AFUL Perfomer 8 |
【初めに】
この完全ワイヤレスイヤホン全盛のご時世に、有線イヤホンにハマっています。きっかけは完全ワイヤレスイヤホンである「SONY WF-1000XM5」を購入したときに感じた満足度と完成度。そう感じた時に「完全ワイヤレスイヤホンにあと、足りないものはなんだろう?」と考えました。そして「完全ワイヤレスイヤホンの未来を知るためには、今の有線イヤホンの進化を知る必要がある」と思い立った次第です。
また、どうせ買うなら「安くて、音が良いイヤホン」が欲しいと思いました。色々調べてみましたが、やはり現実的に中国メーカーのイヤホンしかない感じです。外れでショックを受けないように、まずは1万円前後の商品から購入しました。
最初に購入したのは「SHANLING SONO(シャンリン ソーノ)」次に「TRN VX Pro(ティーアールエヌ ブイエックス プロ)」を購入しました。まあ、以前の中国イヤホンの「安かろう、悪かろう」の音を想像していたのですが、音質を聞いてビックリ!造りも音質も1万円近辺とは思えない商品でした。「これでこんな音なら、もう少し高価なイヤホンはどんな音がするのだろうか?」と・・また、イヤホン沼に沈んでいくのでした。
さて、気を取り戻して、今回検討したのは中国のイヤホンメーカー・AFUL(アフー)の商品です。見た目が綺麗だったのと、例に漏れず、変態構造だったからです。
「Performer5(パフォーファイブ)」と上位の「Performer8(パフォーマーエイト)」、中途半端はやめて上位の「Performer8」を購入しました。
★Amazon:HiFiGo AFUL Acoustic Performer 8
1DD+ 7BA ドライバー 有線 インイヤー モニター、マスターピース ハイブリッド ドライバー IEM 簡単に操作できるインイヤー イヤホン
タイトな低音域、クリアな中音域、伸びやかな高音域のバランスの取れたサウンドチューニングほとんどのジャンルの音楽に最適、目を引くフェイスカバーと絶妙な新しい外観。人間工学に基づいた軽量キャビティ、高純度単結晶銅銀メッキケーブル
仕様
■7BA+1DD高性能ハイブリッド構成
8mmダイナミックドライバー、バイオロジカルダイアフラム搭載
カスタマイズされた高性能バランスド・アーマチュア・ドライバー
低音域用:8mmダイナミックドライバー×1
低音域用:BAドライバー×2
中音域用:BAドライバー×2
高音域用:BAドライバー×3
■強化された3Dプリント音響管構造、超長尺低周波音響管
■RLCネットワーク周波数分割補正技術
■高減衰空気圧バランス技術
■インピーダンス: 30Ω
■感度:115dB@1kHz
■周波数応答範囲: 5Hz-35kHz
■パッシブノイズリダクション:26dB
■標準2ピンコネクター
■付属ケーブル:シングルエンド3.5mmターミネーションプラグ
※詳細はメーカーホームページをご覧ください
【開封】
箱は少し大きめです。中箱にデカデカと中国語が書かれています。正直チョット萎えます。立派なイヤホンケースと3.5mmケーブルと数種類のイヤーチップは入っていますが、どれも使う事はありません。イヤホン本体の色合いやデザインは「和の雰囲気」もあって凄い好みです。本来なら日本メーカーが造るべきデザイン・カラーだと感じました。
当初スピンフィットにしようと思ったのですが、ノズルの先端をよく見るとフィルターがありません。ぽっかりと穴が空いているだけです。どんどん埃が溜まりそうな予感がします。そして、穴の中をよく見つと、各ドライバーの付近から伸びてきたと思われる、ダクトの様な更に小さな穴が空いています。小さなフィルターも見えます。これがPerformer8の売りの一つである「3Dプリント音響管構造、超長尺低周波音響管」の出口と思われます。穴は「(低音用)(中低音用)(高音用)の全部で3個かな?」また、外側は綺麗ですが、穴の中の仕上げはお世辞にも綺麗とは言えません。
今回はフィルタ付きの「AZLA SednaEarfit MAX」にします。しかし、ほんとにPerformer8は変態構造です。身震いしてしまいました。どんな音がするのでしょうか?
【TRN T2 Pro ケーブルに交換】
製品には3.5㎜のケーブルが付属していますが、最初からバランス接続したいので、ケーブル交換を同時に行います。コネクタは(2pin)です。非常に柔らかくタッチノイズも全くなし、 2.5 3.5 4.4 mmコネクタにも簡単に交換でします。銅と銀で構成されており低音も高音も走る癖のない良いケーブルだと思います。
Performer8本体側の2pinの穴が思いのほかきつく、最初ピンが折れるかと思いました。注意が必要です。
★Amazon:TRN T2 Pro リケーブル 2Pin ケーブル 2.5 3.5 4.4 mm 交換式プラグ イヤホンケーブル 16芯OFC銀メッキ線 イヤモニ バランスケーブル イヤフォン アップグレードケーブル (2pin, ブラック)
【評価の環境】
個人的スタイルとして、最近は専用のDAPを使いません、基本「完全ワイヤレスイヤホン」を接続視聴する時と同じ環境にします。音楽もストリーミングもYouTubeも見る事のできる「スマートフォン」+「モバイルDACアンプ」+「有線イヤホン」も無線+有線のハイブリットです。また、基本コーデックは「aptX Adaptive」としています。
※現状LDACは音切れが多いので不可
■オーディオアプリ:「Neutron Music Player」
設定等が複雑ですが、機能が多く音質が良いです。
※ノーマライゼーション(OFF)・イコライザー(OFF)に設定
■DAC&アンプ①:FiiO(フィーオ) BTR7
DAC:ES9219C x2、アンプ:THX AAA-28
■DAC&アンプ②:iFi Audio(アイファイオーディオ) xDSD Gryphon
①FiiO(フィーオ) BTR7による評価
FiiO BTR7はスッキリとしたバランスの取れた音を出します。低音~高音域まで比較的フラットで力強い音質です。音場はさほど広くありません、奥行きも深くなくどちらかというと目の前で演奏が展開されます。イヤホンの個性をシッカリ生かしてくれるDCAアンプです。コンパクトで持ち運びにも優れてます。
音圧は無い訳ではありませんが、比較的タイトで穏やかです。「周波数応答範囲が 5Hz-35kHz」なので低音域に過度の期待をしていたので少しビックリです。通常ダイナミックドライバーは空気を振動させ迫力のある低音を波動として鼓膜に伝えますが、そのあたりが穏やかです。よって、低音域については「低音用のBA型ドライバーを凄く良くした感じ」という表現が当てはまるでしょうか?「ド~ン」と来る低音ではなく「ズドン」と来るタイトな低音です。ただ、裏を返すと「低音を迫力(空気の振動)で誤魔化さない」とも言えるかもしれません。しばらく聴いていると「こんな重低音も良いなぁ~」となって来ます。
「FiiO BTR7」は比較的スッキリアッサリした音なので、リスニングとしてはある意味面白味に欠ける所もあるのですが、「Performer8」が見事に聴きごたえのある存在感のある音楽へと変貌させています。相性は素晴らしいです。
xDSD Gryphonはとにかく官能的な音を出します。「性能の良いDACと上質はPowerのあるアンプだとこんなに音が良くなるんだ」と肌で感じる事の出来る商品です。しかも音源はBluetooth接続で・・・。
xDSD Gryphonにすると
●Gryphonにはいつも驚くのですが、全くノイズがありません。
FiiO BTR7とかはイヤホンを刺す時にも「ブッ」とか言いますが
Gryphonは本当に無音です。素晴らしいです。
●解像度は更に上がり、より繊細な表現になります。
●音の一粒一粒が見える様な気がします。
●音質は濃厚になり色気が漂います。
●埋もれそうで埋もれないディテールのシッカリした絶妙の低音。
●本当に小さな音で鳴っているトライアングルなどの音も良く聴こえます。
●今まで聴こえなかったコーラスも聴こえます。伸びや共鳴も更に美しく。
①と②でどちらがいいか?
あくまでも個人的な感覚ですが、スッキリとした美しい音楽を楽しみたい時は「①FiiO(フィーオ) BTR7」、濃厚で感動的な色気を楽しむなら「②iFi Audio(アイファイオーディオ) xDSD Gryphon」となります。また、打ち込みでないアコースティックな楽器を多用した楽曲は「②iFi Audio(アイファイオーディオ) xDSD Gryphon」の圧勝でしょう。
あと、BTR7もxDSD Gryphonもバッテリの減りが少し早くなると感じました。「RLCネットワーク周波数分割補正技術」「高減衰空気圧バランス技術」とか新しい技術を投入しているのと「インピータンス30Ω」なのでちょっと燃費が悪いかなぁ~。
番外編
パソコン & Astell&Kern AK HC2
★Amazon:Astell&Kern AK HC2 Midnight Blue [リミテッドカラー 4.4mm5極バランス出力搭載ポータブルUSB-DAC]を使用します。
Performer8 Vs TRN VX Pro |
ケーブルとイヤーチップは両方とも同じものを使用しています。
・TRN T2 Pro:16芯OFC銀メッキ線バランスケーブル(コネクタは違う)
・AZLA SednaEarfit MAX:耳が痒くならない療用シリコン(サイズ ML)
音場の広がり
音圧
Performer8:すべての帯域においてしっかしとした音圧を感じます。ボリュームを絞っても音が痩せません
TRN VX Pro:音圧=空気の振動とすると、明らかにダイナミックドライバーが鳴っている時に感じます。ボリュームを絞ると音圧も痩せます。
Performer8:地に足がついた迫力のある低音です。切れも良くキッチリ鳴ります。しかし、ダイナミックドライバー特有の空気を振動させるような低音ではなくタイトで上品なのです。低音域の周波数応答範囲 5Hzに偽りはないです。
TRN VX Pro:若干下の方から聞こえる傾向があります。低音量はもう少しあっても良いかなと思います。Performer8に比べると若干輪郭がぼやけています、
音の立ち上がりと収束
濃厚具合
点数をつけるなら
TRN VX Pro: ★★★★☆ 4.0
比較のまとめ
Performer8:低音・中音・高音はそれぞれが主張しているのですが、キッチリまとまっておりあたかも一基のダイナミックドライバーのようでもあります。ともすれば金属音が目につくBA型ドライバーですが、非常に心地よくまとめられています。低音域も非常に上質です。しかも、ズッシリと心に訴えかける低音です。Performer8は全てのドライバをしっかりとチューニングし、トータルバランスに優れた最良の音質を提供していると感じます。
TRN VX Pro:どちらかというとアルミニウム筐体やドライバーの「素材の味をそのままお届けしました!」そんな感じに感じます。しかし、この価格帯でここまでの音を出すのには驚きです。Performer8の音を聴いた後にこちらを聴いたとき「個性が違う」と感じても「音が悪い」と感じる事は全くありません。
【総括】
当たり外れもあると思いますが、本体は3Dプリントで作成されているという事もあり、見えないところが若干雑であったりもしますが、外見のデザインや色使いは素晴らしいです。
多ドライバーにもかかわらず、各周波数帯の音域にズレや段付きを全く感じません。
冒頭で書いた「完全ワイヤレスイヤホンにあと、足りないものはなんだろう?」の回答ですが、想像するに「足りないものは」この「強化された3Dプリント音響管構造、超長尺低周波音響管、RLCネットワーク周波数分割補正技術、高減衰空気圧バランス技術」ではないかと思います。近い将来これらの新しい技術が組み込まれた完全ワイヤレスイヤホンが登場すると感じました。
ただ、この技術はBA型の多ドライバーイヤホンの時に威力を発揮するもので、例えば「SONY WF-1000XM5」の様にダイナミックドライバー1発のイヤホンや、「TE-Z1PNK」「TE-BD21j-ltdpnk」の様なダイナミックドライバーを主軸にしたハイブリッド型イヤホンには向かないと思います。
※ウレタン系とシリコン系のイヤーピースの違いだけでも音質はガラリと変わってしまいます。内容はあくまでも個人的な環境下での考えですのでご了承ください。参考程度にお読みいただければ幸いです。