Bluetoothでハイレゾを楽しむ |
そして、更にハイレゾ音源を「無線のBluetoothオーディオでも良い音で聴こう!」という技術が進みます。「LDAC/aptX HD」などのBluetoothオーディオ用のハイレゾ対応のコーデックの登場です。そして、各社から高音質ハイレゾ対応のスマートフォン・DAP・イヤホン・スピーカーなどが多く発表されて来ました。
※ハイレゾ音源とは
ハイレゾ音源は、原音をデジタル化したものです。ハイレゾは音が細かく沢山保存されており、より原音に近い音を表現できます。ハイレゾ音源情報はサンプリング周波数(kHz)と量子化ビット数(bit)で表します。ハイレゾ音源の情報量は(96kHz/24bit や 192kHz/24bit)が主流です。CDの情報量は(44.1 kHz/16bit)です、ハイレゾ音源(192kHz/24bit)の場合、CDの約6.5倍の情報量をもっていることになります。
※コーデックとは
Bluetoothで音声を無線伝送する際に使用する「音声圧縮変換方式」のことです。
ヘッドセットが音楽再生の接続(A2DP)時に対応しているコーデックはSBC、AAC、aptX、LDAC の4種類あります。ハイレゾ音源の情報を良い状態で伝送するにはaptX HD又はLDACが必要となります。
・SBC:Bluetooth機器が標準で使用する音声圧縮技術
・AAC:主にiPhone等のApple製品で使用されており、SBCに比べ高音質
・aptX:CSRが開発した音声圧縮技術。SBCに比べ圧縮率が低く高音質
・aptX HD:CSRが開発した音声圧縮技術。ハイレゾ音源に対応「352Kbps(48kHz / 24bit)」
・LDAC:ソニーが開発した音声圧縮技術。ハイレゾ音源に対応「990kbps(96/48kHz)」
「LDACはソニーが開発したコーデック」「aptXはクアルコムが開発したコーデック」 |
さて、今回筆者が気になっているのは「ハイレゾ音源対応の専用端末DAP(デジタルオーディオプレイヤー)とバランス対応イヤホンを買ったのに「わざわざ無線Bluetoothイヤホンで音楽を聴く意味があるのか?」考えてみた。」です。
私はBluetoothオーディオを否定しているわけでは無く、ハイレゾ対応のスマートフォンとの組み合わせではとても重宝をしています。ケーブルレスなので動きやすくタッチノイズも無く、とても身軽です。勿論ノイズキャンセリングもあり電話の音声もクリアです。
図1 |
※図1は、私が調べた範囲内の内容です。メーカーや商品によっては仕組みが異なる場合もありますので、あくまでも参考としてご覧ください。
有線オーディオの流れ
DAPの基本的な流れは【デジタルのハイレゾ音源(FLAC)データを→A/D変換(デジタルデータをアナログデータに変換)→I/V変換・アンプ(電流/電圧変換・アナログ音源をアンプで増幅)→バランス有線ケーブルでイヤホンに音を出す。】とこんな感じです。
音の良し悪しは「音源・DAP本体・ケーブル・イヤホン等」の全体のバランスで決まると思っていますが、まず、最も重要なのはDAP本体の「D/A変換」「I/V変換・アンプ」の部分だと思います。ここで、ある程度、音の良し悪しや個性が決まります。
無線オーディオ接続の流れ
Bluetoothオーディオの場合、図を見てもらうと分かるのですが、DAP本体の「D/A変換」「I/V変換・アンプ」を使いません。音源を「LDAC」コーデックで圧縮し、Bluetoothで受信機に送信します。音はBluetooth受信機側の「D/A変換」「I/V変換・アンプ」を使います。つまり音の良し悪しはDAP本体ではなく、Bluetoothレシーバー側の性能によって決まってきます。
いくら高価なDAPを買おうとも無線Bluetoothオーディオ接続で音楽を聴く際には、DAPはただ、ハイレゾ音源を送り出すだけの箱に過ぎないのです。
と言うことで、音楽再生に特化したDAPとスマホにBluetoothイヤフォンをつないで音が変わるのかどうかをテストしてみました。Bluetooth受信機&イヤフォン側に音の全てが依存し、DAPとスマートフォンがハイレゾ音源を送り出すだけの、ただの箱ならば、どちらでハイレゾを聴こうが音は変わらないはずです。
今回、DAP(HiBy R6 Pro)とスマートフォン(Essential Phone)そしてBluetooth受信機&イヤフォン(WI-1000X)を使用しました。コーデックは「LDAC」です。
※「LDAC」はもともとSONYのウォークマンにハードウェア依存していたコーデックです。しかし、Android8.0からオープンソース化になりハードウェアに依存しないソフトウェアのみでの利用が可能になりました。
■HiBy R6 Pro
Android 8.1
Bluetooth V4.0
コーデック:aptX・aptX HD・LDAC・HWA
D/A変換: ESS ES9028Q2M × 2
I/V変換: NJR MUSES8920 × 4
LPF&Amplifier: SSM6322 × 2
本体素材:316L ステンレススチール
■Essential Phone(PH-1)
Android 9(2019/06現在)
Bluetooth: 5.0LE
コーデック:aptX・aptX HD・LDAC
D/A変換: 不明
I/V変換: 不明
LPF&Amplifier: 不明
本体素材:チタンボディ(セラミックの後部)
■WI-1000X
Bluetooth V4.1
コーデック:SBC, AAC, LDAC, aptX, aptX HD
フルデジタルアンプS-Master HX搭載
※上記(図1)のBluetooth側のD/A変換、I/V変換、アンプの流れですが、S-Masterの場合は少し構造が違うようです。こちらをご参考に。
A) スマートフォン(Essential Phone)+(WI-1000X)
重低音が魅力のWI-1000X、中高音域もシッカリ出ており、適度な音場の広さと適度な音圧で十分に音楽に没頭できます。ケーブルレス・ノイズキャンセリングとも合わせ魅力的な組み合わせです。WI-1000XはアンプがS-Master HXなのでシッカリとした良い音をだします。多分、現存するBluetoothイヤホンの中ではピカイチの音を出すと思われます。
この組み合わせであれば、スマートフォン本体が違う機種に変わろうと、ほぼ同じ良い音が楽しめます。ただ、残念なのはWI-1000Xがイヤホンを交換できないこと!
B) DAP(HiBy R6 Pro)+(WI-1000X)
A)の組み合わせを基本とすると、音場が少し広がり、解像度が少し上がり、音圧が少し上がりました。音への没頭度が更に上がります。ただ、劇的かというと、そこまでのレベルではありません。聞き比べても遜色はありません。
【総括】
専用端末DAPとスマホにそれぞれBluetoothイヤホン(WI-1000X)を接続した場合「Bluetoothバージョンの違い?、Android OSバージョンの違い?、LDACの実質のビットレートの違い?、本体筐体素材の違い?」なのか、少し音に違いがありました。
ただ、その音の違いは微々たる物で、(A)・(B)いずれの組み合わせも十分音楽に没頭できる音質だと感じました。しかし、Bluetoothイヤホン(WI-1000X)の音は素晴らしいのですが、有線のバランス接続の音質を超えることは現状出来ていません。
よって、結論として「現状、専用端末DAPとBluetoothイヤホン(WI-1000X)を接続して、音楽を聴く意味を感じない」と思いました。「良い音でジックリ音楽を聴く時はDAP+有線イヤホンで!」「お出かけ時など身軽に、良い音で音楽を楽しむならスマホとWI-1000Xの組み合わせがベスト!」と感じました。
見方を変えると「基本的に音楽視聴はBluetoothイヤホン(WI-1000X)を常に使用する」と言う方であれば「送信機はハイレゾ対応でBluetooth(LDAC)に対応していれば何でも良い!」ともいえると思いました。実際SONYからはLDAC対応のBlu-rayプレイヤーなども登場しています。
しかし、いつかWI-1000Xがフルアルミボディーやフルステンレスボディーになり、HiBy R6 Proと同等のD/A変換、I/V変換、アンプが搭載され、ケーブルから解放され、無線バランス接続で、更に好きなイヤホンに交換できたならば・・・、そんな近未来を考えながらニヤニヤするのです。各チップを更に小型化して省電力にして、小型バッテリを強化すれば、スグにでも実現できると思うのですがネ!
Ps.
今回色々書いていますが、専門家でないので技術的な部分で間違っている所も多々あるかもしれません。大目に見てやってください。よろしくお願いいたします。