2023年9月17日日曜日

SHANLING SONO(シャンリン ソーノ)を購入しました。2種の低中音域用ダイアフラム同軸デュアル構造&高域用BAドライバーという摩訶不思議なドライバー構造のイヤホンです。評価レビューしてみます。

 

SHANLING SONO(シャンリン ソーノ)

【はじめに】
個人的にイヤホンの基本ドライバーは「ダイナミック型ドライバーx1」だと思っています。ただ、「ダイナミック型x1 + BA型x2」くらいまでは、近年基本ドライバーに属するようになっていると思います。それ以外の構造を持つドライバーは「摩訶不思議ドライバー」と位置付けています。そして私はそんな「変態ドライバー」が大好きなのです。

SONOは「ダイナミック型x2?+1BA型x1」と不思議なドライバー
一般的にダイナミック型ドライバーx2となると、ダイナミック型ドライバーユニットが2個向き合って配置されたり、同じ向きに配置されていたり、並んでいたりします。しかし、このSONOは「低音用の振動板とコイルや磁石」と「中音用の振動板とコイルや磁石」が1つのユニットに収まっていると考えて良いと思われます。よって、低音・中音の音に一体感が生まれ、音ズレ等も発生しないのではと考えます。ただ、奥の方にある大きめの低音用の振動板から出る音はどうやって前に出て行くのでしょうか?ひょっとして低音は後ろに音が出るのでしょうか?謎です。

そこに一つのBA型ドライバーがプラスされます。少し下の(図1)を見てみるとBA型ドライバーはノズルに対して少し横を向いています。多いパターンでは「BAドライバーはノズルの中に耳の方に向かって配置」するパターンが多い気がします。そのあたりの高音域のバランスも気になます。また、SONOの仕様には再生周波数帯域以外の情報が見当たりません。インピーダンス、音圧感度、ドライバーサイズなどが分かりません。なので音質に想像がつきません。解像度は?音圧は?どんな音がするのか楽しみです。
図1

また、製品には3.5㎜のケーブルが付属していますが、最初からバランス接続したいので、ケーブル交換を同時に行いまいました。また、コネクタは人生初の(0.78mm 2pin 4.4mm)なのです。今までMMCXのタイプばかり使用していましたから新鮮です。

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二種のダイアフラムを同軸設計にて採用
バイオセルロースダイアフラム&液晶ポリマーダイアフラムを同軸デュアルダイアフラムデザインにより設計しました。
SONOは低中域を担う2種のダイアフラムを同軸デュアルダイアフラム構造にて設計し、同軸構造・スペシャルクロスオーバーにて巧みにマッチングすることで、各ダイアフラムの周波数帯のつながりをスムーズにし、一体感のあるサウンドを実現しています。
滑らかで芳醇で心地の良い低域、雄大でナチュラルエレガントな中域表現を再現し、高いパフォーマンスを発揮するイヤホンとして設計しました。
また高域の表現・解像度につながる無音時の静動性能の追及を行うことで、高音域の高い制御性能を担保し空気感やリアリティの再現性を高めています。


カスタマイズされた高域用BAドライバー 洗練された高域表現
「SONO」はSHANLINGのエンジニアによる、厳しい基準を満たす、カスタマイズされた高域用BAドライバーを搭載しています。磨き上げられたこのBAドライバーは、フラッグシップモデルの基準ともなる高域の滑らかなチューニングカーブを採用し、より高い解像度と表現力豊かな高域、そして滑らかで豊かな高域の倍音を表現することができます。


仕様
■同軸デュアルダイナミックドライバー構成 | トリプル磁気回路設計
■バイオセルロースダイアフラム(低域) | 液晶ポリマーダイアフラム(中域)
■専任のエンジニアによるカスタマイズBAドライバー(高域)
■HCCAW(銅クラッドアルミ線)ハイクオリティボイスコイル
■2種のチューニングフィルター採用
■0.78mm 2Pinリケーブル対応 | 32芯単結晶銅銀メッキ線
■人間工学に基づいた装着性に優れたデザイン
■16Hz~40,000Hz広帯域再生

■付属品
・専用単結晶銅銀メッキケーブル
・イヤーピースXS/S/M/L 各1ペア(Mサイズ装着済み)
・ダブルフランジイヤーピース 1ペア
・専用キャリングケース
・交換用フィルター(バランス)(装着済み)黒色
・交換用フィルター(アンビエンス)赤色
・クイックスタートガイド




【開封】
箱は意外とコンパクトで無駄もなく好感が持てます。中国のメーカーで何故か好きなブランドです。音も良いし、堂々と中国らしい名前で頑張っている所が好きです。




【Yinyoo イヤモニ アップグレードケーブルに交換】
製品には3.5㎜のケーブルが付属していますが、最初からバランス接続したいので、ケーブル交換を同時に行いまいました。また、コネクタは人生初の(0.78mm 2pin 4.4mm)なのです。今までMMCXのタイプばかり使用していましたから新鮮です。
少し太いですが、柔らかいので取り回しは悪くありません。タッチノイズもありません。

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60本単晶銅線芯と銀メッキのケーブルです。銅で低音が唸り銀で高音が走るはずです。
初めての2ピン! 0.78mmという規格があるのを初めて知りました。
右とか左とか向きがあるのでしょうか?穴の大きさは同じに見えます。
ピンが折れないか心配でしたが、意外と簡単に装着完了!
キラキラな本体と鮮やかなブルーの組み合わせは良い感じです




【SpinFit(スピンフィット)イヤーチップに交換】
もちろん愛用の「医療用シリコンを採用したSpinFit スピンフィット CP100+(XL)」に交換しました。耳も痒くならない、低音域も高音域も綺麗に出る優れものです。









【評価に使う楽曲】
評価にはいつものようにYouTubeの「お洒落なミュージック」に掲載しているような楽曲を使います。音源データのサンプリングレートは(44.1kHz)(48kHz)(96kHz)(192kHz)のハイレゾがメインです。ファイル形式はFLAC又はAACです。


プレイヤーアプリは「Neutron Music Player」を使用します。
設定等が複雑ですが、機能が多く音質が良いです。
※ノーマライゼーション(OFF)・イコライザー(OFF)に設定





【聴いて見る①】

エージング0時間
プレイヤー
SHANLING(シャンリン) M6 Ver.21
ファーストインプレッションで使用するプレイヤーは勿論「
SHANLING(シャンリン) M6 Ver.21」です。(ESSのDACチップ:ES9038Q2M x 2 + オペアンプ:OPA2211 x 2)を搭載しています。濃厚で繊細で乾いた切れの良い美しい音を出します。音圧もあって、解像度も高くて、とても見通しの良い音質は素晴らしいです。


それでは聴いてみます
おぉ~これは凄い音圧です!ボリュームは30程度で十分です。ホワイトノイズはありません。解像度は高いです。深く切れの良い低音、シッカリとした中音(ボーカルもクッキリ)、決して耳に刺さらない透き通るような高音、広い音場、ズシッと来る音圧。そしてキラキラした高級感のある本体、これが12,000円前後の音とはビックリです。

しかし、気になるところが無い訳ではありません。低音がボーカルのすぐ後ろ斜め上の方から聴こえる感覚があります。高音域が少し前に感じます。SHANLING SONOのドライバーレイアウトが頭にあるからかもしれませんが、そのレイアウト通りの音の並びに感じました。う~ん、低音が強すぎて中音域と高音も埋もれている感じがします。また、解像度は高そうなのですが全体的に見通しが悪く音の粒が潰れた感じです。

高音:良く出ていますが少し低音の陰に隠れている感じです。
中音:少し低音に埋もれた感のある中音です。ボーカルも中央にあります。
低音:深く豊かでズシッと来る低音です。ただ少し強すぎるかも。
音場:バランスらしい適度な横方向への広がりがあります。
奥行:比較的前の方に音が集まっている感じです
音圧:ズッシリとした音圧です。少し疲れるかも。
解像度:高いと思いますが、少し見通しがわるいです。

これは、ちょっとイヤーチップがあっていない気がしてきました。




【イヤーチップ交換(AZLA(アズラ) SednaEarfit MAX)】
SpinFit スピンフィット CP100+(XL)では密閉度が高くなり過ぎる為イヤーチップを交換します。「AZLA SednaEarfit MAX(L)」にサイズダウン変更しました。



それでは再度聴いてみます。
サイズ感は、きつくなく緩くなく丁度いい感じです。音全体の抜けが良くなりました。音場も少し広がりました。音の輪郭も素晴らしいです。出過ぎだった低音は大人しくなりましたが十分に深く切れがあります。低音が激しく前に出ないので中音(ボーカル含む)がより鮮明に切れが良くなりました。高音域は更に協調されました。耳に刺さらず、キラキラと透き通るような高音はそのまま、スーッと伸びて行きます。全体がより鮮明に聴こえます。ただ、音の見通しが悪いでです。この辺りは、今後の50時間~100時間エージングで更に良くなると思われます。
やはり特に低音の強いイヤホンには密閉過多はあまり良くないと感じました。


高音:BA型らしい繊細な高音です。美しく良く伸びます。
中音:シッカリとした中音域です。ボーカルも中央でクッキリと。
低音:適度の深く豊かでズシッと来る低音です。全体を邪魔しません。
音場:バランスらしい適度な横方向への広がりがあります。
奥行:ボーカルと高音域が比較的近いです。
音圧:ズッシリとした音圧です。
解像度:高いと思います。見通しがあまり良くないです。


エージング20時間
高音域の音の見通しが良くなり解像度も高く感じます。今まで聴こえなかった繊細な高音も聞こえてきます。高音域が良くなってきた分、今度は中低音がモヤッとした音に感じます。見通しが悪いく輪郭も少しぼやけて感じます。


エージング100時間
低中音域の輪郭がシッカリとしてきました。見通しも良くなり解像度が更に上がった感じがします。音場も広くなり奥行きも出てきました。音場は広いですが、低音は拡散することもなく中央でドッシリと深みがあります。中音域は更に自然になります。高音域の共鳴は更に自然に伸びて行きます。全ての音の繋がりが自然で美しいです。しかもシッカリとした音圧もあり聴きごたえがあります。






【聴いて見る②】

エージング0時間
■プレイヤー FiiO(フィーオ) BTR7 & motorola razr 40 ULTRA
流行は「スマートフォン&完全ワイヤレスイヤホン」に移ってきておりSHANLING SONOもやはりスマートフォンと接続して良い音で聴きたいものです。という事でSHANLING SONOを「FiiO BTR7&razr 40 ULTRA」との組み合わせで聴いてみます。
SHANLING SONOとFiiO BTR7を有線接続し、FiiO BTR7とrazr 40 ULTRAをBluetoothにより無線接続します。


・FiiO BTR7対応のBluetoothコーデック
 (LDAC:96kHz/24bit)および(aptX Adaptive:48kHz/24bit)に対応

・razr 40 ULTRAがサポートするBluetoothコーデック
コーデック サンプリング  ビットレート
SBC 48kHz/16bit        192kbps
AAC 48kHz/16bit        非公開
aptX 48kHz/16bit        384kbps
aptX HD 48kHz/24bit     576kbps
aptX Adaptive 48kHz/24bit     280kbps~420kbps可変
aptX Adaptive 96kHz/24bit     260kbps~640kbps可変
LDAC         96kHz/24bit     990kbps/660kbps/330kbps
aptX Lossless           44.1kHz/16bit     最大1200kbpsでビットレート可変
LC3 48kHz/32bit         16kbps – 320kbps
LC3(plus) 96kHz/24bit         16kbps – 320kbps




それでは聴いてみます。
なるほど・・・。もちろん「SHANLING M6 Ver.21」に比べると音は良くないです。
razr 40 ULTRAは音源を圧縮してBluetoothで飛ばして、FiiO BTR7で受信して解凍してデジタルアナログ変換してアンプで鳴らすわけですから、有線接続に比べたら音質はかなり落ちます。しかし、FiiO BTR7はDACもアンプも性能がよく、SHANLING SONOはその辺の完全ワイヤレスイヤホンには負けない美しい音を出します。
低音~高音のバランスは悪くないですが、若干、低音と中音が近く高音が別に鳴っている感覚があります。解像度も高く感じますが、見通しが悪く、輪郭も少しあいまいです。低音も良く出ますが、いい意味で出しゃばりません。

高音:キラキラした良く伸びる繊細な高音です。
中音:低音寄りの中音と言う感じです。ボーカルはシッカリ聴こえます。
低音:輪郭が甘く切れはないですが、適度の深みでズシッと来る低音です。
音場:バランスらしい適度な横方向への広がりがあります。
奥行:ボーカルと高音域が比較的近いです。
音圧:ズッシリとした音圧です。
解像度:若干出ていない音もある気がします。モヤッとして見通しがあまり良くないです。


エージング20時間
全体的に音の見通しが良くなりました。全体的なモヤッと感も少なくなってきましたが、低音と中音の輪郭が依然として甘く、もう少し切れが欲しいところです。解像度は少し高くなってきました。十分に良い音なんですが低音・中音のダイナミックドライバーの振動尾版のエージングによりまだ進化の余地があると感じます。


エージング100時間
低中音域の輪郭がシッカリとしてきました。見通しも良くなり解像度が更に上がった感じがします。音場も広くなりました、今まで聴こえなかった隅っこの方で鳴っている音や今まで分からなかったコーラスの声なども聴こえます。全体的に一歩下がった位置で聴こえるようになりました。奥行きも出てきました。レスポンスもよくアタック感も力強いです。ワイヤレスとは思えない音質の良さです。






【聴いて見る③】

エージング100時間
■プレイヤー パソコン & Astell&Kern AK HC2
Astell&Kern AK HC2 Midnight Blue [リミテッドカラー 4.4mm5極バランス出力搭載ポータブルUSB-DAC]を使用します。

プレイヤーアプリは勿論「Neutron Music Player」のWindows版です。



それでは聴いてみます。
スッキリと澄んだ見通しの良い音質です。音場も左右にシッカリと広がります。切れの良い低音が全体をまとめてくれます。中音域の抜けも良くボーカルはシッカリと聴こえ、高音域のスーッと伸びて行く共鳴も美しいです。低音も中音も高音も主張しますが、極端ではなく比較的シットリトしたまとまりのある音です。Astell&Kern AK HC2との相性は良いです。


高音:繊細な高音域がクッキリと聴こえます。
中音:ドラムスやギターの音も綺麗です。ボーカルも美しいです。
低音:タップリとした低音ですが、過度に主張はせず全体をまとめてくれます。
音場:左右で鳴っている楽器がキッチリ分かります。
奥行:音全体が目の前より少し奥にあります。
音圧:シッカリとした音圧です。
解像度:非常に高いです。見通しもよく抜けも良いです。




三度イヤーチップサイズを変更(笑


【イヤーチップ交換(AZLA(アズラ) SednaEarfit MAX)】
AZLA SednaEarfit MAX」の(L)サイズで150時間ほど聴いてきましたが、エージングが進むにつれ、中音・低音が出過ぎだし、高音域の抜けが悪くなったのでサイズを調整します。「AZLA SednaEarfit MAX(ML)」にサイズダウンしました。耳の穴に圧迫感はありません。(L)の時より少し奥に入る気もします。


遮音性ですが、スタバで無音状態で人の話し声が微かに聞こえます。店内のBGMも微かに聞こえます。食器やフォークナイフを洗う音は少し聴こえます。
静かな自宅で聴くときと同じボリュームで聴いてみます。外音を気にすることなく音楽を楽しめます。少し暴力的だった低音と中音ですが、少し大人しく、輪郭がハッキリとし、非常に切れが良くなりました。高音域もシッカリと認識でき更にバランスが良くなりました。やっぱり密閉過多は良くないですね(笑






【総括】
バランスケーブル選びとイヤーチップ選びが重要となりますが、基本的に低音も中音も高音も繋がりよく繊細で美しくガッツリ出るイヤホンです。最初は少し耳にキツイ目のドンシャリですが、エージング50時間くらいから解像度が更に高く感じます。音場も広く迫力があるのに繊細で優しく美しい音に変わります。エージング100時間あたりから低音が引き締まります。更に中音域に抜け感も出てきます。12,000円前後でこの音質であればコストパフォーマンスは非常に高いと言えると感じました。しかし、この値段でここまでの良い音を出したら、上位機種はどうするのでしょうか?

SONO自体の個性がどんなプレイヤーであっても生きます。プレイヤーの違いによりSONOの音質が大きく変動はしない気がします。「プレイヤーの個性も生かしつつ、SONOの個性もシッカリと前面に出す」そんな感じがします。

個人的にはFiiO BTR7で無線化して利用する事が多くなると感じています。FiiO BTR7の場合無線なので有線接続にはかないませんが、十分に良い音なのです。好きな時に良い音で音楽も聞けてYouTubeも見れて電話にも出る事が出来るのは素晴らしいのです。

SHANLING SONOの音質は少し前の3万~6万円くらいのイヤホンに匹敵すると思います。1万円前後の金額で良い音をお探しの方は検討の一つに入れてはいかがでしょうか。




※ウレタン系とシリコン系のイヤーピースの違いだけでも音質はガラリと変わってしまいます。内容はあくまでも個人的な環境下での考えですのでご了承ください。参考程度にお読みいただければ幸いです。