2023年10月1日日曜日

TRN VX Pro(ティーアールエヌ ブイエックス プロ)を今更ですが購入しました。驚異の9ドライバーを搭載した変態イヤホン!評価レビューしてみます。

 

TRN VX Pro(ティーアールエヌ ブイエックス プロ)

【はじめに】

TRN VX Proは2021年9月頃に発売された中国製のイヤホンです。以前から気にはなっていたのですが、当時は気持ちもお金も「完全ワイヤレスイヤホン」に投入していたのでいつしか存在を忘れていました。しかし、先日不意に「SHANLING SONO」を購入してしまいました。その安さと、変態性と、音質の良さに惹かれまた有線イヤホンに火が付きました。

さて、TRN VX Proですが、その構造がこれがまた凄い。
「低音域用:10mmの二重磁気ダイナミックドライバーx1」+「中音域用(30095)BA型ドライバーx4」+「高音域用(50060)BA型ドライバー」で、合計9ドライバー構造です。これはもう立派な変態イヤホンでしょう!




多ドライバーになると、一般的に「信号を周波数帯域別に振り分けるネットワーク」が沢山必要になりチューニングの良し悪しで音質が大きく変わってきます。さて、この9個のドライバーはどのようにチューニングされているのでしょうか?興味は尽きません。

※ネットワーク:例えば、高域用の帯域用に設計されたツイーターに無理に数百Hzの低域信号を入力するとスピーカーが壊れてしまう場合があります。スピーカーにはあらかじめ決められた再生周波数帯域が設計されており、その周波数からかけ離れた信号を入力していけないのです。このため多ドライバー方式の場合、メインアンプからそれぞれのスピーカーの間にネットワークというものを挿入して、信号を周波数帯域別に振り分けます。「低音だけ通すLPF(ローパスフィルター)、高音だけを通すHPF(ハイパスフィルター)、中域のみを通すBPF(バンドパスフィルター)」などの回路が加わるのです。





【購入】
★AmazonTRN VX Pro イヤーモニター ハイレゾ イヤホン 8BA+1DD ハイブリッド型 モニターイヤホン アルミハウジング マイク付き 3.5mmジャック QDC脱着式ケーブル 高遮音性 IEM イヤモニ 有線

仕様

■カラー:紺
■型式:TRN-VX Pro
■ドライバーユニット

10mm二重磁気ダイナミックドライバー x 1
30095中音域バランスドアーマチュアドライバー x 4
50060高音域バランスドアーマチュアドライバー x 4

■再生周波数帯域:7Hz~40,000Hz広帯域再生
■インピーダンス:22Ω
■感度:106dB/mW
■筐体素材:アルミニウム
■ケーブルコネクタ:QDC 2Pinリケーブル対応(0.78mmカバー付き)

■付属品

・4芯銀メッキケーブル
・イヤーピース
・6.5㎜コネクタアダプタ
・専用ケース




【開封】
箱は、シンプルです。立派な丸いケースが素敵です。また、色が「紺」と言う事で非常に上品です。












【イヤーチップ交換(AZLA(アズラ) SednaEarfit MAX)】
医療用シリコンを採用した「AZLA SednaEarfit MAX(ML)」に変更しました。
最初はLを考えましてがノズルの長さからMLが私の耳にはベストマッチでした。耳垢フィルターも付いて、密閉度も程よく良いのです。きちんとサイズが合えば低音から高音域まで抜群の音をだします。


遮音性ですが、スタバで無音状態で人の話し声が微かに聞こえます。店内のBGMも微かに聞こえます。食器やフォークナイフを洗う音は少し聴こえます。
静かな自宅で聴くときと同じボリュームで聴いてみます。外音を気にすることなく音楽を楽しめます。



【TRN T2 Pro ケーブルに交換】
製品には3.5㎜のケーブルが付属していますが、最初からバランス接続したいので、ケーブル交換を同時に行いまいました。また、コネクタは(カバー付き0.78mm 2pin 4.4mm)です。非常に柔らかくタッチノイズも全くなし、 2.5 3.5 4.4 mmコネクタにも簡単に交換でします。TRNの純正と言う事もあり安心感もあります。

★AmazonTRN T2 Pro リケーブル QDC ケーブル 2.5 3.5 4.4 mm 交換式プラグ イヤホンケーブル 16芯OFC銀メッキ線 イヤモニ バランスケーブル イヤフォン アップグレードケーブル (QDC, ブラック)

特徴
■プラグを交換できるEZ-Swapの設計を採用します。2.5mm / 3.5mm / 4.4mm 交換式プラグとQDC / MMCX / 2Pin コネクターの組み合わせ選択できます。

■16芯のケーブル本体が高純度の銀メッキ銅線で 作られます。銅線には低音域の音に良い解析力を持ちます、銀線が中高音域の音に素晴らしい解析力を持ちます。二つ金属で合理的に組み合わせて、 全音域の音により良い解析力を持ちます。
・16芯編み込み構造を採用:1芯あたりにOFC(無酸素銅)を22本使用。
・イヤホンケーブルの表面にはSPC材料を加えたので、強い耐久性を持ちます。
2.5mm / 3.5mm / 4.4mm 交換式プラグ付き
ケーブル側がメス・コネクタになってます
プラグ側がオス・コネクタになっています

白い(点)と白い(▼)を合わせて押し込むとはまります

どっちが(L)か(R)かわからない・・・

紺とブラックのコーディネイトがシンプルで良い感じです






【評価に使う楽曲】
評価にはいつものようにYouTubeの「お洒落なミュージック」に掲載しているような楽曲を使います。音源データのサンプリングレートは(44.1kHz)(48kHz)(96kHz)(192kHz)のハイレゾがメインです。ファイル形式はFLAC又はAACです。


プレイヤーアプリは「Neutron Music Player」を使用します。
設定等が複雑ですが、機能が多く音質が良いです。
※ノーマライゼーション(OFF)・イコライザー(OFF)に設定


エージングは100時間超えからスタートしています


【聴いて見る①】

プレイヤー
SHANLING(シャンリン) M6 Ver.21
DAC:ES9038Q2M x 2、アンプ:OPA2211 x 2

使用するプレイヤーは「
SHANLING(シャンリン) M6 Ver.21」です。濃厚で繊細で乾いた切れの良い美しい音を出します。音圧もあって、解像度も高くて、とても見通しの良い音質は素晴らしいです。

それでは聴いてみます
音場は広く左右に良く共鳴します。シルキーな高音域がスーッと伸びて行きます。低音~中音~高音が一体感を持って鳴ります。ダイナミックドライバーとBAドライバーの中音域が上手くミックスしている感じです。解像度は非常に高く、見通しも良く澄んだ音質です。しかも、音圧もタップリあり迫力もあります。深い低音は切れも輪郭もシッカリあります。本機は基本的に音質は良いですが、更にオーディオプレイヤーの性能に大きく左右される気もしました。

高音:素晴らしく伸びのあるシルキーで美しい高音域です。
中音:中音もしっかりて出ています。存在感のある中音です。
低音:切れのある深い低音がでます。全体を一体感に包みます。
音場:比較的音は中央にありますが、シッカリと横方向への広がります。
奥行:深くはないです。目の前にまとまった感じですが、窮屈ではない。
音圧:ズッシリとした音圧です。長時間聴いても疲れは少ないです。
解像度:非常に高いです。色んな音が良く聴こえます。






【聴いて見る②】

■プレイヤー FiiO(フィーオ) BTR7 & motorola razr 40 ULTRA
DAC:ES9219C x2、アンプ:THX AAA-28

流行は「スマートフォン&完全ワイヤレスイヤホン」に移ってきておりTRN VX Proもやはりスマートフォンと接続して良い音で聴きたいものです。という事でTRN VX Proを「FiiO BTR7&razr 40 ULTRA」との組み合わせで聴いてみます。


TRN VX ProとFiiO BTR7を有線接続し、FiiO BTR7とrazr 40 ULTRAをBluetoothにより無線接続します。


・FiiO BTR7対応のBluetoothコーデック
 (LDAC:96kHz/24bit)および(aptX Adaptive:48kHz/24bit)に対応

・razr 40 ULTRAがサポートするBluetoothコーデック
コーデック サンプリング  ビットレート
SBC 48kHz/16bit         192kbps
AAC 48kHz/16bit         非公開
aptX 48kHz/16bit         384kbps
aptX HD 48kHz/24bit     576kbps
aptX Adaptive 48kHz/24bit     280kbps~420kbps可変
aptX Adaptive 96kHz/24bit     260kbps~640kbps可変
LDAC         96kHz/24bit     990kbps/660kbps/330kbps
aptX Lossless           44.1kHz/16bit     最大1200kbpsでビットレート可変
LC3 48kHz/32bit         16kbps – 320kbps
LC3(plus) 96kHz/24bit         16kbps – 320kbps




それでは聴いてみます。
「SHANLING M6 Ver.21」に比べるとやはり解像度は低くなり、全体的に輪郭が甘く感じますが、全く問題なく良い音です。少し聴いていると普通に良い音としか感じません。
若干輪郭は甘いですが、低音~中音~高音のバランスは良く、抜け感もあり中高音はクリアです。低音はズシッと来ます。高音はとても澄んでおり、更に煌めきます。
無線としてはFiio BTR7は非常に良い音なのですが、有線接続と比べるとやはりビットレートの低さに音の限界も垣間見れます。TRN VX Proはプレイヤーの性能により音質がかなり変化する気がします。逆に言うと良いプレイヤーと組むと音はドンドン良くなる可能性!

高音:抜けも良く澄んだ音色です。クリア感のある伸びの良い高音です。
中音:比較的フラットで若干高音寄りの中音です。ボーカルも良く出てます。
低音:よく出ます。エージングをシッカリすると更に切れも出てきます。
音場:中央に音が集まりつつ横方向へ「ふぁっ」と伸びます。
奥行:全体的に少し「浅い」と言う感じです。
音圧:シッカリとした音圧です。
解像度:有線と比べるとビットレートの低さを感じまが、正直気になりません。






【聴いて見る③】

■プレイヤー パソコン & Astell&Kern AK HC2
DAC:Cirrus Logic CS43198×2 (Dual-DAC)、アンプ:DACに内蔵
Astell&Kern AK HC2 Midnight Blue [リミテッドカラー 4.4mm5極バランス出力搭載ポータブルUSB-DAC]を使用します。

それでは聴いてみます
音場は広く目の前に広がるシルキーで繊細な中音~高音域、そして奥の下の方から重低音が湧き出る感じです。音の一つ一つの輪郭がクッキリとわかります。抜け感は素晴らしく空気感が伝わってきます。特にハスキーな女性ボーカルのカスレ声まで美しいです。解像度も素晴らしく高く音圧もシッカリあります。「ダイナミックドライバーとBAドライバーが鳴っているな!」というのがよくわかります。非常に相性が良いと思います。

高音:スッキリクッキリ空気感も出ています。
中音:どちらかというと高音寄りの中音で、あまり押しのない中音です。
低音:エージングをシッカリすると切れのある深い低音がでます。
音場:比較的広く横方向への広がりがあります。
奥行:深くはないです。奥に低音、前に中高音と言った感じです。
音圧:ズッシリとした音圧です。長時間聴いても疲れは少ないです。
解像度:最初から高いです。エージングをすると更に高くなります。







【聴いて見る④】

■プレイヤー HIDIZS(ハイディズ)AP80 Pro Titanium Alloy
DAC:ES9218Pデュアル、アンプ:DACに内蔵

プレイヤーOSがオリジナルなのでプレイヤーアプリもAP80Pro標準となります。
個人的にAP80 Pro Titanium Alloyはとても好きな音を出します。TRN VX Proと組合すとどんな音になるのか楽しみです。



それでは聴いてみます
チタン合金ボディーを持つAP80 Pro Titanium Alloyの特徴ですが「段明るく、輪郭のハッキリした、質感のある濃厚な音質」です。更に音圧もあり、<透明感がありクール><煌めきと美しい拡散><深く濃厚な音質>となります。TRN VX Proとの組み合わせでどんな音になるのか楽しみです。
ファーストインプレッションですが、高音域が「少し荒い」「高音がキツイ」と感じました。どちらかと言うとAP80 Proはもともと硬めで切れのいい高音がシッカリ出るプレイヤーです。AP80 Pro Titanium AlloyとTRN VX Proはどちらもく高音域が強いのです。正直あまり相性は良くない気がします。


高音:キレキレの高音が押し寄せてくる感じです。少し疲れるかも。
中音:こちらも非常に高音寄りの中音になり。
低音:切れの良い深い低音が出ます。
音場:比較的広く横方向への広がりがあります。
奥行:程よいです。奥に低音、前に中高音と言った感じです。
音圧:音圧は適度です。長時間聴いていると少し疲れるかなぁ。
解像度:高いです。








【総括】

押し寄せるシルキーで繊細な美しい高音域、耳に刺さる事もなく音場の広い壮大な美しい世界が広がります。中音域~超高音域は再生帯域による段付きは一切なく、広大な面上でフラットに広がる感じです。その中高音を支えるように深い重低音が奥から響いてきます。低音~高音域まで非常につながりも良く「よくぞこんな多ドライバーなのに音をまとめたな!」と言うのが正直な感想です。
パーツも含め中国製イヤホンは非常にレベルが高くなっていると感じました。
SHANLING SONO」もそうですが、これが10,000円前後で買えるのですから驚きです。個人的にはドンシャリ系に属しますが、非常に上品な音なのです。買って損のないイヤホンの一つでしょう!


※ウレタン系とシリコン系のイヤーピースの違いだけでも音質はガラリと変わってしまいます。内容はあくまでも個人的な環境下での考えですのでご了承ください。参考程度にお読みいただければ幸いです。