2020年1月19日日曜日

RHA CL2 Planar 人生初の平面駆動(平面磁気ドライバー)ハイレゾイヤホンを買いました。レビュー評価してみます。

RHA CL2 Planar(平面の:プレェィナァ)

今までに使ったイヤホンは、ダイナミック型(JVCbeyerdynamicなど)、ハイブリット型(AKG N5005N40・SONY XBA-N3XBA-Z5など)、BA型(SHUREなど)の3カテゴリです。平面駆動のイヤホンは気になっていたのですが、金額が高いのとあまり一般的でないので躊躇していました。しかし、Amazon Mastercardゴールド利用でポイントも溜まったし今回買うことにしました。平面駆動イヤホン初体験です!

ダイナミックドライバーと平面磁気ドライバー違い
何となく分かっていることは「普通のダイナミックドライバーは丸いコーン型の振動板の真ん中に磁石とコイルがあって、振動させます。磁石とコイルが真ん中にあるので中心から外周に向かって振動のバラツキがあります。平面磁気ドライバーは丸い平面型の振動板の全体を磁石とコイルで振動させるので、振動にバラつきがありません。」こんな感じでしょうか?
どちらも振動板を磁石とコイルで振動させると言うことなので、基本的な考え方や構造は同じなのだろうと思います。また、平面の振動板スピーカーはかなり昔からあったと記憶しています。しかし、当時音を聴いた時は「深みのないスカスカな低音とシャンシャンと鳴るペラペラした高音」に感じ興味はありませんでした。やっぱりJBLやボーズのコーン型・ドーム型などのスピーカーの音が良かったのです。そして、現在あまり普及している様にも思えません。と言うこともあり正直CL2の購入に関しては期待半分なのです。

構造の想像
RHAの「平面駆動ドライバー」説明に

“CL2 Planarは、これまでに発売されている中で最もコンパクトな平面駆動ドライバーが採用されています。4年以上にわたって開発が続けられた10ミリ口径のこのドライバーは、2つの一致した磁場上に完璧に位置する平面コイル16マイクロメートルのダイヤフラムで構成されています。”

とあります。少し想像してみました。
「らせん状のコイルが埋め込まれた平面振動板が、2重円になった磁石の上に配置され、振動板が振動し音が出る。」私の頭では想像はここまでです(笑

 「その1」構造はあくまでも通常のダイナミック型の磁石が円の全面にあるだけでイマイチな気もします。でも音は前に出るので音圧はあるような気もします。
「その2」個人的には構造がカッコいいと思うのですが、振動板から出る音はAとBに邪魔されサイドから出て行くわけで、そうなると「音がこもる?良い音にならないのでは?」と思ってしまいます。
平面磁気ドライバー謎です!



【仕様】
ハウジング素材:ジルコニア
周波数特性:16 - 45,000Hz(有線接続時)
ドライバー:平面駆動(10mm平面磁気ドライバー)
コネクタ:MMCX
インピーダンス:15Ω
感度:89dB
重量:9g(ケーブル除く)
メーカー保証:3年
※詳しいスペックはメーカーホームページ
※Bluetooth接続、純正ケーブル、純正イヤーチップを使用しない評価です

開封
ハイブリット型のAKG 5005もそうでしたが、Bluetooth接続はしないので私にとっては無駄な添付品がてんこ盛りです!低価格なイヤホンに付けるのならまだしも、なぜこんな高価なイヤホンに陳腐なアンプを積んだBluetoothレシーバーを標準添付するのか私にはよくわかりません。現在の技術ではマダマダ有線ケーブル接続の方が音が良いに決まってます。もし、Bluetoothレシーバーを出すのであれば、SONYのWI-1000Xの様にオーディオ総合メーカーが本格的なアンプを積んで出すべきであって、イヤホンしか持たないメーカーが出すべきではないと思いました。
どうせ添付するなら4.4㎜のバランスケーブルではないでしょうか?もしくは、何も付けずに価格を安くする方がよっぽど良心的だと思いました。
最近の「映画をBlu-rayで見ようと思ったら、不要のDVDも無理やりついていて価格が高い。4KとかはBlu-rayとDVD更にフィギュアを付けて馬鹿高とか、もう意味が分かりません。」そう言った商売に近い気もします。(笑
※「わざわざ無線Bluetoothイヤホンで音楽を聴く意味があるのか?」もご覧ください





ハウジングに採用された二酸化ジルコニウムが美しいです。ジルコニウムは、合成ダイヤモンド製造やジェットエンジンの保護にも使用されるくらい硬く、破壊が難しい素材だそうです。美しくカッコいいです。

オプション品てんこ盛り


レビュー評価環境
特に価格的に同格のAKG 5005と比較するため、同じ環境にします。ケーブルはAKG(CN120-2.5)2.5mmバランスケーブル、4.4㎜変換ケーブル、コンプライTsx-400 です。








エージング0時間
ファーストインプレッションです。

■メインの評価プレイヤーHiBy R6 Proで聴いてみた

ステンレスボディのHiBy R6 Proで聴いてみました。
お~ぉ!これは!凄い!「平面駆動」と言う言葉が頭に刻まれているせいかもしれませんが、低音域から高音域まで上下左右、平面に並んでいる感じです!現状、低音域はパッとしませんが中高音の解像度は高く「これほ本当に一つのドライバーなの?」と疑ってしまう解像度です。
インピータンスは15Ωと少し低いので、どのプレイヤーでもシッカリ鳴ります(個人的にインピータンスは32Ωを標準値と考えています。)。ノイズもありません。アコースティック楽器から電子楽器、打ち込みまで良く鳴ります。

多ドライバーのN5005の解像度はかなり凄いです。CL2の平面ドライバーの解像度もかなり高いです。しかし、この解像度をN5005はダイナミック型だけでは表現できず4つのBA型で捕捉し作り出しました。しかし、CL2はたった平面ドライバ1つで作り出しています。

JVC HA-FW1500もCL2と同じ一基のドライバーです。ダイナミック型Woodドライバーの技術をブラッシュアップし続け、豊かな低音域と美しい高音域まで到達したHA-FW1500はJVCの「努力の結晶!」と言った所です。ただ、中音域の見通しの悪さと音場の狭さが少し悔やまれますが、とっても味のある良いイヤホンです。大抵のダイナミック型イヤホンやハイブリッド型イヤホンの振動板には素材などで個性的な領域が多少あります。そういった部分がそれぞれのイヤホンの醍醐味なのです。

CL2は低音域から高音域までサラリと鳴ります。しかし、どこか音のストロークが弱いというか音に奥行きが無いと言うか、現状感動的な音ではないです。エージング0時間と言うことで「音の切れが悪い」「全体の音の伸びが無い」「クリア感が無い」「低音域は少し弱くボワッとぼやけた輪郭」「少しチープな高音域」となっています。しかし、ボーカルはとても聴きとりやすく少し前に出ている感じで非常に好みです。今後エージングが進むと、どんな方向性になるのか、全く想像がつきません。楽しみです。200時間以上エージングが必要かなぁ~

高音:N5005の様なキラキラ感ではなく、シャリシャリとした高音。
中音:ドラムスやパーカッションが少し埋もれ気味、見通しが良くない。
低音:全体に広がるようにボワッとしていて、良い音ではない。平面だから?
音場:N5005より狭いく広くありません、目の前で演奏してくれている感じ。
音圧:しっかりとした力強い音圧があります。
ボーカル:力強く綺麗、聴きとりやすいボーカルです。演奏より少し前に位置します。コーラスも聴き取りやすく、特に女性ボーカルが良い!

★AKG N5005の仕様
インピータンスや感度は近いものがあります。非常に音質がナチュラルで、しかも、どんなジャンルも聴きごたえのある音を出してくれます。モニターとしてもリスニングとしても使える優秀なイヤホンです。また、N5005は多ドライバーを見事にまとめ上げ、曇りの無い深い低音とキラキラ高音域が特徴のカマボコタイプの音質です。周波数特性は数字的にはN5005が低音寄り、CL2が高音寄りみたいな感じです。

ハウジング素材:セラミック
周波数特性:10Hz ~ 40kHz
ドライバー:(中高域用)BA×4(低域用)9.2mmダイナミック×1
コネクタ:MMCX
インピーダンス:18Ω
感度:99dB


■ついでにiBasso DX160で聴いてみた

HiBy R6 Proの音質を軽くした感じです。高音域のスピード感やキラキラ感はNo1です。ただ、CL2を鳴らすプレイヤーとしては全体的に音圧が不足しており役不足感はぬぐえません。ただ、現在DX160もエージング中なので仕方ないかな?


■ついでにWALKMAN NW-WM1Zで聴いてみた

これは凄い、流石NW-WM1Zです。豊かな深い低音域、スーッと抜けて行く上品な高音域、奥行きのある音場、上記、R6 Pro・DX160と比べると全く別物の音質に聴こえます。NW-WM1Zの相手としては不足のないイヤホンだと感じました。0エージングでこれですから、200時間後が更に楽しみです。





エージング100時間
半日ごとプレイヤーを変えながら、ほぼブッ通しで鳴らし続けました。
かなり平面振動板が馴染んできた感じです。低音域の締りやドラムスの切れも出てきて全体的な見通しが良くなってきました。ただ、楽曲によって多少高音域が刺さることがありました。
低音域より、高音域の音の伸びが多く感じられます。音場が少し広くなり音全体の伸びなども良くなってきました。音の方向性が何となくわかってきた気がします。いずれにしてもダイナミック型やハイブリッド型とは音の性質が違うと感じました。人によっては音質が「合う・合わない」があるかもしれません。
色々なジャンルを聴いていますが、電子楽器やPCの打ち込みより古いアコースティックの楽曲が心地よく感じます。面白かったのはかなり古い曲で、今まで気が付かなかったのですが、ボーカルにかかったリバーブやエコーを凄い感じます。演奏楽器にはリバーブは掛かっていないので、ボーカルのみが異様に浮いて聴こえました。

高音:高音域の伸びが良くなりました。楽曲によっては少し耳に刺さります。
中音:ドラムスやパーカッションの切れが良くなり、見通しが良くなってきました。
低音:締りや切れが良くなりました。ベースの位置も良く分かるようになりました。
重低:目立たないように出ています。ベースはN5005やFW1500が良いです。
音場:程よく広くなってきて心地いいです。N5005より狭くFW1500より広いです。
音圧:プレイヤーによりますが、音圧はしっかり出ています。
ボーカル:今まで聴こえなかったボーカルやコーラスの声が聴こえます。ボーカルに関してはN5005やFW1500より没頭感が高いです。





エージング200時間
全ての音が平面上に一気にスッキリと立ち上がる感じです。音場は程よくあるのですが、奥行きがあまりないです。目のすぐ前で演奏が行われている感じです。方向性としては中音域や高音寄を邪魔しないチューニングかなと感じました。なので低音が思ったより深くないです。ドラムスやパーカッションの切れは更に良くなりました。ボーカールやコーラスも更に美しくなりました。平面磁気ドライバーの素材が何か分かりませんが中高音域に微量の金属音がする気がしました。あくまでも「そんな気がする」レベルですが(笑
またFW1500よりも長時間聴いていてもあまり聞き疲れしませんでした。

高音:高音域の伸びが良くなりました。スーッと伸びて行きます。
中音:ドラムスやパーカッションの切れが更に良くなりました。
低音:原音に忠実、低音のある楽曲では出るけど、低音が弱いものはそれなり。
重低:程よく出ていると思います。山下達郎もご機嫌に聴けます。
音場:程よい広さで安定。ただ、奥行きはあまりないです。むしろ近い。
音圧:かなりあります。古い楽曲ではそれなり。
ボーカル:0時間から比べると更に美しくなりました。


■200時間後にiBasso DX160で聴いてみた
アルミボディーのDX16もエージングが終わりました。明るくスピード感がありキラキラした高音域がウリです。逆に低音域も軽い。ライト感覚に良い音を聴くにはうってつけです。少し弱い低音域と抜けるように軽快な中音域から高音域を高い解像度で鳴ります。ステンレスボディーのHiby R6 Proとの音質の差がはっきりと分かります。0時間エージングの時は役不足と思ったのですが、今は思いのほかCL2との相性は良いと感じました。


■200時間後にWALKMAN NW-WM1Zで聴いてみた
更に音質が上がっています。低音域や音場はあまり変わっていませんが、NW-WM1Zの持つ空気感は良く表現されており、音の粒が見えるようです。高音域が最後まで伸びてゆく感覚や微かに聴こえる音までNW-WM1Zの魅了が感じられます。ただ、NW-WM1Zはもっと深く柔らかい粒だった音なのですが、CL2の個性と少々ぶつかりスポイルされている気がします。



【総括】
日頃ダイナミック型やハイブリット型のイヤホンを使っている方がこのイヤホンに変えた場合、直後は少し違和感を感じるかもしれません。プレイヤーの表現したい音が全域に渡ってムラなく素直に一気に立ち上がる感じです。これは音が良いとか悪いとかではなく、CL2には、ある意味ダイナミック型の特性・特徴というか”味”が無く「無機質な音」と感じる事がありました。FW1500は「低音と高音が良いですが中音域が弱く音場が狭い、でも温かみのある良い音。」N5005は「カマボコで全域に対して良い音で、低音も良く出ているし特に高音域が綺麗な優等生、でももう少し低音が欲しい。」と言う具合に色々な個性があります。RHA CL2 Planar に関しては雑味のない音を淡々と出すので、どこを”味”と呼べばいいのか説明に困るのです。

しかし、しばらく聴いているとそんな思いも無くなっていきます。音の立ち上がりの速さ、見通せない音が無いくらいの解像度、音圧の高さ、モニターにもリスニングにも使えそうな正確な音質、美しい高音域、スッキリと沢山の音が出ているのに絶対見失わない美しいボーカルやコーラス。また、N5005やFW1500で見つからなかった音が聴こえてくることもあります。結論から言うと、CL2についてはダイナミック型でもBA型でもハイブリット型でもない第4の選択肢と言うことでこの音質をとらえるしかないと感じました。

個人的には、周波数特性を(16 - 45,000Hz)ではなく(5 - 40,000Hz)に変えた低音寄りのCL2を聴いてみたいと思いました。また、プレイヤーに寄って音が素直に変わります。この辺りは変化はダイナミック型より顕著で面白いです。

さて、このCL2がお勧めかどうか!?難しいところです。
ダイナミック型の低音が好きな方、豊かな音の抑揚を感じたい方、音場の奥行が欲しい方、には「物足りないのでは?」と感じました。しかし、BAシングル型を好まれている方には面白い選択肢かと感じました。繊細で正確な音を出すBAシングル型ですが、対応周波数帯域の幅が狭く大抵の場合一基ではカバーできない音が多々出てきます。経験上、低音域が弱いと思います。そんなBA型シングルの繊細で正確な音に、更に広い帯域の音と音圧と低音域が備わる感じです。
BA多ドライバー型と比べるとどうか?あくまでも持論ですがAKGのN5005の場合、ダイナミック型一基は低音のみ、中音・高音はそれぞれの周波数帯域対応の4基のBA型で細分化しています。これは「ダイナミック一基では実現できない広帯域の”音ムラ”をBA型で細分化し広い帯域の解像度を確実に出す」事が目的だと感じます。
実際FW1500は「解像度は高く低音高音はいけれども中音域の見通しが悪い」、テスラドライバーのAK T8iE MkII は「解像度は高く中低音は良いけども高音域がチョット苦しい」と感じています。N5005は5基のドライバーでそういった不満を見事に解消してくれています。CL2を初めて聴いた時の第一印象は「一基のドライバーでN5005に近い解像度がキッチリ出ている」でした。平面ドライバーの利点は「高い解像度とムラのない音質」だと思います。これはまさにハイブリッドのN5005の目指した所ではないでしょうか?なのでハイブリッド型のイヤホンがお好きな方には、この解像度の高さを、是非聴き比べて欲しいと感じています。ただ、「広い帯域の音を、高い解像度で確実に出す!」と言うコンセプトは同じでも、N5005とCL2の”音の感性”は全く違います。CL2は個性的です。でも、慣れると「これはこれで良いんじゃない?」と思ってしまいます(笑

今回は、ステンレススティールボディーのHiBy R6 Proをメインに評価をしました。実は、今更ですがこのHiby R6 Proをメインに評価したのはちょっと間違ったかもしれません。R6もCL2も音がどちらも硬質でソリッドで、似たような方向性を持っていると感じたからです。悪くわないのですが、ちょっと感動が少なかったです。
他のプレイヤーでは色々違った音になるのも事実です。お手持ちのプレイヤーを持参で、お店で是非一度聴いて見て頂きたい逸品ではあります。希少な平面駆動のCL2には、今まで聴いたことのない、新しい発見があると思います。

また、「メーカー3年保証」と言うのはうれしい対応だと感じました。



おまけ
★評価レビューもここで終わりにしようと思ったのですが・・・・
どうしても、やってみなくてはならない組み合わせがあります。
それは「SONYのKIMBER KABLE(キンバ―ケーブル)MUC-M12SB1」との組み合わせです。私はこのケーブルを悪魔のケーブルと呼んでいます。(笑

銀コートを使用しないOFC(高純度無酸素銅)のみで、野太い低音と音場を押し広げるこのケーブルの威力は凄く、常時相性の合う手持ちのイヤホンが無いのです。低音域と高音域が魅力のAKG N40・N5005にキンバ―を合わせると、低音域が更に豊かになり音場も更に広がります。ただ、特徴的な高音域がシットリとなりスッキリ感がなくなります。なので、アコースティックな楽曲には向くのですがEDMなどでは少し物足りなくなります。低音と高音域が魅力のJVC FW1500を合わせたりするともう大変で、低音が出すぎて、更に、高音域が犠牲になり大変なことになります。低音と高音が絶対必要な私は「AKG N40・N5005やJVC FW1500には銀コートされたOFCケーブルがベストマッチ!」だと思っています。なので、ここ数年はキンバ―ケーブルを封印していました。

MUC-M12SB1

さて、今回のRHA CL2 Planar に関しては、「中高音域が綺麗」「ボーカルが綺麗」「解像度が高い」「スピード感がある」「ソリッドな音」「音圧もある」という評価と、反面「低音が弱い」「音の奥行きが無い」「どうしても鉄板から金属音が出ているイメージがある」という部分が引っかかっていました。そんなCL2に「キンバ―ケーブルをぶつけたらどうなるのか?」興味をそそります。イヤーチップは締りのある低音を生むコンプライTsx-400 をそのまま使います。

【結論】
KIMBER KABLE + CL2 + Tsx-400
早々に結論ですが、これは凄いです。「CL2がキンバ―を調教したのか?キンバ―がCL2を調教したのか?」分かりませんが、相性はとても良いです。上記に書いた3つの不満点「低音が弱い」「音の奥行きが無い」「どうしても鉄板から金属音が出ているイメージがある」が全て解消さてています。「豊かな低音域」「適度に広く深くなった音場」そして、「平面とは思えない、ダイナミック型かハイブリッド型と聞き間違えそうな音」が出ます。また、良い部分は全くスポイルされていません。少し高音域のキラキラ感が少し落ち着ちついた程度で、むしろ大人っぽい高音域です。特に球面上に少し広がった感じの音場の程よいふくらみは今までのCL2とは別物に感じます。そして、音場が広がっても各パートの音を見失うこともありありません。

悪魔のケーブルと鉄板イヤホンの相乗効果はすばらしいです。(笑
CL2は「とても高い解像度でソリッドな硬質の低音域~高音域が、奥行きの無い音場で一気に立ち上がる。」そんな音を出しますが、このキンバ―ケーブルを合わせる事により「音場は広く深く、ソリッドで硬質な音に豊かで深みのある音が加わる」感じになります。

■R6 Pro
ステンレススティールらしいソリッドな音質はそのまま、輪郭のシッカリとした低音域とスッキリとした高音域、全体的に豊かな音質に変わりました。そして、R6 Proとの一体感が出た気がします。しいて言うなら深く濃厚なソリッド。ギターなどの弦楽器の弾いた音の微かな余韻なども美しく聴こえます。
上記【評価】で書いた「・・・悪くわないのですが、ちょっと感動が少なかったです。」は撤回です!今までの楽曲を聴き直すたびに新しい感動が生まれます。


■DX160
アルミらしいスピード感と軽快感、キラキラ高音はそのままに、低音域から高音域まで1ランク音質が上がった感じです。今までの軽すぎる音質にドッシリ感がプラスされ高級感も感じます。今回評価をした3機種中一番激変した感じです。R6 ProやNW-WM1Zの様に、細部にわたるまで見通せるような音は出ませんが、この価格帯のプレイヤーとしては良い音だと思います。

■NW-WM1Z
銅ボディーのNW-WM1Z、R6 Proよりも更に低音域が深くなります。高音域はマイルドになり音全体がシットリとしてきます。この辺り「銅筐体かステンレススティール筐体か」素材による音の違いがよくわかります。NW-WM1Zの最も美しい、音の「空気感」「粒感」「深み」「艶」などが良く再現できています。音の余韻が外に向かって微かにスーッと伸びていく、平面磁気ドライであることを全く忘れそうです。N5005との組み合わせにも劣らない素晴らしい音だと思いました。


【おまけ総括】
あくまでも個人的なイメージですが、CL2の周波数特性が(16 - 45,000Hz)→(10 - 44,000Hz)位に少し低音寄りにズレた様な感覚を受けました。高音域を殺さず、低音域をシッカリ出し、そして濃厚さと程よい音場の広がり、特に奥行きが少し増えたのは予想外でした。CL2にキンバ―ケーブルを合わせたのは、個人的にベストな選択だったと思いました。少し持て余していたキンバ―ケーブルがCL2と言う相棒を得て生き生きとしています(笑
AKG N5005に比べると非常に音量が取りやすく、特に古いアコースティックな楽曲などは、ボーカルや楽器の音が、最近の録音と勘違いするくらいクリアで澄んだ音で聴こえます。ズーット聴いていたくなります。
また、現在エージング350時間程度ですが、まだ音が変化しています。音場も微妙に広がて来ています。ひょっとしたら、この平面磁気ドライバーは500時間とか1000時間あたりまでエージングした方が良いかもしれません。


エージング500時間越え
豊かな低音や音場など音質がかなり安定してきました。N5005と比べると解像度は互角です。Hiby R6 Proで聴く限りは、優しく深く広い空間を演出する「N5005」か、繊細で力強く切れのいい演奏が程よい空間で聴ける「CL2」か!優越つけがたい事態となりました。平面ドライバーの癖が無くなった(正直聴きなれてきた)というのもあるのですが、CL2で聴く新しい発見に興奮しています。(笑




SONY 1.2m 5極バランス(Φ4.4mm)標準プラグ MUC-M12SB1
KIMBER KABLE(R)社との協力によって開発された8芯Braid
(編み)構造を採用した、新規格Φ4.4mmバランス接続端子対応ヘッドホンケーブルです。OFCマルチゲージ導体は、太さの異なる数種類の素線を最適な比率で撚(よ)り合わせることにより、伝送ロスを最小限かつ帯域別にコントロール。低域から高域に至るまで、透明度の高い音質を実現します。



また、低価格な下記HiF4834ケーブルもCL2との相性は良かったです。上記キンバ―ケーブルより気持ちマイルド感があります。意外とこちらのケーブルの方がCL2にはあっている気がしました。取り回しも良いので、個人的には当面このHiF4834をデフォルトにしようと思います。価格以上のパフォーマンスがあります。



HiF4834バランスリケーブル 16芯7N単結晶銅
非常に柔らかく取り回しの良いケーブルです。タッチノイズは全く気にならず、優秀です。低音域から高音域まで比較的フラットに豊かで深い音質になります。癖もなく安定しており、イヤホンの特性を生かした音質アップが望めます。音場は程よく広がります。純銅らしい力強くも繊細な真面目な音質です。






2021年一番のお気に入りの組み合わせです。

onso(音素)は、今一番ハマっているケーブルです。この05番は銅+銀のケーブルです。onso 05 の特徴としては、音場は少し広がりますが、一本芯の通った深みのある音圧がベースにあり、音が拡散してしまう事はありません、05は更にそこに低音域と高音域が美しく調和します。made in JAPANの技を感じます。また、玉虫色に光るケーブルに遊び心もあります。
型番:iect_05_bl4m_120
コネクタ:4.4(5極)-MMCX(L/R)
導体:PCOCC+銀メッキ4N-OFCハイブリッド
ジャケット:PVC
端子:金メッキ仕上げ
プラグボディ:アルミニウム+ペインティング
長さ:1.2m
http://www.onsoproject.com/iect_05_m.html


RHA CL2 Planar は平面駆動(平面磁気ドライバー)です。通常のダイナミックドライバーは構造上、周波数帯域の中で「音のムラ・音の揺らぎ」などが発生します。これが悪いとかの話ではなく、これがダイナミックドライバーの味であり、各メーカーは素材を変えたりチューニングを変えたりしながら特徴的なダイナミックドライバーの音を作ってゆきます。
さて、RHA CL2 Planar は平面駆動(平面磁気ドライバー)なので、この「音のムラ・音の揺らぎ」がダイナミックドライバーに比べると相当少ないと思います。なので全周波数帯域の音がバーンと出る感じです。ダイナミックドライバーに慣れ親しんだ私の耳が初めてこの平面磁気ドライバーを聴いたときの感想は、いい音なんだが「鉄板みたい」「無機質」「冷たい」「抑揚が無い」「面白みに欠ける」と辛口の評価でした。

今回このRHA CL2 Planarにonso 05をぶつけるとどうなったか!?



音場:広がりました。右左が分かれる楽曲はキッチリとパートが分かれます。
音圧:音場が広がりましたが音圧が下がる事は有りません。深く芯の通った音圧です。
低音:深い豊かな低音が出ます。
中音:見通しの良い音です。
高音:最後の最後まで聴こえます。とても美しいです。
解像度:相当高いです。
ボーカル:ほぼ目の前。

【結論】
平面磁気ドライバーらしく全域の音が立ち上がりますが、低音域と高音域が持ち上がっており、更に平面磁気ドライバーの(「鉄板みたい」「無機質」「冷たい」「抑揚が無い」「面白みに欠ける」)と言う感覚が全くありません。すべての帯域を軽々と表現できるダイナミックドライバーの様にさえ感じます。ボーカルの吐息も耳元で聴こえそうな空気感です。ハイブリッドのAKG N5005に比べると音に硬さは有りますが、音の美しさは表現力では同等かそれ以上かもしれません。RHA CL2 Planarの音の基本を変えずにアップグレードしてしまう、onso 05には脱帽です。何時までも聴いていたい音です。




更に
先日「SHANLING(シャンリン) M6 Ver.21」というDAPを購入したのですが、相性が抜群で、さらにCL2自身の音もドンドン良くなってきました。(笑





■イヤーピース(イヤーチップ)の変更
素晴らしい遮音性と吠える低音、長年にわたって利用してきたコンプライのイヤピースですが、近年耳にかゆみを覚えるようになり変更することにしました。刺激の少ないシリコンを使った「スピンフィットCP100+」と言う商品です。音質についても中々のものです。