2023年12月17日日曜日

Linsoul(L.Sオーディオ) 何でもありのハイブリッド型イヤホンKiwi Ears Quintet(キーウィ イアーズ クインテット)を購入しました。簡単に評価レビューしてみます。

 

Kiwi Ears Quintet(キーウィ イアーズ クインテット)

【初めに】

最近「頭の中でどんな音になるのか全く想像のつかないドライバー構成を持ったイヤホン」に出くわしてしまいました。中国メーカーのLinsoul(L.Sオーディオ)という所の「Kiwi Ears Quintet(キーウィ イアーズ クインテット)」と言う商品です。なんと「DLC ダイナミック ドライバーx2、バランスド アーマチュア ドライバーx2、平面磁気ドライバーx1、圧電骨導体x1」と言うドライバ構成なのです。まるで、現在所有している完全ワイヤレスイヤホン下記①と②を合わせた様なドライバー構成なのです。

①AVIOT TE-Z1PNK( ダイナミック型+平面磁気駆動ドライバー)搭載


AVIOT WB-E1M (骨伝導+BAドライバー)搭載ヘッドセット


正直「いい音楽に骨伝導は必要?あのブルブルくる感覚は必要?」という素朴な疑問が頭の中を渦巻きます。・・・・しかし、ドライバーの構造図を見て妄想と違うと感じました。

Kiwi Ears Quintetのドライバ構造

まず「平面磁気ドライバー」ですが全く想像と違います。「小さな円の形状」を思っていたのですが、図を見るとまるでBA型ドライバーと同じような形状に見えます。「マイクロ・プラナー・トランスデューサー(MPT)」と呼ばれていますが、情報があまりありません。平面駆動ドライバー自体「円」である必要も無いので、この箱の中に「小さな長方形」の平面ドライバーが入っているのでしょうか?

次に「圧電(PZT)骨導体」ですが、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)は、叩いたり、圧力をかけたりすると電圧を生じ、逆に電圧をかけるとそのものが伸縮する性質があります。図のレイアウトを見る限り、この「圧電(PZT)骨導体」は骨を揺らすのではなく、あくまでも「空気を振動させる」ことを目的にしているように感じます。ますます、どんな音がするのか興味がわいてきます。


★AmazonLINSOUL Kiwi Ears Quintet
Kiwi Ears Quintet は、DLC ダイナミック ドライバー、2 つのバランスド アーマチュア ドライバー、平面磁気ドライバー、圧電骨導体を含む 4 種類のドライバーを使用し、高解像度オーディオを提供します。

各ドライバーの特徴
ダイナミック(低音):衝撃的な低音と速い減衰速度
BA型(中音):自然で解像度の高い中域
平面磁気(高音):鮮明で詳細な自然な高音
圧電(PZT):より高い解像度、空気感、音場感を向上

仕様
■ドライバー構成
 ダイナミック:10mmダイヤモンドライクカーボン(DLC)x1
 BA型:バランスド・アーマチュア(Knowles 製)x2
 平面磁気:マイクロ・プラナー・トランスデューサー(MPT)x1
 圧電(PZT):ボーンコンダクタ(骨伝導)x1
■周波数特性:20 ‒ 30kHz
■感度:108db(at 1KHz/mW)
■インピーダンス:32Ω
■重量: (ケーブル含む)約40g
■重量: (ケーブル含まず)約10g(両側)
■ケーブル長:約1.25m
■ケーブル:銀メッキ無酸素銅(OFC)線
■入力端子:3.5mmステレオミニプラグコネクター2pin
■付属品:ケーブル ・キャリングケース ・イヤーピース2 種(S/M/L サイズ各2 ペア、合計6 ペア) ・説明書


【開封】
本体もそうですが、箱も黒とグレーでまとめられています。派手さはないですが、個人的には好きです。筐体は最近の主流?の3Dプリンターで作成された樹脂の筐体のトップに金属プレートを取り付けたデザインになっています。造りに雑さはなくシンプルな美しさと高級感も漂います。また、ノズルの先端にはキチンとフィルターもあります。







【イヤーチップ交換(AZLA(アズラ) SednaEarfit MAX)】
Kiwi Ears Quintetは(ML)サイズでベストマッチです。ノズルにきちんと引っかかりもあり「ホッ」とします。なんせ前回買ったPerformer8はノズルがツルンツルンでしたから!


ノズルの違い
Performer8は引っかかりがありません
Kiwi Ears Quintetはしっかりと引っかかりがあります





【TRN T2 Pro ケーブルに交換】
製品には3.5㎜のケーブルが付属していますが、最初からバランス接続したいので、ケーブル交換を同時に行います。コネクタは(2pin)です。非常に柔らかくタッチノイズも全くなし、 2.5 3.5 4.4 mmコネクタにも簡単に交換でします。銅と銀で構成されており低音も高音も走る癖のない良いケーブルだと思います。





【ポーチを購入】
有線イヤホンが増えてきたのでケースを買いました。ハードなものではなくソフトなポーチです。パクパクする昔こんなコイン入れを持っていました。大小買いました。
★Amazonイヤホンポーチ

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【評価の環境】

最近は個人的スタイルとして、専用のDAPを使いません、基本「完全ワイヤレスイヤホン」を接続する時と同じ環境にします。音楽もストリーミングもYouTubeも見る事のできる「スマートフォン」+「Bluetooth対応モバイルDACアンプ」+「有線イヤホン」の環境です。また、基本コーデックは「aptX Adaptive」としています。
※現状LDACは音切れが多いので不可


■プレイヤー:motorola razr 40 ULTRA

対応コーデック
コーデック サンプリング  ビットレート
SBC 48kHz/16bit         192kbps
AAC 48kHz/16bit         非公開
aptX 48kHz/16bit         384kbps
aptX HD 48kHz/24bit     576kbps
aptX Adaptive 48kHz/24bit     280kbps~420kbps可変
aptX Adaptive 96kHz/24bit     260kbps~640kbps可変
LDAC         96kHz/24bit     990kbps/660kbps/330kbps
aptX Lossless           44.1kHz/16bit     最大1200kbpsでビットレート可変
LC3 48kHz/32bit         16kbps – 320kbps
LC3(plus) 96kHz/24bit         16kbps – 320kbps


■オーディオアプリ:Neutron Music Player
設定等が複雑ですが、機能が多く音質が良いです。(WindowosPCでも使用)
※ノーマライゼーション(OFF)・イコライザー(OFF)に設定




■DAC&アンプ①:FiiO(フィーオ) BTR7
DAC:ES9219C x2、アンプ:THX AAA-28
対応コーデック:LDAC:96kHz/24bi、aptX Adaptive:48kHz/24bit




■DAC&アンプ②:iFi Audio(アイファイオーディオ) xDSD Gryphon
DAC:バーブラウン製、アンプ:1000mW @ 32Ω
対応コーデック:LDAC:96kHz/24bi、aptX Adaptive:48kHz/24bit






■評価に使う楽曲
評価にはいつものようにYouTubeの「お洒落なミュージック」に掲載しているような楽曲を使います。音源データのサンプリングレートは(44.1kHz)(48kHz)(96kHz)(192kHz)のハイレゾがメインです。ファイル形式はFLAC又はAACです。







【エージングする】

※最近はレビュー評価に際して、事前に少し聴いています。
音場は非常にタイト、奥行きもあまりありません。低音域はイマイチですが、中高音域は良く出ています。解像度は高いようなのですが、音にごちゃ混ぜ感があり、どんな楽器がどこで鳴っているのか位置関係が良く分かりません。「慌てて沢山のごはんやおかずを口の中に頬張ている感じ」です。また、女性ボーカルの声は美しいですが、高音域がたまに耳に刺さり疲れます。また、いわゆる音圧ではなく妙な圧迫感を感じます。ちょっと疲れます。
更に30分ほど聞いたのですが、筐体ハウジングが私の耳には微妙に大きいようで耳が少し痛くなりました。現在はお世辞にも良い音とは言えません。今回のKiwi Ears Quintetは高音域用に平面駆動ドライバーが入っています
。経験上平面駆動ドライバーは長いエージングが必要と思っています。なので今回は少なくとも100時間のエージングを行います。
エージングには、ミニPC「ミニpc N97 mini pc2023」とDACはUSB接続スティックタイプの「stell&Kern AK HC2」を使用します。この組合せで100時間ほどボリュームを少し落として鳴らしっぱなしにします。

★Amazonミニpc N97 mini pc2023 「最大3.6GHz、16GB DDR4 3200MHz、512GB M.2 NVMe PCle3.0 SSD、WIFI 6、BT5.2、4K、USB3.0×2/USB2.0×2/HDMI×2、windows11Pro 対応」

★AmazonAstell&Kern AK HC2 Midnight Blue [リミテッドカラー 4.4mm5極バランス出力搭載ポータブルUSB-DAC] 384KHz32bit/DSD256ハイレゾ対応 バスパワー駆動 Type-C&Lightning対応


エージングも100時間を超えましたので評価をしてゆきます





【聴いてみる】

①FiiO(フィーオ) BTR7による評価

FiiO BTR7はスッキリとしたバランスの取れた音を出します。低音~高音域まで比較的フラットで力強い音質です。音場はさほど広くありません、奥行きも深くなくどちらかというと目の前で演奏が展開されます。イヤホンの個性をシッカリ生かしてくれるDCAアンプです。コンパクトで持ち運びにも優れてます。

それでは聴いてみます
比較的音場の狭いFiiO BTR7ですが、Kiwi Ears Quintetとの組み合わせにおいてもそう広くありません。ただ、狭く感じる事もなく、とても澄んだ音場です。奥行きもあまりありませんが、窮屈ではありません。非常に解像度が高く感じますが、低音~高音域まで音が中央に集まっている感です。音質自体は美しくメリハリも良く音の輪郭もシッカリとあります。ただ、色々な楽器の音を探そうとすると見つけにくい場合があります。そして、特定の周波数帯域の音、例えばピアノの中音辺りは少し小さめの音だけど、シンバルとか高音域のギターの高音域は良く聴こえたりします。

音圧は高いです。ただ低音が凄く強い訳でもなくダイナミックドライバーの空気振動による圧ではないように感じます。きっと圧電(PZT)が良い仕事をしていると思われます。
スペックとしては「周波数特性:20Hz ‒ 30kHz」で中音域に重きを置いた設計と思われます。Knowles 製のバランスド・アーマチュアがとてもいい仕事をしておりボーカルの存在感は素晴らしいです。特に女性ボーカルは美しく心地よいです。ただ、楽曲によってはBA型(中音)と平面磁気(高音)の周波数帯の繋がりに若干の違和感も感じる時があります。

高音:若干硬質の高音に感じます。繊細な余韻が美しいです。
中音:中音域の解像度は非常に高いです。女性ボーカルが特に美しいです。
低音:あまり深くなく比較的アッサリとした低音です。輪郭もマイルド。
音場:左右への余韻の伸びはありますが、あまり広くありません。
奥行:比較的前の方に音が集まっています。深さを感じませんが聴きやすいです。
音圧:シッカリとした音圧があります。バスドラなどはグッときます。
抜け感:明るく曇りのない見通しの良い抜け感、空気感は他では味わえません。
解像度:高いと思います。しかし、中音~高音域あたりの繋がりがモヤモヤします。

「FiiO BTR7」は比較的スッキリアッサリした音なので、リスニングとしてはある意味面白味に欠ける所もあるのですが、「Kiwi Ears Quintet」が見事に美しく聴きごたえのある存在感のある音楽へと変貌させています。相性はいいです。

【相性評価】 ★★★★☆ 4.5



②iFi Audio(アイファイオーディオ) xDSD Gryphonによる評価

xDSD Gryphonはとにかく官能的な音を出します。「性能の良いDACと上質はPowerのあるアンプだとこんなに音が良くなるんだ」と肌で感じる事の出来る商品です。しかも音源はBluetooth接続で・・・。

それでは聴いてみます
xDSD Gryphonの音はやっぱり凄いです。おおよその音質の感想は上記の「①FiiO(フィーオ) BTR7による評価」をベースとしていただいて良いです。アップする部分のみ記載します。

xDSD Gryphonにすると
●全体的に非常に濃厚な音質になります。
●低中音が持ち上がります。特に低音域は聴きごたえがあります。
●切れがあり、濃厚なバスドラやドラムスが心に響きます。
●奥行きが少し広がります。左右に音場が広がります。
●空気感がアップします。一粒一粒がさらに濃厚に。
●解像度が更に高くなった感じがします。中音域が良いので全体が安定します。
●高音域は良い意味で中音域を上手く捕捉しスーッと伸びて行く余韻を演出します。
●明るめの抜け感は、深みのある抜け感に変わり色気が漂います。
●FiiO BTR7の時に感じた「BA型(中音)と平面磁気(高音)の周波数帯の繋がりの若干の違和感」は感じませんでした。xDSD Gryphonのアンプパワーで押しきったかな?

【相性評価】 ★★★★★ 5.0

※今後さらにエージングを行うとまだ変化は起きそうに感じています。







【他のイヤホンと比較してみます(個人的ベスト3で比較)】

お気に入り変態イヤホンのベスト3で、NO1を決めます!
現在、特殊な多ドライバー構成を持つこの3機種が大好きなのです。すべて中華イヤホンですが昔の様な「安かろう悪かろう」のイメージは全くありません。それぞれが個性的ではありますが、いずれも実に洗練されており音質は素晴らしいものがあります。
今回、個人的NO1を決定しました。


■候補①:Linsoul(L.Sオーディオ) Kiwi Ears Quintet:変態度100%
(ここがポイント)
今後「MEMS:シリコン・ドライバー」とか新しい音が登場してくるでしょう。本製品は間違いなく、イヤホンを次の次元へ導くドライバー構成だと感じます。音質は若干意見が分かれるかもしれませんが新しいチャレンジがいっぱい詰まった素晴らしいイヤホンだと感じます。高音域の余韻の空気感が美しいです。

■ドライバー構成
 ダイナミック:10mmダイヤモンドライクカーボン(DLC)x1
 BA型:バランスド・アーマチュア(Knowles 製)x2
 平面磁気:マイクロ・プラナー・トランスデューサー(MPT)x1
 圧電(PZT):ボーンコンダクタ(骨伝導)x1

 ダイナミック(低音):衝撃的な低音と速い減衰速度
 BA型(中音):自然で解像度の高い中域
 平面磁気(高音):鮮明で詳細な自然な高音
 圧電(PZT):より高い解像度、空気感、音場感を向上

■周波数特性:20Hz ‒ 30kHz
■感度:108db(at 1KHz/mW)
■インピーダンス:32Ω




■候補②:AFUL (アフー)Performer8:変態度100%

(ここがポイント)
多ドライバーにもかかわらず、各周波数帯の音域にズレや段付きを全く感じません。
独自の「3Dプリント音響管構造、超長尺低周波音響管」により非常に自然で低音~超高音を繋がりよく、そして繊細に的確に表現をしてくれます。音楽を聴いて、心穏やかになりたい方にお勧めです。低音域の再生周波数帯域はNo1です。しかし、重低音~超高音までバランスよく鳴る優れものです。

■ドライバー構成
 7BA+1DD高性能ハイブリッド構成
 8mmダイナミックドライバー、バイオロジカルダイアフラム搭載
 カスタマイズされた高性能バランスド・アーマチュア・ドライバー

 低音域用:8mmダイナミックドライバー×1
 低音域用:BAドライバー×2
 中音域用:BAドライバー×2
 高音域用:BAドライバー×3

■周波数特性:5Hz-35kHz
■感度:115dB@1kHz
■インピーダンス:30Ω




■候補③:TRN(ティーアールエヌ) VX Pro:変態度60%

(ここがポイント)
押し寄せるシルキーで繊細な美しい高音域、耳に刺さる事もなく音場の広い壮大な美しい世界が広がります。中音域~超高音域は再生帯域による段付きは一切なく、広大な面上でフラットに広がる感じです。コストパフォーマンスはピカイチ!高音域の再生周波数帯域はNo1です。また、多ドライバーですが、実は意外とシンプルな構成だと思います。
どちらかと言うとドンシャリ系のイヤホンです。

■ドライバー構成
 10mm二重磁気ダイナミックドライバー x 1
 30095中音域バランスドアーマチュアドライバー x 4
 50060高音域バランスドアーマチュアドライバー x 4

■周波数特性:7Hz ‒ 40kHz
■感度:106db/mW
■インピーダンス:22Ω


比較候補の①②③は全て同じ周辺環境です


プレイヤーは「motorola razr 40 ULTRA」、DACアンプは「FiiO BTR7」、バランスケーブルは「TRN T2 Pro」、イヤーチップは「AZLA SednaEarfit MAX サイズはML」に統一しています。


評価スタートです!比べてゆきます!

■抜け感・空気感
Kiwi Ears Quintet★★★★★5.0
Perfomer 8★★★★★4.5
TRN VX Pro★★★★★4.0
面白いのは全て抜け感・空気感があるのですが、その感覚が全て違うのです。
それぞれ、Kiwi Ears Quintetは「圧電(PZT)」Perfomer 8は「音響管構造、超長尺低周波音響管」TRN VX Proは「アルミニウム筐体」による効果が高いのでは?と考えています。空気感の美しさはKiwi Ears Quintetが一つ抜けています。


■自然な透明度
Kiwi Ears Quintet★★★★★5.0
Perfomer 8★★★★☆4.5
TRN VX Pro★★★★☆4.0
Kiwi Ears Quintetの透明感を聴いてしまうとPerfomer 8は少しモッサリした感じがします。TRN VX Proは金属的な共鳴感で自然とは言えません。この辺りは好みですが個人的にはKiwi Ears Quintetが一つ抜けています。

■音圧の高さ
Kiwi Ears Quintet★★★★★4.5
Perfomer 8★★★★★4.5
TRN VX Pro★★★★☆4.8
音圧の出方は三種三様に感じます。Kiwi Ears Quintetは「圧電(PZT)」による振動。Perfomer 8は「直接的では無く超長尺低周波音響管によるもの」。TRN VX Proは「ダイナミックドライバーと筐体の空間を利用」による効果が高いのでは?と考えています。一番馴染みの音圧はTRN VX Proかなと思います。

■音場の広さ
Kiwi Ears Quintet★★★★★3.
Perfomer 8★★★★★5.0
TRN VX Pro★★★★★5.0
決して「音場は広い方が良い」と言う分けではありません。Kiwi Ears Quintetは他に比べると狭いですが、それが「音質にどうのこうの影響する」訳ではありません。自分の目の前の丁度いい位置で鳴る音楽は素晴らしいです。「Perfomer 8」は最もバランスが良いと感じます。「TRN VX Pro」は左右上下に最も広い音場です。でなおかつシッカリと安定した音質で鳴ります。もちろん、世の中には「音場は広く音もスカスカ」という最悪のイヤホンも存在します。

■音場の奥行
Kiwi Ears Quintet★★★★★3.
Perfomer 8★★★★★5.0
TRN VX Pro★★★★★5.0
ドライバの位置や構造によっても変わってきます。音場の左右の広さと合わせ奥行きがあると、ホール感やライブ感をより感じる事が出来ると思います。これも音場と一緒で「奥行きがあればいい」という事でもないと思っています。

■ホール感・ライブ感
Kiwi Ears Quintet★★★★★4.5
Perfomer 8★★★★★5.0
TRN VX Pro★★★★★5.0
上記の音場と奥行きと密接に関連しますが、Kiwi Ears Quintetは「圧電(PZT)」による効果によりかなりライブ感があります。激しいRockなどではライブ会場感覚で燃えます!Perfomer 8とTRN VX Proについても文句なしです。

■解像度の高さ
Kiwi Ears Quintet★★★★★4.5
Perfomer 8★★★★★5.0
TRN VX Pro★★★★★4.5
Kiwi Ears Quintet、Perfomer 8、TRN VX Pro全て解像度は高いですが、中でもPerfomer 8だダントツです。全ての細かな音が見えるようです。

■レスポンス・軽快感
Kiwi Ears Quintet★★★★★5.
Perfomer 8★★★★★5.0
TRN VX Pro★★★★★5.0
これは何れも文句なしです。TRN VX Proのみ若干低音域がマイルド

■低音の深み
Kiwi Ears Quintet★★★★★3.
Perfomer 8★★★★★5.0
TRN VX Pro★★★★★4.0
Kiwi Ears Quintetは個人的にはもう少し欲しい所です。Perfomer 8は深くそしてキレキレの良い低音が出ます。TRN VX Proは重低音寄りの低音でドーンと来ますが若干輪郭が甘いです。

■重低音
Kiwi Ears Quintet★★★★★3.
Perfomer 8★★★★★5.0
TRN VX Pro★★★★★5.0
Kiwi Ears Quintetは重低音はほぼ出ていないです。Perfomer 8は(低音域用:8mmダイナミックドライバー×1、BAドライバー×2)切れの良い低音の下に重低音がバランスよく聴こえます。TRN VX Proの(10mm二重磁気ダイナミックドライバー)は暴力的でもありドーンと来ます。

■中音の厚み
Kiwi Ears Quintet★★★★★5.
Perfomer 8★★★★★5.0
TRN VX Pro★★★★★4.0
Kiwi Ears QuintetもPerfomer 8も中音域はかなりシッカリしています。TRN VX Proは比較的高音域よりの中音域です。

■高音の煌めき
Kiwi Ears Quintet★★★★★5.
Perfomer 8★★★★★4.8
TRN VX Pro★★★★★5.0
煌めきという意味ではKiwi Ears Quintet(平面磁気ドライバーx1)とTRN VX Pro(高音域バランスドアーマチュアドライバーx4)でしょう。高価は絶大です。Perfomer 8も(高音域バランスドアーマチュアドライバーx3)ですが、樹脂の筐体なので煌めきますが若干マイルド。

■高音の共鳴・伸び
Kiwi Ears Quintet★★★★★5.
Perfomer 8★★★★★4.5
TRN VX Pro★★★★★5.0
高音域の伸びと共鳴という意味ではTRN VX Proでしょう。BA型の高音域ドライバーとアルミ筐体の共鳴は美しいです。

■高音の柔らかさ
Kiwi Ears Quintet★★★★★4.8
Perfomer 8★★★★★5.0
TRN VX Pro★★★★★4.0
何れもシッカリとしたエージングが必要です。中でもPerfomer 8が最も繊細で柔らかな高音がでます。

■音質の濃厚度
Kiwi Ears Quintet★★★★★4.5
Perfomer 8★★★★★5.0
TRN VX Pro★★★★★4.0
全体的にPerfomer 8が最も濃厚な音質です。

■音質のトータルバランス
Kiwi Ears Quintet★★★★★4.
Perfomer 8★★★★★5.0
TRN VX Pro★★★★★4.0
低音~高音域までトータルバランスはPerfomer 8が一番でしょう。どこの音を切り取っても同じように良い音がします。Kiwi Ears Quintetは色んな構造のドライバーと搭載し「異業種交流会」のようになっています。しかし、よくもここまで一体感が出ていると感心しています。

■長時間音楽を聴くと疲れる
Kiwi Ears Quintet★★★★★5.
Perfomer 8★★★★★2.0
TRN VX Pro★★★★★3.0
Perfomer 8は音圧もあるし迫力もあるのに長時間聴いてもほとんど疲れません。Kiwi Ears Quintetは「圧電(PZT)」の関係か長時間聴いていると若干疲れが出ます。TRN VX Proはドンシャリ具合が強いので少し疲れます。

■音楽に没頭できるか
Kiwi Ears Quintet★★★★★4.8
Perfomer 8★★★★★5.0
TRN VX Pro★★★★★4.0
音質のバランスがよく、疲れの出ないPerfomer 8が最も没頭できます。

■耳への負担
Kiwi Ears Quintet★★★★★5.
Perfomer 8★★★★★2.0
TRN VX Pro★★★★★2.0
Kiwi Ears Quintetは筐体が若干大きく私の耳には気持ち合わない部分もあります。最近は慣れてきましたが、長時間着けていると少し耳が痛くなります。

■コストパフォーマンス
Kiwi Ears Quintet★★★★★2.
Perfomer 8★★★★★4.0
TRN VX Pro★★★★★5.0
TRN VX Pro以外もう少し安くても良いと思います。

■装着感
Kiwi Ears Quintet★★★★★5.
Perfomer 8★★★★★5.0
TRN VX Pro★★★★★5.0
装着感は全ていいです。ズレ落ちたりすることもありません。ただしこの辺りはイヤーチップとの相性にもよります。

■省エネ具合
Kiwi Ears Quintet★★★★★3.
Perfomer 8★★★★★3.0
TRN VX Pro★★★★★4.4
ドライバーのタイプ、数、抵抗値、にもよると思いますが、TRN VX Pro以外はFiio BTR7の電池の減りが早いです。もちろんすべて同じボリュームで聴いています。

■総合評価
Kiwi Ears Quintet★★★★★4.5
Perfomer 8★★★★★4.8
TRN VX Pro★★★★★4.0


No1を決定します!


さて、3種三様でどれも素晴らしい音を聴かせてくれますが、どうしても順位をつけるとしたら、No1はトータルバランスに優れた「AFUL Perfomer 8」となります。
太い重低音・低音、繊細で透き通る超高音、広い音場、深い奥行き、スピード感、美しい共鳴、アコースティックな楽曲でも、打ち込みの楽曲でも、どんな古い楽曲であっても濃厚でリッチなサウンドで聴かせてくれます。デザインも良く長時間聴いても疲れません。





【総括】
当初、Kiwi Ears Quintetは「ダイナミック(低音)、BA型(中音)、平面磁気MPT(高音)、圧電(PZT)」という構成で、個人的には(中音域のKnowles 製BA型ドライバー)と(高音域の平面磁気ドライバー(MPT))の音質の違い、繋がり、位置のチューニングが自然でないように感じました。素直に高音域・超高音域用にKnowles 製BA型ドライバーを使用した方が良い音になった気もします。ただ、これらはエージングを重ねると変わってきます。
低音~高音域まで繋がりの良い美しい音を出します。リスニング用イヤホンとしては没頭できる音質です。楽曲によってですが、音場はそう広くないのに「フぅ~」と広かる高音域・空気感は特質すべきポイントです。よくある「アルミの筐体で共鳴させクリアで冷たい広がり」ではありません。暖かくも冷たくもない非常に自然な広がりなのです。この感覚は今までのイヤホンには無いかもしれません。しかし、リスニングイヤホンとしては良いのですが、音質に関しては原音再生に重きを置いていないと思われ、多分モニター用としては微妙かと思います。

ポイントとしては、長めのエージングを行うとかなり自然な良い音になって来ます(個人的にはトータル200時間以上が推奨)。また、色んなDAC・アンプアップで色んな楽曲を鳴らしてあげるのも重要だと感じます。今回「Astell&Kern AK HC2」→「FiiO BTR7」→「xDSD Gryphon」と長時間ずつ鳴らしいったのですが、最後の「xDSD Gryphon」で鳴らした後もう一度「FiiO BTR7」で音楽を聴くと中音・高音あたりの変な癖も無くなり、物凄く音が良くなっていました。これは違うアンプを使う事で他のアンプでは振動しないドライバーがまんべんなく振動した結果だと思っています。

価格から見たコストパフォーマンスですが、この音質なら「もう少しお安くても良いのかな?」と感じました。ただ、色々な変態構造にチャレンジしているのでこの価格でも良いとも思います。(笑


※ウレタン系とシリコン系のイヤーピースの違いだけでも音質はガラリと変わってしまいます。内容はあくまでも個人的な環境下での考えですのでご了承ください。参考程度にお読みいただければ幸いです。

2023年11月12日日曜日

AFUL (アフー)Performer8(パフォーマーエイト)美しさと7BA+1DD高性能ハイブリッド構造を持ち合わせたイヤホンです。レビュー評価してみます。

 

AFUL Perfomer 8

【初めに】
この完全ワイヤレスイヤホン全盛のご時世に、有線イヤホンにハマっています。きっかけは完全ワイヤレスイヤホンである「SONY WF-1000XM5」を購入したときに感じた満足度と完成度。そう感じた時に「完全ワイヤレスイヤホンにあと、足りないものはなんだろう?」と考えました。そして「完全ワイヤレスイヤホンの未来を知るためには、今の有線イヤホンの進化を知る必要がある」と思い立った次第です。

また、どうせ買うなら「安くて、音が良いイヤホン」が欲しいと思いました。色々調べてみましたが、やはり現実的に中国メーカーのイヤホンしかない感じです。外れでショックを受けないように、まずは1万円前後の商品から購入しました。
最初に購入したのは「SHANLING SONO(シャンリン ソーノ)」次に「TRN VX Pro(ティーアールエヌ ブイエックス プロ)」を購入しました。まあ、以前の中国イヤホンの「安かろう、悪かろう」の音を想像していたのですが、音質を聞いてビックリ!造りも音質も1万円近辺とは思えない商品でした。「これでこんな音なら、もう少し高価なイヤホンはどんな音がするのだろうか?」と・・また、イヤホン沼に沈んでいくのでした。

さて、気を取り戻して、今回検討したのは中国のイヤホンメーカー・AFUL(アフー)の商品です。見た目が綺麗だったのと、例に漏れず、変態構造だったからです。
「Performer5(パフォーファイブ)」と上位の「Performer8(パフォーマーエイト)」、中途半端はやめて上位の「Performer8」を購入しました。


★AmazonHiFiGo AFUL Acoustic Performer 8
1DD+ 7BA ドライバー 有線 インイヤー モニター、マスターピース ハイブリッド ドライバー IEM 簡単に操作できるインイヤー イヤホン

タイトな低音域、クリアな中音域、伸びやかな高音域のバランスの取れたサウンドチューニングほとんどのジャンルの音楽に最適、目を引くフェイスカバーと絶妙な新しい外観。人間工学に基づいた軽量キャビティ、高純度単結晶銅銀メッキケーブル

仕様
■7BA+1DD高性能ハイブリッド構成
 8mmダイナミックドライバー、バイオロジカルダイアフラム搭載
 カスタマイズされた高性能バランスド・アーマチュア・ドライバー

 低音域用:8mmダイナミックドライバー×1
 低音域用:BAドライバー×2
 中音域用:BAドライバー×2
 高音域用:BAドライバー×3

■強化された3Dプリント音響管構造、超長尺低周波音響管
■RLCネットワーク周波数分割補正技術
■高減衰空気圧バランス技術

■インピーダンス: 30Ω
■感度:115dB@1kHz
■周波数応答範囲: 5Hz-35kHz
■パッシブノイズリダクション:26dB

■標準2ピンコネクター
■付属ケーブル:シングルエンド3.5mmターミネーションプラグ
※詳細はメーカーホームページをご覧ください




【開封】
箱は少し大きめです。中箱にデカデカと中国語が書かれています。正直チョット萎えます。立派なイヤホンケースと3.5mmケーブルと数種類のイヤーチップは入っていますが、どれも使う事はありません。イヤホン本体の色合いやデザインは「和の雰囲気」もあって凄い好みです。本来なら日本メーカーが造るべきデザイン・カラーだと感じました。







【イヤーチップ交換(AZLA(アズラ) SednaEarfit MAX)
「な・・なんだこれは!」最初このノズルを見た時に愕然とします。引っかかりの全くないツルンツルンのノズル!大胆です。カルチャーショックです。でも、ツルンツルンのノズルで本当にイヤーチップが固定できるのでしょうか?イヤホンを耳から外すときに「スポン」とイヤーチップが抜けて耳の中に残りそうで怖いです。



当初スピンフィットにしようと思ったのですが、ノズルの先端をよく見るとフィルターがありません。ぽっかりと穴が空いているだけです。どんどん埃が溜まりそうな予感がします。そして、穴の中をよく見つと、各ドライバーの付近から伸びてきたと思われる、ダクトの様な更に小さな穴が空いています。小さなフィルターも見えます。これがPerformer8の売りの一つである「3Dプリント音響管構造、超長尺低周波音響管」の出口と思われます。穴は「(低音用)(中低音用)(高音用)の全部で3個かな?」また、外側は綺麗ですが、穴の中の仕上げはお世辞にも綺麗とは言えません。
今回はフィルタ付きの「AZLA SednaEarfit MAX」にします。しかし、ほんとにPerformer8は変態構造です。身震いしてしまいました。どんな音がするのでしょうか?




気を取り直してまずは(L)サイズも試しました。耳に装着したところかなりの圧迫感があったので(ML)サイズにしました。良い感じです。ノズルは他の製品に比べると少し太めです、イヤーチップを装着する時もキツメデした。何度か耳に入れたり外したりしましたが、ノズルからイヤーチップが外れることも無いようです。ただ、時間が経ってイヤーチップのゴムが硬くなったり伸びてきたり劣化すると「スポット」外れる気もしました。時々、イヤーチップを押し込むように心がけようと思います。






【TRN T2 Pro ケーブルに交換】
製品には3.5㎜のケーブルが付属していますが、最初からバランス接続したいので、ケーブル交換を同時に行います。コネクタは(2pin)です。非常に柔らかくタッチノイズも全くなし、 2.5 3.5 4.4 mmコネクタにも簡単に交換でします。銅と銀で構成されており低音も高音も走る癖のない良いケーブルだと思います。
Performer8本体側の2pinの穴が思いのほかきつく、最初ピンが折れるかと思いました。注意が必要です。

★AmazonTRN T2 Pro リケーブル 2Pin ケーブル 2.5 3.5 4.4 mm 交換式プラグ イヤホンケーブル 16芯OFC銀メッキ線 イヤモニ バランスケーブル イヤフォン アップグレードケーブル (2pin, ブラック)





【評価の環境】

個人的スタイルとして、最近は専用のDAPを使いません、基本「完全ワイヤレスイヤホン」を接続視聴する時と同じ環境にします。音楽もストリーミングもYouTubeも見る事のできる「スマートフォン」+「モバイルDACアンプ」+「有線イヤホン」も無線+有線のハイブリットです。また、基本コーデックは「aptX Adaptive」としています。
※現状LDACは音切れが多いので不可


■プレイヤー:motorola razr 40 ULTRA

対応コーデック
コーデック サンプリング  ビットレート
SBC 48kHz/16bit        192kbps
AAC 48kHz/16bit        非公開
aptX 48kHz/16bit        384kbps
aptX HD 48kHz/24bit     576kbps
aptX Adaptive 48kHz/24bit     280kbps~420kbps可変
aptX Adaptive 96kHz/24bit     260kbps~640kbps可変
LDAC         96kHz/24bit     990kbps/660kbps/330kbps
aptX Lossless           44.1kHz/16bit     最大1200kbpsでビットレート可変
LC3 48kHz/32bit        16kbps – 320kbps
LC3(plus) 96kHz/24bit        16kbps – 320kbps


■オーディオアプリ:Neutron Music Player
設定等が複雑ですが、機能が多く音質が良いです。
※ノーマライゼーション(OFF)・イコライザー(OFF)に設定




■DAC&アンプ①:FiiO(フィーオ) BTR7
DAC:ES9219C x2、アンプ:THX AAA-28
対応コーデック:LDAC:96kHz/24bi、aptX Adaptive:48kHz/24bit




■DAC&アンプ②:iFi Audio(アイファイオーディオ) xDSD Gryphon
DAC:バーブラウン製、アンプ:1000mW @ 32Ω
対応コーデック:LDAC:96kHz/24bi、aptX Adaptive:48kHz/24bit






■評価に使う楽曲
評価にはいつものようにYouTubeの「お洒落なミュージック」に掲載しているような楽曲を使います。音源データのサンプリングレートは(44.1kHz)(48kHz)(96kHz)(192kHz)のハイレゾがメインです。ファイル形式はFLAC又はAACです。



※レビュー評価に際して最初に少し聴きましたが、音が「高音が耳に刺さる」「低音がボアっとしている」「音圧があるが少し聴いていると疲れる」「パーカッションやギターの音ばかり強調される」「全体的にばらつきがある」などがありましたので約100時間ぶっ通しでエージングを行いました。今回のレビュー評価はエージング後からスタートです。



【聴いてみる】

①FiiO(フィーオ) BTR7による評価

FiiO BTR7はスッキリとしたバランスの取れた音を出します。低音~高音域まで比較的フラットで力強い音質です。音場はさほど広くありません、奥行きも深くなくどちらかというと目の前で演奏が展開されます。イヤホンの個性をシッカリ生かしてくれるDCAアンプです。コンパクトで持ち運びにも優れてます。





それでは聴いてみます
比較的音場の狭いFiiO BTR7ですが、意外と広くバランスが良いです。これはPerformer8自身が音場の広い特性があるからのようですが、端っこの方で鳴る楽器もシッカリと分かりますし、音の共鳴が左右にスーッと伸びて行きます。非常に聴きやすいです。全ての楽器がキッチリ分かります。ボーカルは中心に位置しています。多ドライバーなのにこの一体感は素晴らしいです。ハイブリットは思えない繋がりの良さです。また、この手の多ドライバーの場合、低音域を担うダイナミックドライバーの低音の位置がどこかに偏っていたりするものですが、そういった感覚は全くありません。あたかも一基のダイナミックドライバーのごとく鳴ります。これは「3Dプリント音響管構造、超長尺低周波音響管」が良い仕事をしていると思われます。

音圧は無い訳ではありませんが、比較的タイトで穏やかです。「周波数応答範囲が 5Hz-35kHz」なので低音域に過度の期待をしていたので少しビックリです。通常ダイナミックドライバーは空気を振動させ迫力のある低音を波動として鼓膜に伝えますが、そのあたりが穏やかです。よって、低音域については「低音用のBA型ドライバーを凄く良くした感じ」という表現が当てはまるでしょうか?「ド~ン」と来る低音ではなく「ズドン」と来るタイトな低音です。ただ、裏を返すと「低音を迫力(空気の振動)で誤魔化さない」とも言えるかもしれません。しばらく聴いていると「こんな重低音も良いなぁ~」となって来ます。

中音域に関しても文句なしです。ボーカルやパーカッションが生き生きとしています。高音域の共鳴や余韻も美しく繊細。耳に刺さることもなく文句なしです。周波数応答範囲が( 5Hz-35kHz)とハイレゾではないので少し気になっていたのですが全く問題ないです。

解像度は素晴らしく高いです。全体的な音質の傾向は「切れがよくアタック感が強い」という感じではなく「柔軟にして繊細な切れ味」と言った感じでしょうか。また、音の見通しも良く、くすんだ音は微塵もありません。楽曲はオールラウンドに対応します。ジャズ・クラシック・EDMも良いですが、特に古いアコースティックなポップスも素晴らしく美しく蘇ります。

「FiiO BTR7」は比較的スッキリアッサリした音なので、リスニングとしてはある意味面白味に欠ける所もあるのですが、「Performer8」が見事に聴きごたえのある存在感のある音楽へと変貌させています。相性は素晴らしいです。

【相性評価】 ★★★★★ 5.0






②iFi Audio(アイファイオーディオ) xDSD Gryphonによる評価

xDSD Gryphonはとにかく官能的な音を出します。「性能の良いDACと上質はPowerのあるアンプだとこんなに音が良くなるんだ」と肌で感じる事の出来る商品です。しかも音源はBluetooth接続で・・・。






それでは聴いてみます
xDSD Gryphonの音はやっぱり凄いです。おおよその音質の感想は上記の「①FiiO(フィーオ) BTR7による評価」をベースとしていただいて良いです。アップする部分のみ記載します。

xDSD Gryphonにすると
●Gryphonにはいつも驚くのですが、全くノイズがありません。
 FiiO BTR7とかはイヤホンを刺す時にも「ブッ」とか言いますが
 Gryphonは本当に無音です。素晴らしいです。
●解像度は更に上がり、より繊細な表現になります。
●音の一粒一粒が見える様な気がします。
●音質は濃厚になり色気が漂います。
●音場と奥行きが一気に1.5~2倍近くなります。
●ボリュームを絞っていてもしっかりとした音圧を感じます。
●埋もれそうで埋もれないディテールのシッカリした絶妙の低音。
●ベースはアコースティック楽器の方が深く沈み込む乾いた音を出します。
●中音域に自然な抜けもあり、ボーカルは更に美しく。
●本当に小さな音で鳴っているトライアングルなどの音も良く聴こえます。
●今まで聴こえなかったコーラスも聴こえます。伸びや共鳴も更に美しく。

【相性評価】 ★★★★★ 5.0


①と②でどちらがいいか?

あくまでも個人的な感覚ですが、スッキリとした美しい音楽を楽しみたい時は「①FiiO(フィーオ) BTR7」、濃厚で感動的な色気を楽しむなら「②iFi Audio(アイファイオーディオ) xDSD Gryphon」となります。また、打ち込みでないアコースティックな楽器を多用した楽曲は「②iFi Audio(アイファイオーディオ) xDSD Gryphon」の圧勝でしょう。

あと、BTR7もxDSD Gryphonもバッテリの減りが少し早くなると感じました。「RLCネットワーク周波数分割補正技術」「高減衰空気圧バランス技術」とか新しい技術を投入しているのと「インピータンス30Ω」なのでちょっと燃費が悪いかなぁ~。



番外編
パソコン & Astell&Kern AK HC2
DAC:Cirrus Logic CS43198×2 (Dual-DAC)、アンプ:DACに内蔵

プレイヤーアプリは勿論「Neutron Music Player」のWindows版です。
★AmazonAstell&Kern AK HC2 Midnight Blue [リミテッドカラー 4.4mm5極バランス出力搭載ポータブルUSB-DAC]を使用します。

それでは聴いてみます
音場の広さ、および音圧は適度です。シルキーで繊細な中音~高音域が得意なAstell&Kern AK HC2ですが、Performer8との組み合わせにおいて更にシッカリとした中高音が鳴ります。ただ、若干低音域の線が細いです。全体的に乾いた音質で、FiiO BTR7よりも個性的な音質に感じました。Performer8はDACやアンプ性能をシッカリと表現してくれます。




【どうしても比べる必要がある】
ドライバーの組み合わせ及び数が似ていますが、価格差約5万円の「TRN VX Pro」と音質の違いを比べる必要があると感じました。「Performer8は価格差に見合う音を出すのか?」個人的に「TRN VX Pro」の音は好きだし、不満という不満が無いのも事実なのです。
Performer8  Vs  TRN VX Pro

ケーブルとイヤーチップは両方とも同じものを使用しています。
TRN T2 Pro:16芯OFC銀メッキ線バランスケーブル(コネクタは違う)
AZLA SednaEarfit MAX:耳が痒くならない療用シリコン(サイズ ML)



AFUL Performer8(アフー パフォーマーエイト)
「低音域用:8mmダイナミックドライバー×1、BAドライバー×2」+「中音域用:BAドライバー×2」+「高音域用:BAドライバー×3」で、合計8ドライバー構造です。「3Dプリント音響管構造、超長尺低周波音響管、RLCネットワーク周波数分割補正、高減衰空気圧バランス」などの技術を取り入れています。音場が広いのに、すべての音が目の前から立ち上がり、スーッと広がって行きます。しかも切れがよく、高い解像度ですべての帯域がキッチリ出ています。


TRN VX Pro(ティーアールエヌ ブイエックス プロ)
「低音域用:10mmの二重磁気ダイナミックドライバーx1」+「中音域用(30095)BA型ドライバーx4」+「高音域用(50060)BA型ドライバー」で、合計9ドライバー構造です。深い豊かな低音域と抜けの良いクリアで高空間の中音域・高音域・超高音域が美しいのです。



<聴いてみます>

音場の広がり
Performer8:目の前から音が立ち上げり左右奥に音が伸びて行く、上質ヘッドフォンの音場に近いと感じます。この辺りは諸々の技術の成果でしょうか?

TRN VX Pro:少し奥の方から音が立ち上がります。硬質に広がる共鳴はイヤホンのアルミニウム筐体の空間もしっかり利用したものに感じます。


音圧
Performer8:すべての帯域においてしっかしとした音圧を感じます。ボリュームを絞っても音が痩せません

TRN VX Pro:音圧=空気の振動とすると、明らかにダイナミックドライバーが鳴っている時に感じます。ボリュームを絞ると音圧も痩せます。


高音域
Performer8:低音域も中音域も邪魔しないキッチリ存在感のある高音を出します。また、雑味がのない繊細で美しい煌めきもあります。高音域の周波数応答範囲が35kHzまでなので「高音はあまり出ないのかな?」と思っていましたが全く心配ありませんでした。

TRN VX Pro:アルミニウム筐体とBAドライバーの組み合わせは楽曲によっては少し金属音が強く感じる事もあります。このキラキラ感は、これはこれで心地良いのです。


中音域
Performer8:しっかりとした中音域を感じます。特にボーカルやドラムスの表現は素晴らしいです。中音域がシッカリしていると全体が良くまとまります。

TRN VX Pro:中音域~高音域が比較的フラットです。中音域の押し出しは控えめですが、中音域が痩せているわけではなく、比較的高音域寄りの中音です。これはこれで綺麗です。


低音
Performer8:地に足がついた迫力のある低音です。切れも良くキッチリ鳴ります。しかし、ダイナミックドライバー特有の空気を振動させるような低音ではなくタイトで上品なのです。低音域の周波数応答範囲 5Hzに偽りはないです。

TRN VX Pro:若干下の方から聞こえる傾向があります。低音量はもう少しあっても良いかなと思います。Performer8に比べると若干輪郭がぼやけています、


音の立ち上がりと収束
Performer8:音の立ち上がりの切れは良く、音場にスーッと伸びて行き、スッと収束します。残存が残り過ぎない感じです。まとまりが良いです。

TRN VX Pro:中音域~高音域は切れ良く立ち上がり収束も速いです。低音域は若干緩いです。ただ、全体的には違和感はありません。


濃厚具合
Performer8:質感の高い濃厚な音質です。アンプの性能を確実に引き出します。
TRN VX Pro:濃厚というよりは「軽快・硬質・クール」という音質です。


没頭できるか
Performer8:没頭できます。
TRN VX Pro:没頭できます。


デザイン性
Performer8:華やかでお洒落です。特に秋冬に映える色合いです。
TRN VX Pro:シンプルでお洒落なネイビー。冬場はひやりとします。


装着感
Performer8:耳にスッポリ入って装着しやすいです。
TRN VX Pro:耳にスッポリ入って装着しやすいです。


コストパフォーマンス
Performer8:絶対金額は高価ですが、音質を考えるとコストパフォーマンスは高いです。
TRN VX Pro:この価格帯ではダントツ文句なしにコストパフォーマンスは高いです。


点数をつけるなら
価格・音質・デザインを総合的に
Performer 8: ★★★★★ 5.0
TRN VX Pro: ★★★★☆ 4.0


比較のまとめ
Performer8:低音・中音・高音はそれぞれが主張しているのですが、キッチリまとまっておりあたかも一基のダイナミックドライバーのようでもあります。ともすれば金属音が目につくBA型ドライバーですが、非常に心地よくまとめられています。低音域も非常に上質です。しかも、ズッシリと心に訴えかける低音です。Performer8は全てのドライバをしっかりとチューニングし、トータルバランスに優れた最良の音質を提供していると感じます。

TRN VX Pro:どちらかというとアルミニウム筐体やドライバーの「素材の味をそのままお届けしました!」そんな感じに感じます。しかし、この価格帯でここまでの音を出すのには驚きです。Performer8の音を聴いた後にこちらを聴いたとき「個性が違う」と感じても「音が悪い」と感じる事は全くありません。






【総括】
当たり外れもあると思いますが、本体は3Dプリントで作成されているという事もあり、見えないところが若干雑であったりもしますが、外見のデザインや色使いは素晴らしいです。
多ドライバーにもかかわらず、各周波数帯の音域にズレや段付きを全く感じません。
非常に自然で低音~超高音を繋がりよく、そして繊細に的確に表現をしてくれます。音楽を聴いて、心穏やかになりたい方にお勧めです。エージングはシッカリしてください。150~200時間くらいでかなり良くなってきます。

一般的にハイレゾ対応とされるのは、周波数応答範囲「 20Hz-40kHz (またはそれ以上)
」となっています。しかし、Performer8の周波数応答範囲は「 5Hz-35kHz 」とハイレゾ対応範囲から外れています。「ハイレゾ対応」と言う冠を無視してまでも最適なチューニングを行っています。実際、タイトで存在感のある低音、抜けの良い中音域、透き通るような高音域は周波数応答範囲の数値では測る事の出来ない美しいを音を奏でるのです。

冒頭で書いた「完全ワイヤレスイヤホンにあと、足りないものはなんだろう?」の回答ですが、想像するに「足りないものは」この「強化された3Dプリント音響管構造、超長尺低周波音響管、RLCネットワーク周波数分割補正技術、高減衰空気圧バランス技術」ではないかと思います。近い将来これらの新しい技術が組み込まれた完全ワイヤレスイヤホンが登場すると感じました。
ただ、この技術はBA型の多ドライバーイヤホンの時に威力を発揮するもので、例えば「SONY WF-1000XM5」の様にダイナミックドライバー1発のイヤホンや、「TE-Z1PNK」「TE-BD21j-ltdpnk」の様なダイナミックドライバーを主軸にしたハイブリッド型イヤホンには向かないと思います。


※ウレタン系とシリコン系のイヤーピースの違いだけでも音質はガラリと変わってしまいます。内容はあくまでも個人的な環境下での考えですのでご了承ください。参考程度にお読みいただければ幸いです。