が出ている感じで非常に高い
(高音)
繊細でクリア、先の先まで出ている感じ
(中音)
低音・高音域に埋もれることなく表現。ボーカルは一歩手前にいる感じ。
(低音)
とても自然な低音
(音場)
適度で奥行きがある
(音圧)
感度もインピータンスもT20より低めです。全体的にマイルド、一歩踏み込んだ音量調整は必要、ボリュームは55~60
総括RHA CL2 PlanarはT20の上位の位置づけ?ドライバーの方式は違えど同じ系統の音作りと言う感じがします。CL2 PlanarもT20も「高解像度」「硬質・ソリッド感」「スピード感」「クリア感」「低音」「高音」などが開発コンセプトなのかなと思いました。CL2 Planarを初めて聴いた時は、「一線上から全部の音が一気に出て来る」「鉄板から音が出ている感じ」「ハイブリッド型並みに低音・中音・高音がハッキリ出る」など、あまりのぶっ飛んだ音に驚きましたが、エージングも進み、ケーブルやイヤーチップのチューニングで今では普通に良い音のイヤホンになっています。今、音を比べていますが、「CL2 Planarは繊細でマイルドな音」、「T20は全ての音にパンチがある」そんな感覚です。また、ボーカルですが、T20も問題は無いですが、CL2の方がハッキリと聴きとりやすく感じました。

T20とCL2 Planarの高音域とハウジング素材についての妄想
フッと思いました。使用するハウジング素材によって共鳴振動の吸収の度合いが違うので音にも違いが出ると思います。
(素材)
T20:ステンレススティール・・金属特有の共鳴振動あり
CL2:ジルコニア(セラミック)・・不要な共鳴振動を軽減
(周波数特性に与える効果)
T20:16 - 40,000Hz・・程よい高帯域を共鳴させ、高音をだす
CL2:16 - 45,000Hz・・高帯域まで出るがよけいな振動を抑え高音をだす
これこそがT20の高音域が耳に刺さる原因と感じました。
※注意!全くの個人的な妄想なのでご了承ください


【T20のチューニング】低音の不足解消と高音域の刺さりを軽減する
(バランスケーブル)高音域を抑え低音域を持ち上げる為に高純度無酸素銅のonso 06を使用。(イヤーチップ)遮音性アップと低音域の引き締めアップ高音域の刺さりを気持ち抑えるためコンプライ(耳垢フィルター付き)を使用。

【CL2 Planarのチューニング】フラットな音場に波を起こし立体的に
(バランスケーブル)低音を引き締め高音域をアップさせる為にPCOCC+銀メッキのonso 05を使用。(イヤーチップ)遮音性アップと低音域の引き締めアップ高音域の刺さりを気持ち抑えるためコンプライ(耳垢フィルター付き)を使用。

ここでも、T20とCL2 Planarはケーブルチューニングが逆となります。T20は高音域を抑え低音域を持ち上げる為にonso 06。CL2 Planarはフラットな音に抑揚をつけるため高音域と低音域を持ち上げるonso 05をチョイスしました。

※あくまでも、onsoのケーブル、コンプライのイヤーチップとの組み合わせにおいての感想です。組み合わせやチューニングの違いによって全く音は異なります。




■イヤーピース(イヤーチップ)の変更
素晴らしい遮音性と吠える重低音、長年にわたって利用してきたコンプライのイヤピースですが、近年耳にかゆみを覚えるようになり変更することにしました。刺激の少ないシリコンを使った「スピンフィットCP100+」と言う商品です。音質についても中々のものです。








【総括】
ここまでコストパフォーマンスの高いイヤホンは中々ないと思います。傾向としてはドンシャリタイプとも言えますが、下品ではなくどんな楽曲にも合います。古い楽曲や録音の悪い楽曲も聴きごたえのある硬質でクリアな音にしてくれます。非常に暖かいウオーム感あふれる、そして、低音~高音まで出すドンシャリ傾向のJVC HA-FW1500の音質とはどこか似ているけれども、包み込むムードは対極にある気がします。どちらも良いです。

個人的にはバランスケーブルチョイスが難しかったですが、それも楽しみの一つ!ケーブルのチューニングが上手く行けば”ドハマり”すると思います。(笑

コストパフォーマンスの良さ、どんなDAPでも、歪みのない高い音圧で、そして、低音~高音まで高解像度で表現します。合わせて、ステンレススティールのハウジングがもたらす、クリアで切れがある硬質な音質は最高なのです。
個人的に思うのはT20 WirelessはRHAの最高傑作と言っても言い過ぎではないと感じました。2021年2月現在、比較的入手が難しいようです。見つけたらすぐゲットしたいイヤホンだと思いました。T20 Wireless
個人的には2021年のNo1イヤホンだと感じています。



おまけ

★以前ダイナミック型イヤホンの「Astell&Kern(アステルアンドケルン) AK T8iE MkII」と言うのを所有していました。カタログデータでは「周波数特製 8-48,000Hz」とありました。しかし、T20と比べると低音も高音も全くダメで意外と早く手放したのを覚えています。「カタログ数値だけでは音は分からないなぁ~」と思いました。RHAの技術は凄いです。

小さくて美しいイヤホンでした。




★ちょっと気になったのが、先日購入した「JPRiDE(ジェイピーライド) Premium 2020 LIBERTY」と言うハイブリッド型のイヤホンですが、よく見るとダイナミック型ドライバーが「特許技術 デュアルコイルDD」となっています。

RHA T20 のDualCoil(デュアルコイル)

RHA T20 Wireless のDualCoil(デュアルコイル)

JPRiDE(ジェイピーライド) Premium 2020 LIBERTY
Dual Coil Dynamic Driver(デュアルコイルDD

見れば見る程構造がよく似ています。いずれもマグネットの外側と内側にボイスコイルは配置されています。(英国のRHAが開発した「DualCoil(デュアルコイル)」)に対して(JPRiDE 特許技術 デュアルコイルDD)とあります。
この二つは同じ構造なのか?違うのか?・・・・私にはわかりません!
音は”雲泥の差”なんですけどね!(笑


※ウレタン系とシリコン系のイヤーピースの違いだけでも音質はガラリと変わってしまいます。内容はあくまでも個人的な環境下での考えですのでご了承ください。参考程度にお読みいただければ幸いです。